ロードバイクのタイヤを分解したことはありますか?構造を知ることでカタログの数値から自分の求めるタイヤが選べるようになります。今回はTPIに焦点を当ててみました。
カタログに書かれている情報には【サイズ・TPI・色・重量・価格】などか書かれています。メーカーによっては【パンクベルトの種類(有無)・コンパウンドの種類】なども書かれていますね。
この中の『TPI』って何かご存じですか?
この記事では『TPI』とは何か?という部分をチューブラータイヤを分解して解説します。
クリンチャータイヤも同じですので「チューブラータイヤなんて使ってないよ」という方も参考にしてください。
タイヤを選ぶときに『TPI』を気にする必要はありませんが、知識として覚えておきましょう。
タイヤの『TPI』とは
TPIとは、タイヤのケーシングを何本の糸で編んで作られているか?という数値です。
※ ケーシングとは、タイヤ全体の形を構成する部分を言います。チューブを包むケースです。
TPIとして使われている基準の面積は1インチ四方です。1インチは2.54㎝なので【縦2.54㎝・横2.54㎝】のケーシングを何本の糸で編んであるかという数値のことを言います。
ヴィットリアのタイヤのハイエンドモデルは320TPI。
つまり、1インチあたり320本の糸で編んであります。エントリーモデルのチューブラーだと220TPIです。クリンチャーのハイエンドモデルは、チューブラーと同じく320TPI。エントリーモデルだと26TPIと2ケタになってしまいます。
ヴィットリア以外では『コンチネンタル GP5000』はクリンチャーで330TPI、チューブレスになると180TPIです。
チューブレスは、エアー保持のためのコーティングなどが内部にあるので、ケース剛性を上げる必要があります。TPI値が1/2に近いのはそういったことが理由なのだと思います。
ミシュランのパワーシリーズは330TPI と180TPIとなっています。TPIの数値では2倍近い数値ですが180TPIの方が乗り心地が悪いかというとそうではありません。乗り心地はコンパウンドの影響が大きいのがミシュランのタイヤで理解できるのではないでしょうか。
オールシーズンの方がTPI値が小さい理由としては耐久性があるのだと思います。速く走るためにはTPI値を多くすれば軽くなります。その分耐久性が落ちてしまいます。エンデュランスより耐久性を上げたのがオールシーズンなのでTPI値は小さくなっています。
こういったことをTPI値から読み取れるので、知識として必要だと理解していただけたでしょうか。
TPIの数値によるタイヤの印象
同じ面積を編む本数が違うということは、糸の太さが違うということです。糸の太さが違えば重さが変わり、タイヤの厚みも丈夫さも変わってきます。
糸の太さのわかりやすい例としては、女性のストッキングが比較的わかりやすいと思います。
薄いストッキングの糸は細いので肌が透けていますが、タイツでは糸が太くなるので肌が透けません。しなやかさではどうでしょう?薄いストッキングの方がしなやかですよね。
重さも厚いタイツの方が重くなります。
※ストッキングは糸の太さで厚さを表示しています。太い糸を使えば生地は厚くなり、同じ面積であれば編んである糸の数が少なくなります。
もう一つ例を出すと、ジーンズとTシャツではジーンズの方が剛性感があって、Tシャツはしなやかで柔軟ですよね。
320TPIは薄いストッキングやTシャツであり、26TPIはタイツやジーンズのようなものです。
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タイヤに話を戻すと、TPIの違いは乗り心地と重量が大きく変わります。
ただし、乗り心地に関しては、ケースだけの影響ではなく路面と接するコンパウンドも影響するので『320TPIのタイヤより220TPIの方が乗り心地がいい』ということはあります。重量においてはTPIの数値が大きいほうが軽いのは間違いありません。
タイヤのしなやかさでは、ストッキングやジーンズの例と同じようにTPIが大きいほうがしなやかで路面追従性は良いと言えます。
タイヤの路面追従性を説明しておきます。320TPIのタイヤはしなやかなので、路面の凹凸に合わせてタイヤが変形してくれます。TPIの数値の小さなタイヤは、路面の凹凸の上を転がるだけで、路面をしっかりととらえてくれません。
路面をはねているようなイメージですね。グリップも悪いですし、乗り心地も固いものになります。
コンチネンタルのクリンチャーは、触った感じでは乗り心地の悪い印象を受けます。実際に乗るとしなやかで乗り心地が悪いという印象はありません。TPI値は高いので数値通りなんだと感じます。
ミシュランは触った感じも乗った時の印象も乗り心地はとてもいいです。しかし、コンチネンタルに比べてTPI値は小さいものだったりするので、やはり一概にTPI値でタイヤの性能を決めることはできないんだなと思います。
320TPIと220TPIを比べてみる
320TPIで編まれたタイヤを見てみましょう。
上の画像は【ヴィットリア コルサ CX-2 チューブラータイヤ 】です。非常に細い糸で編みこんであります。
上の画像は220TPIの【ヴィットリア ストラーダ】です。320TPIと比べると糸の粗さが目立ちますよね。並べてみましょう。
画像だとわかりにくいかもしれませんが、320TPIだとなんとなくフワフワしてるように見えますよね。手に取ってもはっきりとしなやかなのがわかります。
糸の太さが変われば厚みも変わります。上の画像の下にあるのが320TPIです。タイヤサイドが薄くしなやかになるので、しなやかな乗り心地になります。チューブラーはクリンチャーに比べてTPIの数値に対してはそのまま乗り心地の良さにつながるイメージがあります。
220TPIのチューブラーは、クリンチャーと比べても乗り心地は良いですが、320TPI になるとさらに乗り心地はよくなります。
チューブラータイヤを選ぶときは、TPIは意識した方がいいと思います。
まとめ
タイヤカタログに書かれている【TPI】について解説しました。
ほとんどの方はTPIなどよりも、タイヤメーカーや商品で選んでいると思います。あまりこだわる部分ではありませんが、タイヤの選択で悩んだ時の一つの指標としてTPIの知識があるといいと思います。
TPI値が高いと【軽い・しなやか・グリップがいい】、TPI値が低いとその逆になります。
乗り心地に関しては、コンパウンドの影響が大きいのでTPI値で判断はできません。
とはいえ、ケーシングのしなやかさはTPI値で判断できるので、同じ価格帯のタイヤでTPI値が違うのであれば、高性能なタイヤはTPI値の高い方ということになります。
あなたのタイヤのTPI値を見直してみてください。
『乗り心地の悪さはTPIかも』とか、『グリップの悪さはTPIかも』といった新しい気付きになるかもしれません。
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