この発想はなかったなぁ。
LiquidPiston社が開発したロータリーエンジンが斬新すぎるので紹介します。
LiquidPiston社のロータリー発電機が米軍のM777榴弾砲のアメリカ陸軍の中小企業技術革新制度に採用されました。
従来の発電機より70%も小型化されたLiquidPiston社のロータリー発電機とは?
ローターとハウジングの構造が逆転したロータリーエンジン
ロータリーエンジンの構造をご存じの方ならLiquidPiston社のこの動画を見れば「なんだこれ?」って思うでしょう。
ローターとローターハウジングの役割が逆転しています。
エンジンの形からもわかるように、ローターがハウジングでハウジングがローターなんですね。
ロータリーエンジンは三角形のローターがまゆ型のローターハウジングのなかでトロコイド曲線といわれる複雑な動きをしています。
吸気したガソリンとの混合気は、ローターによってまゆ型のハウジング内で圧縮され爆発し、燃焼ガスはローターによって押し出されて排気されます。
LiquidPiston社のX-Engineは、三角形のローターハウジングの中でまゆ型のローターが回転し、さらにローターから吸気と排気をしています。
いわゆる『サイドポート』構造なんですが、ローターの中心にあるエキセントリックシャフトから吸気して、ローター内に排気ポートを作って排気しています。
ハウジングからは吸気も排気もしていない不思議なエンジンです。
しかも燃焼室が3つあるので、ひとつのハウジングで3回の燃焼出力を得られます。
ロータリーエンジンの特徴
一般的なエンジンであるレシプロエンジンのピストンにあたる部分がローターで、バルブ機構が無いのがロータリーエンジンの特徴。
2サイクルエンジンのように、ローターが回転することによってバルブの役割もしています。
レシプロエンジンは、ピストンの往復運動をコンロッドからクランクシャフトに伝えることによって回転運動に変えています。
一方のロータリーエンジンは、ローターが回転することによって、エンジンの回転は直接回転運動として出力されます。
構造的に駆動ロスがレシプロよりも少なくなるので、効率の良いエンジンと言われています。
しかし、バルブが無いことで燃費が悪くなるのが最大の欠点です。
バルブ機構が無いなど、構造が簡単なので小型化できるため、軽量で高出力な車がロータリーエンジンの魅力でした。
省燃費が自動車に求められる流れになり、また環境問題などの点でロータリーは消えてしまいましたね。
マツダは、小型で高出力なロータリーエンジンを発電機として搭載するハイブリッド車の研究開発をしていましたがどうなったんでしょうね(笑)
水素エンジンとして多分まだ開発はしてると思うけど・・・。
X-Enginの欠点はまゆ型のローターなんじゃないかという話
エンジンの中で回転するものはできれば軽くしたいもの。
ロータリーエンジンで言えば【ローター】です。
X-Enginのローターは、通常のローターに比べて大型なので重いはず。
排気ポートで空洞になっているので、実は軽いのかもしれませんが・・・。
ローターが重いと高回転にできませんが、発電機として一定の回転を維持するのであれば問題はないのでしょう。
ロータリーは熱に非常に弱いエンジンです。
ハウジングにあたる部分は冷却水や外気で冷やすことができますが、燃焼に直接さらされるローターを冷やすことができません。
マツダのロータリーエンジンはローター内にエンジンオイルを循環させることでローターを冷やしています。
だからオイルクーラーが必要なんですね。
X-Enginはローター内に排気ポートがあるのでオイルを循環させても均等に冷やすことができません。
燃焼による熱と排気熱の両方がローターに入るのでかなりの高温になっていると思います。
吸気をエキセントリックシャフトから取り入れたり、ハウジング内に吸気させるなどの冷却をしているようなのでこれで冷やせるんでしょうね。
気密性が重要なエンジンなので、熱による変形があってはいけないわけですが、実用化してるのでX-Enginってすごいと思いますね。
小型の発電機なので機動性の良さから米軍が採用?
X-Enginは小型で高出力なので機動性がいいことから画像のようにM777砲の電源として使われるようです。
ロータリーエンジンは自動車で使われず、これからは発電機として使われ続けていくのでしょうか?
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