【シマノ】SPDペダル のオーバーホールとグリスアップ

記事内に広告が含まれています。

愛用中のシマノ SPDペダルにガタが出たのでオーバーホールしてグリスアップしました。

ペダルは走行中は常に回転させている部分なので、メンテナンスはきちんとしておきたいパーツです。

とはいえ、分解すると『玉当たり調整』が必要です。

かなり微妙な玉アタリ調整を求められますが、時間をかければできると思います。

ガタが無く『そろそろグリスアップだけでもしたいなぁ』と思ってる方は、シャフトの取り外しだけでも参考になさってください。
シャフトを抜くだけでは玉アタリは変わりませんからご安心を。

この記事と動画で、グリスアップまでは確実にできるようになります。

スポンサーリンク

必要な工具は4点 専用工具は1点のみ

分解するのには工具が必要です。

このSPDペダルで必要な工具は3点です。

  1. 10㎜のスパナ(薄型の方がいいです)
  2. 7㎜のスパナ
  3. シマノ TL-PD40(専用工具)
  4. ペダルレンチ(15㎜のスパナ)

この4つとグリスがあれば、簡単に分解することができます。

10㎜のスパナや7㎜のスパナはホームセンターで手に入るでしょう。

注意してほしいのは、10㎜のスパナは薄型のものが使いやすいです。
もし薄型が無ければ、普通のものでもいいのですが、そうすると7㎜のスパナが使えないかもしれません。

その場合は7㎜のソケット工具を使うことになります。

私は10㎜のスパナを削って薄型に改造しています。

今回使う個所の10㎜に関しては、力を入れるのではなく「押さえて動かないようにする」程度の使い方なので、家具の組み立てなどで付属しているようなスパナでも十分代用できます。

7㎜に関しては、ロックナットできちんとした締め付けをするので精度の良いものを使いましょう。

専用工具の TL-PD40 は数百円で購入できます。
このタイプのペダルはこれが無いと分解できないのでぜひ用意してください。

ペダルレンチをお持ちでない方は、ペダルレンチが必要です。

クランクからペダルを取り外すためにはこれが無いと外すことはできません。

15㎜のスパナでも代用はできますが、強く締まっている場合はスパナ程度ではゆるめることはできません。

おすすめはHOZANのペダルレンチです。

プロ仕様のものですが、半端なものを購入するよりこれを一本用意したほうが間違いありません。

ペダルを自転車から取り外しましょう

ペダルを分解するには、まずは自転車から取り外す必要があります。

6㎜や8㎜の六角レンチでシャフトの裏側から外すこともできますが、力を入れにくいので私はペダルレンチを使用して取り外します。

15㎜幅なので15㎜のスパナでも代用はできますが、初めて取り外すときは強く締まっていてスパナでは外せないかもしれません。

先に紹介したHOZANのペダルレンチであれば、確実に取り外すことができます。

ペダルは左右で締め付け方向が違います。

右側のペダルは右ネジで、左は逆ネジになっています。

右側を取り外すときは左に回し、左側は右に回すとゆるみます。

SPDペダルの分解

シマノ SPDペダル

ペダルが外れたら分解しましょう。

TL-PD40 を使ってペダルからシャフトを抜きます。

新品の時はこれが固くてゆるめることができないことがあります。

基本的にTL-PD40を使う部分は工具での締め付けはしません。

手で締めるだけなので、手でゆるむはずです。

わたしのSPDペダルは、自分で手で締めているので手でゆるめることができますが初めての時はゆるめることができませんでした。

大きな開きができるモンキーレンチがあればいいのですがなかなか無いと思います。

私はバイスで挟んで回しましたが、ウォーターポンププライヤーがあれば回すことができるはずです。

本来は手でゆるむはずなので、TL-PD40にウエスを巻き付けて挑戦してみてください。
工具を直接回そうとすると手が痛くて回せないのでウエスを巻いた方がいいです。

この部分もネジの締め付け方向が違うので気を付けてください。

左のペダルは正ネジなので左に回すとゆるみます。
右ペダルは逆ネジなので右に回すとゆるみます。

シャフトが抜けたらグリスアップ

何とか苦労してシャフトが抜けたら、困難な部分はもうありません。

シャフトを分解してしまうと玉当たり調整をしないといけないので、ガタなどが無くて単純にグリスアップのみの方は、ここでグリスを塗ればOKです。

先端がボールベアリングになっているので、パーツクリーナーなどで洗浄後にグリスを詰め込んで元に戻せばグリスアップは完了です。

分解してすべてきれいにオーバーホールする場合は10㎜と7㎜のスパナを用意してください。

シャフト先端にナットが2つあります。
10㎜と7㎜です。

7㎜はロックナットなので緩めましょう。
左右のネジ方向の違いはありません。(モデル(年式)によって逆ネジもあり)
左右とも正ネジなので、左に回せばゆるめることができます。

ロックナットを緩めたら10㎜のナットをゆるめます。
手でゆるめることができるはずです。

10㎜のナットは『玉押し』になっているので、ゆるめると小さな鋼球が見えてきます。
非常に小さな鋼球なので、パレットなどの上で必ず作業してください。
無くすとほぼ見つかりません。

