洗車をしないと自転車部品は壊れるほどのダメージを受けます。
画像は汗で壊れてしまったブレーキキャリパーです。
この記事を読むと『洗車は自転車に良くない』と思っている方が、洗車しない方が自転車に良くないと思うはずです。
汗で固着したブレーキキャリパー
入庫してきた自転車は、ローラー専用で使っているものでした。
シフトワイヤーが切れたので交換作業です。
ローラー専用なので、通常の使い方とはちがいます。
ブレーキを使うことはありませんから。
ブレーキキャリパーは完全に固着していました。
フロントブレーキキャリパーが汗で固着していたんです。
ブレーキレバーを握るとわずかに動きますが戻ってきません。
リターンスプリングの力では戻せないほど固着しています。
クイックレリーズのレバーは、手で動かすことはできず、最終的には折れてしまいました。
折れるほどの力をかけても微動だにしません。
原因は『汗』です。サビではありません。
![](https://kizna.xyz/wp-content/themes/cocoon-master/images/doya-man.png)
ローラーで普段動かしてないからでしょ
確かにこの自転車はローラー用でブレーキを動かすことはありません。
動かさないから固着したと思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
以前こんなことがありました。
![](https://kizna.xyz/wp-content/themes/cocoon-master/images/man.png)
ブレーキの調子が悪くて、引きずる感じがするので見てほしい
ブレーキが引きずるということだったので、点検するとフロントキャリパーが固着ぎみになっていました。
今回と同じように、動きが非常にシブくリターンスプリングでは戻りません。
オーナーに洗車はしているかと聞いたところ「洗ったことはない」とのこと。
洗ったことがなくても吹いてはいたそうです。
表面の汚れや汗はきれいになっても、可動部分に入った汗や汚れは洗車をしないときれいにすることはできません。
ということから、固着の原因は間違いなく『汗』です。
【汗は怖い】 汗でヘッドパーツも固着する
ヘッドパーツが汗で固着というのも実際にあった事例です。
自転車パーツでいちばん汗の影響を受けるのはどこかわかりますか?
ヘッドパーツです。
ヘッドパーツにはグリスがたくさん入っているイメージですよね。
グリスが入っていればさびにくいので汗の影響は少ないと思っていませんか?
それは間違いではないですが、前提条件があります。
普段からグリスアップなど、メンテナンスをしていること。
劣化したグリスでは、サビを防ぐことはできません。
潤滑性能にも問題アリです。
ブレーキキャリパーよりマズイのは、洗車しても汗を洗い流すことができにくいのがヘッドパーツです。
グリスに混ざり込んでしまった汗は洗車で洗い流すことはできません。
ではどうするのか?
もうわかりますよね。
オーバーホールしてグリスを入れ換えればいいんです。
塩は隙間に入りにくいが、汗はどこにでも入っていく
塩を自転車にふり掛けても、大きな隙間に入ることはあっても小さな隙間には入りにくいのはわかりますね。
水に溶かした塩水は隙間に入ります。
汗は塩水なので、小さな隙間でも入ってしまいます。
そして乾くと結晶化して塩になる。
隙間に入った汗は塩の粒になって隙間にたまっていきます。
固形化してしまった汗にさらに汗がつくと大きな個体になって、部品の状態をさらに悪くしていくわけです。
汗は液体ですが塩です。
小さな隙間でも入ってしまう『塩』だということを認識しましょう。
水なし洗車・・・隙間の汗は洗い流せない
![](https://kizna.xyz/wp-content/uploads/2019/12/DSCN4156.jpg)
洗車は水を使って汚れを洗い流します。
泥などの汚れを洗い流すことが洗車だと思うのは間違いです。
私は常に汗を洗い流すことを意識して洗車をしています。
つまり、見えるところではなく見えない隙間を洗い流すイメージですね。
ワコーズの『フォーミングマルチクリーナー』というケミカルがあります。
手軽にきれいにできるケミカルなので、私もよく使っています。
フレームについた泥や汚れは洗車をしなくても、フォーミングマルチクリーナーを使えばすっきりときれいになります。
今回のブレーキキャリパーなどの隙間に入った汗にはどうかというと、効果はあまりないです。
やはり洗剤を使って、水で洗った方が明らかに動きがよくなります。
![フォーミングマルチクリーナーでキャリパー洗浄](https://kizna.xyz/wp-content/uploads/2021/01/DSCN5512.jpg)
マルチクリーナーは泡なので、隙間に入る量が少ないです。
隙間に入り込むまでに時間もかかります。
いちばん効果があったのは水。
動きの悪い部分も水の中で少しずつ動かすことで、汗が水に溶け動きがよくなっていきます。
![水の中で洗浄](https://kizna.xyz/wp-content/uploads/2021/01/DSCN5513.jpg)
フォーミングマルチクリーナーなどの水なし洗浄剤はフレームなど、拭きとれる場所にはいいのですが、小さな隙間や可動部分の洗浄は水がいちばんきれいになります。
洗車はメンテナンスです
メンテナンスで大切なことは洗うことです。
つまり洗車もメンテナンス。
しかし、洗車することのデメリットは、油分まで洗い流してしまうこと。
動く部分に油分は絶対に必要なので、それを洗い流すことはいいこととは言えません。
だから注油メンテナンスをしなければならないんですね。
洗車で洗い流した油分を、メンテナンスで復活させましょう。
ヘッドベアリングや、ハブベアリング・BBなどは洗車と同時にはできませんが、1年に1回程度やれば自転車をいい状態で維持できます。
変速機やブレーキキャリパーなどは、メンテルーブなどのケミカルで洗車の時に注油すればOKです。
メンテルーブはチェーンオイルにもつかえるので、これ1本あればほぼすべてのパーツに使うことができる万能オイルです。
水置換性があるので、洗車した後の潤滑が必要な場所で使うことが最適化されているのが大きな特徴です。
水置換性とは、通常のオイルは水に浮いてしまいますが【水置換性オイル】は水に浮かず、水の下にはいります。
水と置き換わるので【水置換性】といいます。
水置換性オイルを使た場合の洗車の流れは【中性洗剤で洗う → 水で流す → 動く部分に注油 → 拭き上げる】です。
【まとめ】汗は自転車の大敵
汗で動かなくなった部品は、壊れてしまうくらいのダメージを受けています。
汗によって【錆びる】から動かなくなるのは想像できますが、塩で動かなくなるなんて想像できますか?
洗車で防げるトラブルも多いです。
汗もその一つです。
【洗車は自転車に悪い】というのは、定期的なメンテナンスをしないからです。
洗車をして定期的なメンテナンスをすれば、いつまでの新車のような自転車に乗り続けることができます。
洗車は大切です。
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