DOVALというメーカーの楕円チェーンリングをつけて1年走ったロードを再びフロントシングル化した。
フロントダブルの自転車に乗るとどうもわずらわしい。
レースするわけでもなく、楽しく気持ちよく走るのにチェーンリングが2枚も必要だとは思えない。
DOVALをつける前まで、フロントシングルで1年走ってデメリットがたくさんあるのは理解している。
だけど、このシンプルさはデメリットをはるかに超える快適性がある。
ダブルチェーンリングの自転車も持ってるので、1台くらいはダブルではない自転車に乗りたい。
フロントシングルに交換する。
まぁ、クランク外してギヤを変えるだけだからたいした作業ではない。
本来チェーンリング交換はクランクを抜く必要はないが、DOVALのインナーチェーンリングはクランクを外さないとスパイダーアームから抜くことができないから外さないとダメなのだ。(普通は外さなくてもチェーンリングの交換はできる。)
フロントシングルギヤにするためにクランクを外す
クランクを外すには、センターキャップを外す専用工具が必要。
シマノ TL-FC16
シマノ製ではなくても問題ないが、このキャップが外せないとクランクを外すことができない。
そのほかに必要な工具は5㎜の六角レンチと先の細い工具があれば簡単に外すことができる
まずは六角レンチでクランクの固定ボルトを2本緩める。
こういった構造のものは、それぞれのボルトを少しずつゆるめる必要がある。
2本で止まっているクランクのボルトの1本をゆるめきって、残った一本をゆるめるようなやり方をしてはいけない。
1本を少しゆるめたら、もう1本を少しゆるめるというのを繰り返す。
1本だけ先にゆるめてしまうと残った1本に負荷がかかって、結果的にオーバートルクになる。
これがクランクのネジ山を傷める原因。
ボルトを緩めたらセンターキャップを外す。
センターキャップは、クランクの固定ボルトで同時に締め付けられているので先に外すことはできない。
キャップを外したら、クランクの抜け止めのプレートが隙間に入ってるので先の細いもので外側に持ち上げるようにすれば簡単に外れる。
外してみると分かるが、これは抜け止めと言っているが抜け止めの役割はほぼない。
ボルト・キャップ・抜け止めを外せば左クランクは抜ける。
左クランクを抜いたら、右クランクを外側に引き抜く。
少し抜けにくいかもしれないので、その場合は左側に出ているシャフトを少し押してやる。
手で軽く叩いても抜けるはず。
右クランクがなかなか抜けてこない場合、BBベアリングが真っすぐ入ってない可能性がある。
BBベアリングの芯が出ていれば、シャフトはベアリングに対して真っすぐ入っているのですんなり抜けるはず。
このフレームのBBはタップをかけてフェーシングしてあるので芯が出ているからすんなり抜けてくる。
クランクからチェーンリングを外す
ダブルチェーンリングをクランクから外すには5㎜の六角レンチと【ペグスパナ】が必要。
シマノ TL-FC21
4アームのシマノのクランクの場合は、裏側からトルクスボルトで固定されているので、トルクスレンチだけあれば外すことができる。
六角レンチで緩めたときに裏側のナットが同時に回ってしまう場合はペグスパナが必要だが、回らない場合は六角レンチだけで外すことができる。
今回は六角レンチだけでゆるめて取り付けることができた。
4本ないし5本を緩めて外したらチェーンリングを取り外す。
PCD100㎜だと内径が小さいのでクランクに傷をつけないように慎重に。
シングルチェーンリングを取り付ける。
4アームクランクにシングルギヤを取り付けるにはチェーンリングボルトを別に用意する必要がある。
ボルトで止まっているダブルチェーンリングに対して、シングルチェーンリングはボルト&ナットが必要だからだ。
シングルにするにはチェーンリングボルトを交換しないといけない場合がある。
ダブルだった時とは厚さが変わるためだ。
チェーンリングボルトには【ロード用】と【トラック用】の2種類がある。
トラック用の方が当然短い。
Wolf Tooth のこのチェーンリングの場合、ロード用で取り付けができた。
クランクのスパーダ―アームの厚さによって微妙に変わるのかもしれないが、トラック用だと逆に短すぎる。
ちなみにこのクランク(SORA FC-3450)のスパイダーアームの厚さは約4㎜だ。
Wolf Toothのギヤ板の厚さも約4㎜。
シングル用のチェーンリングボルトは最も締めた状態が約4㎜なので足りない。
ノーマルのチェーンリングボルトは6.5㎜。
社外品のダブル用は8.4㎜。
社外品のものだと少し長すぎるのでノーマルのチェーンリングボルトを使用している。
アルミ製だと耐久性に不安もあるのでスチール製のノーマルの方が安心。
シングルチェーンリングをつけるのはアウター側?インナー側?
