カーボンフレームのリヤディレーラーハンガーはリプレースタイプで交換ができるようになっています。
交換ができるということは取り外せるということなので、点検していないと緩むことがあります。
時々ゆるんでいる車体が入庫することがあるので注意点などを書きます。
この記事を読めば、リヤディレーラーハンガーの点検からボルトの取り付けまでの方法が理解できるはずです。
ゆるみ止めによる防止策におすすめも紹介します。
リプレース式のリヤディレーラーハンガーは折れやすい
カーボンフレームのリヤディレーラーハンガーは交換できます。
アルミフレームやクロモリフレームではフレームと一体式のものが多く、取り外すことはできません。
ではなぜカーボンフレームのリヤディレーラーハンガーが取り外せると思いますか?
リヤディレーラーハンガーが折れることによってフレームを保護するんだ
カーボンフレームの多くは、リヤエンドもカーボンで出来ています。
リヤディレーラーハンガーもカーボンで作ってしまうと、衝撃で折れてしまいます。
アルミで出来ていれば曲がりますが、カーボン繊維は曲がるということはありません。
ディレーラーハンガーが折れる = フレームが使えなくなる(廃車) なのでカーボンフレームの場合はディレーラーハンガーだけを金属で作ってボルト止めしています。
ディレーラーハンガーはカーボンで作られたリヤエンドにネジ止めされているので、当然ネジ止め部分も金属に比べて弱いです。
大きな衝撃で、ディレーラーハンガーがズレることがあれば、金属のハンガーがリヤエンドにダメージを与えます。
この時にフレームを守るためにディレーラーハンガーは折れるようになっています。
リヤディレーラーハンガーの内側などにスリットが入っているものがありますが、このスリットが折れるきっかけになってフレームを守ります。
カーボンフレームにとってリヤディレーラーハンガーは交換前提で作られている部品の一つです。
リヤディレーラーハンガーが曲がる原因
普通に走っていればほぼ曲がりません。
簡単に曲がるほど柔らかい材質ではないので普段のメンテナンスで気にする必要はないでしょう。
ただ、落車とか立てかけておいた自転車が風で倒れるなどで変速機側に衝撃があると曲がります。
こういった場合はきちんとハンガー修正をしておきましょう。
今の変速機は性能がいいので、多少曲がっていてもきれいに変速します。
『変速に異常が無いから大丈夫』だと思って曲がったままにしているとホイールに巻き込んで折れます。
変速の仕方でも曲がることがあるので、変速に気を付けることも大切です。
上り坂でトルクをかけているときに、無理やり変速するホイール側に少しづつ曲がってしまいます。
これは、チェーンにトルクがかかって変速しづらい状況であるにもかかわらず、変速レバーで無理やり内側に引いてしまうことから起こります。
変速するときは、必ずトルクを抜いてチェーンがギヤを変えやすい状況を作ることはとても大切ですよ。
昔の変速機はトルクがかかってると全く変速しなかったんだ。
その当時に乗ってた人は変速が上手だね。
ディレーラーハンガーのゆるみに注意
交換式のディレーラーハンガーは2本のボルトで固定されています。
リヤエンドの内側から固定されているので、気がつかない方もいるかもしれません。
ディレーラーハンガーは、リヤエンドにボルト止めされていますし、ホイールがついている状態ではハブを挟み込んでいるのでゆるみには気がつきません。
細いボルトなので意外とゆるんでしまうことがあって、ハブを挟み込んでいるので普段気がつきにくい部分です。
ゆるんだままでも、ハブが固定されていれば動くことはないですが、万が一動いてカーボンエンドにダメージを与えてしまっては大変です。
ときどき点検して、ゆるんでいたら対策をする必要があります。
点検はホイールを外さないとできない
ハブで挟み込まれていては、ディレーラーハンガーがゆるんでいるのかどうかはわかりません。
ホイールを外してリヤディレーラーを手で動かしてみましょう。
ディレーラーハンガーが動きませんか?