鋼球は上側に12個、下側に12個の合計24個組み付けてあります。

玉受けのスリーブをゆっくりと持ち上げると下側の鋼球がバラバラになって落ちてきます。

しっかりと数を確認しておいてください。

鋼球を取り外したら洗浄しましょう。

下側の玉受けは、ペダルへのネジ部分の上にグリスで張り付いていると思います。
ワッシャのように見える部品ですが『玉受け』なので、鋼球が入るようにナナメになっている方に鋼球を並べます。
上下を間違えないようにしてください。

【注意!】 モデルや年式によってシャフトが違う

逆ネジの右側シャフト
右側は逆ネジの場合もあり

私は同じペダルを2セット使っていますが、年式によってシャフトが違うことがわかりました。

古いものは左右とも7㎜及び10㎜のナットは正ネジですが、新しいものは右側が逆ネジになっています。

すべての同じシャフトを使っているもので、同じことがいえるかどうかわかりませんが、画像のように「スリーブの片側だけがテーパー状になっている」「ナットの色が右側だけシルバー」という違いがあります。

左側のスリーブも片側のみテーパー状なので、年式の違いはこの部分で判断できるかもしれません。

ナットの色がシルバーと黒と色分けされていることで逆ネジと正ネジの判断ができるようになっているのかもしれません。

分解される場合は、右側が正ネジか逆ネジかを正しく判断してゆるめるようにしてください。

ゆるめているつもりが締めているようだと、細いネジなので折れてしまうかもしれません。

洗浄後は鋼球を並べて玉当たり調整

すべてのパーツをきれいにしたら、鋼球を組み付けていきましょう。

ペダル軸にプラスチックスリーブと下側の玉受けを取り付けます。

下側の鋼球の数は12個ですね。

グリスを少し多めに塗って、鋼球を並べていきます。
グリスは糊代わりに使うので少し多めがいいです。

鋼球が埋まるくらいでもかまいません。

小さな鋼球なので、指でつまんでという作業はやめましょう。

私はピンセットを使っていますが、爪楊枝で代用できます。
というか、つまようじの方が楽に作業できると思います。

つまようじの先にグリスをちょっとだけつけて糊代わりに使い、鋼球1個をようじの先につけて並べていけば落とすことなく簡単に作業できます。

下側を並べたら、玉押しのスリーブを入れて上側の鋼球を同じように12個並べましょう。

10㎜の玉押しをつけて7㎜のロックナットも取り付けて玉当たり調整です。

玉当たり調整はかなりシビア 単体では分かりにくいから注意

鋼球を並べたら10㎜の玉押しで玉当たり調整をします。

かなりシビアなので、何度も時間をかけて気長にやっていきましょう。

1度で玉アタリが出ることはまずありません。

10㎜のナットを締めていけば玉アタリはきつくなります。
同時に回転も重くなり、玉アタリが強すぎれば回転部分が傷つく『ムシ食い』がおきてしまいます。

ゆるいとガタがでて、同じようにムシ食いがおきてしまうのでちょうどいいアタリを出す必要があります。

10㎜ナットの下の玉受けスリーブを手で前後左右にゆすりながら、ガタが無く回転に抵抗が無い位置でロックナットを締め付けます。

ロックナットを締め付ける時に、10㎜ナットも動いてしまうのでスパナで押さえて動かないようにしてロックナットを締め付けます。

この状態で回転とガタを見て良いようであれば、いったんペダルに取り付けます。

ペダルに取り付けた状態でもう一度回転とガタを見てください。

シャフト単体では分からなかったガタがペダルに取り付けると出てくるはずです。

この状態でOKであれば、シャフトを取り外してグリス量を調整します。

その後ペダルに組み付けて完成・・・ではありません。

いったん自転車のクランクに取り付けましょう。
ペダルレンチで締め付ける必要はありません。

手で軽く締めつけて、ペダルに体重をかけてガタと回転を確認します。

すべて良好であれば完成です。

クランクから取り外しTL-PD40を本締めします。

TL-PD40は先にも書いた通り、工具での締め付けはしません。
手で締めるだけで十分です。

TL-PD40にウエスを巻いて手で締めましょう。
力いっぱい絞める必要もないです。
ギュッっと締っていればゆるむことはありません。

これでオーバーホールは完了です。

動画でおさらい

まとめ

愛用中のSPDペダルにガタが出たのでオーバーホールしました。

ポイントは24個の小さな鋼球と玉当たり調整です。

鋼球の小ささは動画で確認できると思います。

決して無くさないようにしてください。

玉当たり調整は、シャフト単体ではなく最終的にクランクに取り付けて確認してください。
脚で踏む部分なので、小さな力では分かりにくいガタを見つけることができます。

専用工具 TL-PD40 の締め付けは手で十分です。
工具で締め付けないでください。

ペダルは自転車を動かしている間、常に回っています。
小さなガタは気がつきにくいですが、とても重要なパーツなので定期的に点検しましょう。

コメント