おそらく、初めてフロントシングルにする場合、チェーンリングをアウター側かインナー側のどちらに取り付ければいいのか悩むと思う。
私はアウター側に取り付けることを勧める。
理由は、スパイダーアームのチェーンリング取付面が見えてしまうことで見た目が悪いこと。
そして、リヤのカセットはトップ側を使用している時間の方が長いことがアウター側に取り付ける理由。
アウター側でもインナー側でも、どちらでも必ずチェーンラインはクロスする。
クロスする時間が短い方を選択した方がいい。
ヒルクライムでシングルギヤを組む方は、インナーに取り付けるべきだ。
ヒルクライムのカセットの仕様位置はロー側がメインだからだ。
取付位置が決まればチェーンリングを取り付ける
1枚しかつけないので簡単。
変速する必要が無いので、チェーンリングの位置は気にしなくていい。
とにかく見た目が良ければどの位置に取り付けても構わない。
私はメーカーロゴがクランクアームの延長線上とした。
ボルト&ナットを取り付け対角線で締めればあとはフレームに取り付けて完成。
クランクをフレームに取り付ける
取り外した作業と逆にやれば何も問題はない。
右クランクは右側からBBに差し込む。
左クランクを右クランクのクランクアームと180度の位置に取り付ける。
おもしろがって、右クランクと同じ位置につけてみたくなるかもしれないが、抜け止めが入らないのでできない。
遊ぶ分にはやってみても面白い。
両脚が同じ動きになるペダリングが習得できる。
なんの役にも立たないが・・・。
左クランクの抜け止めを差し込んで、センターキャップを取り付ける。
センターキャップの締め付けトルクは【0.7~1.5Nm】。
ほぼ締め付けていないことがわかるだろう。
センターキャップの役割を知れば納得するはず。
センターキャップは、BBベアリングとのクリアランスを0㎜にするためのものだと思えばいい。
0㎜ではかならずガタが出るので、ベアリングにほんのわずかに圧力(プリロード)をかけてやりたい。
クランクをほんの少しだけベアリングに密着させるようにして走行中にガタが出ないようにする。
軸方向の圧力はベアリングにはいい影響はないので、センターキャップの締め付けはかなり微妙。
指先でちょっと締める程度でいい。
もちろん左クランクにガタが無いことは確認しなければならない。(玉当たり調整のようなもの)
締め付けすぎるとベアリングの寿命を縮める。
センターキャップを締めれば、クランクのボルトを5㎜の六角レンチで締める。
2本あるので、ゆるめたときと同じように1本ずつ交互に締め付ける。
締めすぎるとネジ山を傷める。
12~14Nmが指定トルクなので、小さい数値から徐々にこの指定トルクになるように締める。
ちなみに私はトルクレンチは使わないが、手ルクレンチで締め付けた後でトルクレンチで測定したら8Nmあたりだった。
私の感覚では12Nmもの締め付けトルクは必要ないと思うが、クランクに表示してあるのが12Nm~14Nmだからこれが正しい数値だ。
左クランクに締め付けトルクの表示がしてあるので確認して締め付けてほしい。
シングルギヤにチェーンを取り付ける
Wolf Toothのチェーンリングは 【ナローワイド】なので、チェーンを取り付ける位置がある。
間違えると入らないが、それに気が付かずにクランクを踏むとチェーンが外れなくなるかもしれない。
刃先をよく見ればわかるが、厚い歯とうすい歯があるので厚いほうにチェーンのアウターリンク(広いほう)を入れうすいほうにインナーリンクを入れる。
この構造のおかげでクロスしたギヤを使ってもチェーンが外れることは無い。
1年間使ってチェーンが外れたことが無いので効果はあるのだろう。
ナローワイドなので、ギヤ数は必ず偶数だ。
奇数の歯数はナローワイドではありえない。
まとめ
フロントシングルへの交換方法はご理解いただけただろうか?
変速の必要が無いというのはストレスをかなり軽減してくれる。
個人差があって当然だが私はフロントシングルが好きだ。
細身のクロモリフレームだと、フロントシングルでスッキリとしたフォルムで似合っていると思う。
直付け台座があると「何か部品が足りない」感があると思うが、シンプルなクロモリフレームであればフロントシングルはとても似合っていると思う。
Wolf Toothのチェーンリングは、剛性感が素晴らしいのでお勧めする。
踏めば必ず剛性を感じるはず。
これがすごく気持ちい踏み心地だから、これだけでフロントシングルにする理由になるはず。
SORAクランクがデュラクラスにグレードアップしたような踏み心地になる。
特にヒルクライムでそれを感じる。
駆動系で力が逃げている感じは全くない。
ぜひこの感覚を味わってほしいと思う。
みんなが同じような自転車に乗ってるので個性のある自転車が少なくなってきた。
自転車はおもちゃと同じ。
自分で好きなようにカスタムするのも楽しいのでフロントシングルをぜひ試してみてほしい。
フロントシングルのメリットデメリットの記事を参考にしていただければ、初めてでもある程度の方向性は見えるはず。
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