OBD車検が始まります

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いよいよOBD車検が始まります。

自動車の安全性が高まるにつれ、増えていく電子技術の検査をするのがOBDによる車検です。

いままでは電子部品の故障に関しては、検査の対象外のものがありましたが、コンピュータに記録されている故障個所を診断し、不具合があれば車検に合格することができなくなります。

OBDは車の修理に今までも使われてきたので、修理業者としては新しいものではありません。

というか、OBDがないと故障個所の診断ができない場合もあります。

整備士にとっては当たり前につかっている診断機のOBDですが、OBD車検に使う診断機は通常の整備で使うOBD診断機とは違うものになっています。

OBD車検とはどういったものか?

ユーザー車検はどうなるのでしょうか?

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OBD車検とは

OBDとは【On Board Diagnostics】オンボード・ダイアグノーシスといいます。

現在の規格はOBD2というもので、車の電子部品の故障個所をコンピュータ内に記憶しておくものです。

診断機にかけると故障個所が「故障コード」として表示されます。

この故障コードのことを【DTC(Diagnostic trouble code)】といいます。

故障コードをコード表と照らし合わせて、その部品を交換します。

電子部品の故障は目に見えないので、OBDの診断機がないと対応することができません。

OBD車検は、コンピュータ内に記憶された故障個所が車検に不適合なのか?適合なのか?を検査します。

故障個所が見つかれば車検に通らないことになりますが、すべての電子部品の故障が車検に関係するものではないのが、ややこしい部分です。

OBD車検を取り入れる背景

車の電子部品の不具合は数年前までは車検においては関係ありませんでした。

例えば、ABSの警告灯が点灯していても、コンピュータの警告灯が点灯していても車検においては関係なかったのですが、数年前から警告灯がついていると検査で不合格になっています。

ABSの警告灯がついていても『制動力』が合格ならOKですし、エンジンチェックランプが点いていても排気ガスが正常なら検査には合格していました。

今は点灯しているだけで不合格になります。

安全装備が充実してきている中で、センサー不良を見落としているために事故を起こしてしまうようなことがあってはならないです。

警告灯が切れていたり、警告灯の点灯を促さない故障があった場合は、コンピュータのメモリの確認で発見することができます。

OBD車検はどういった車検になるのか

OBD2コネクタ

OBDは車に備え付けられている診断コネクターに診断機を取り付けることで故障コードを読み取ります。

運転席のダッシュボードの下とか、助手席側とかに台形のコネクタがあると思いますが、それがOBDのコネクタになります。

車検場では、このコネクタに診断機を取り付けて【特定DTC(Diagnostic trouble code)】を取りだします。

DTCは故障コードのことを言いますが、車検で必要なコードを【特定DTC】といいます。

特定DTCに含まれない故障は車検には関係ありません。

例えばスピーカの断線とかですね。

この特定DTCを読み取って、特定DTCアプリを介してインターネット経由で診断して判断します。

つまり、診断はインターネット経由で故障個所を診断し、合否はアプリが判断します。

特定DTCに含まれる項目

車検に必要な特定DTCは大きく分けて3項目になります。

  • 排出ガス等発散抑制装置

O2センサ・排気温センサ・スロットルセンサ・エアフロセンサ など

  • 運転支援装置

ABS・自動ブレーキシステム・ブレーキアシスト・横滑り防止装置・車両接近通報装置 など

  • 自動運転技術

対象車両

対象車両は2021年10月登録以降の車両が対象になります。

輸入車は2022年10月以降の車両です。

車検証の備考欄にOBD車検の対象車の記載があります。

運用開始は2024年10月から

OBD車検が始まるのは2024年10月からになりますが、プレ運用として2023年10月から始まります。

検査員の慣れとか、運用する場合の注意点などが本格運用までに洗い出されることになります。

プレ運用で特定DTCで不合格判定が出ても、その部分は検査には影響はありません。

車検には通るけど修理は必要なので、特定DTCが出れば修理をしましょう。

特定DTCスキャンツール

車検で使うスキャンツールは専用の診断機になります。

整備工場はこの中から選んで購入することになるんでしょう。

整備振興会などの既得権益になる予感がしますね。

ユーザー車検はどうなる?

一般的な診断機
一般的な診断機

OBD車検はユーザー車検業者にとっては厳しいものになるかもしれません。

運用開始後は検査車両も新しいことから影響はほとんどないと思いますが、2回目の車検や3回目の車検など車が古くなれば特定DTCで不合格判定が出る可能性もあります。

車検に持ち込む前にOBDのスキャンをすればいいのですが、OBD車検の【特定DTC】はアプリで行います。

これができるのが【法定スキャンツール】という診断機です。

これの入手がだれでもできないかもしれません。

整備振興会の会員であれば、振興会を通して購入することができるかもしれませんが、通常のOBDツールのように簡単に手に入るものとは思えません。

一般的なスキャンツールとは違うのがユーザー車検で足かせになるかもしれませんね。

スキャンは車検場でやってもらう

法定スキャンツールがない場合は、特定DTCを点検せずに検査場に持ち込むことになります。

ただし、そこで異常が出た場合は部品の手配から修理、センサの校正などで時間がかかることになります。

できれば事前に点検しておきたい部分ですね。

車検場のそばには必ずある「テストセンター」には常備してあるかもしれないので、料金を払ってスキャンしてもらった方がいいかもしれませんね。

まとめ

OBD車検は2024年10月から始まります。

初めての車検の車が対象になるので、特定DTCの不合格は出ないと思います。

OBDコネクタにスキャンツールをつなぐだけなので検査は簡単ですが、アプリでの判断なので見落としなどはありえません。

OBDコネクタから、車の信号や電源を取っている方がいらっしゃいますが、やめたほうがいいです。

コンピュータに余計な信号が入ったり、故障診断で余計な信号を取り出したりすることが無いとは言えません。

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