動くようであればゆるんでいます。(動画参照)
ボルトを締めて固定しましょう。
その時には「ゆるみ止め」を使って締めなおすことが必要です。
ディレーラーハンガー固定ボルトのゆるみ止めは低強度を使う
ディレーラーハンガーの固定は小さなボルトで固定されています。
外れたら無くしてしまいそうなくらい小さなボルトです。
ゆるんでいるようであればいったん取り外してください。
グリスなどの油分を落として「ゆるみ止め」を塗って取り付けます。
小さなボルトなので「ゆるみ止め」は低強度のものを使います。
絶対に『中強度』や『高強度』は使わないでください。
ボルトに対してゆるみ止めの強度が強すぎて、ゆるみ止めではなく接着したくらいの強度になってしまいます。
おすすめは【LOCTITE 222】です。
低強度なので自転車ではよく使うので1本は工具箱に入れておくべきものです。
大容量では使いきれないので、10ml の小さなもので良いです。
ゆるみ止め LOCTITE 222 の使い方
自転車など小さなネジを多用している場合はこの低強度のネジロック剤は使うところが多くあります。
使い方は、ボルトやナットの油分をパーツクリーナーなどできれいにしてからネジロック剤を塗って締め付けます。
液体式のネジロック剤は金属に触れることで反応が始まり、空気と遮断されると硬化します。
約10分くらいで硬化するとされています。
接着剤のように空気中の水分と反応するものより早くて使いやすいですよね。
自転車の使用箇所はゆるんでほしくない部分では積極的に使いましょう。
ブレーキなどはその代表格ですね。
キャリパーブレーキのフレームとの取り付け部分とか、ディスクブレーキならブレーキキャリパーの取付ボルトなどです。
ボルト式であればブレーキローターの取付ボルトにも使います。
靴のクリートには絶対にネジロック剤が必要だからね。
クリートの取り付けネジにはロックタイトは絶対に必要な部位です。
イベントなどのエイドポイントで、クリートの締め直しをしている方を見かけることがあります。
クリートはゆるみやすい部分の代表格であり、ゆるむととても厄介なことになる部分です。
走行中にゆるんでボルトが脱落して、外したいときに外れずに立ちごけという場面も見たことがあります。
低強度で十分なのでかならずネジロック剤を塗りましょう。
ボトルケージもゆるむ場所なので使うこともあるでしょうが、私は使っていません。
ゆるめば気がつく部分ですし、ときどき外してケージの下側も掃除したいので使いません。
ネジロック剤の保管方法は冷暗所とされていますが、私は冷蔵庫に入れています。
瞬間接着剤や、エポキシ系の接着剤など【冷暗所保管】のものは冷蔵庫がいちばん確実です。
LOCTITE 222 はホイール組みには使わない
低強度のネジロック剤なのでホイール組に使っていらっしゃる方もいます。
悪くないと思います。
ですが、私は使いません。
フレ取りの時の固着が強い場合があるし、LOCTITE 222は一度ゆるめるとそのままではゆるみ止めとしては作用しません。
接着剤が剥がれると二度とつかないことと同じです。
ホイールでゆるみ止めを使うなら、スポークプレップなどのクリーム状のゆるみ止めを使うべきです。
まとめ
リヤディレーラーハンガーのゆるんだ自転車が入庫してきたので、ハンガーのゆるみ防止のゆるみ止めまでを記事にしました。
自転車を組む場合には、適材適所で使うケミカルが変わります。
グリスを使ったり、ゆるみ止めを使ったり、カジリ防止剤を使ったりします。
ネジがゆるむことは部品の脱落とか破損につながることになるのでゆるんでほしくない場所には積極的に使いましょう。
自転車では中強度から高強度のネジロック剤を使うことはありません。
先日はBBの接着で高強度を使っていますが、あくまでも接着のためであってネジのゆるみ止めとは目的が違います。
高強度のネジロック剤を自転車のパーツに使うと、ゆるめる時に折れる可能性があります。
ネジロック剤はLOCTITE 222が最適です。
ゆるめたいときは、少し力を加えるだけでゆるんでくれるのでダメージはありません。
ぜひ冷蔵庫に一本常備して、自転車のメンテナンスに役立ててください。
コメント