【カンパ フルクラム】USBベアリングのグリスアップ【動画】

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カンパ系(カンパニョーロ&フルクラム)とシマノはカップ&コーン方式のベアリング構造です。

カップ&コーンは分解してグリスアップすることで新品の時のような性能を長く維持することができるメリットがあります。

分解してグリスアップをするには玉当たり調整という作業をしなければなりません。

過去の記事ではシマノの玉当たり調整をご紹介していますが、今回はカンパ系(カンパニョーロ&フルクラム)の分解グリスアップから玉当たり調整のやり方をご紹介します。

基本的な作業方法はシマノと同じですが、玉押しの構造や分解するときにおこるトラブルへの対処方法も書いておきますので最後まで読んでください。

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フルクラム レーシングゼロ USB 

フルクラム レーシングゼロUSB
フルクラム レーシングゼロUSB

今回グリスアップするホイールは「フルクラム レーシングゼロ」です。

カンパ系では一番人気のホイールですね。

カンパ系のホイールではZONDA以上のグレードがカップ&コーンになっています。

ZONDA以下のグレードはシールドベアリングを使っているので、グリスアップなどの作業は必要ありません。

シールドベアリングを使っているホイールは【ベアリング交換】なので、部品代がかかります。

カップ&コーンはグリスだけあれば長く使えるベアリングなので、シールドベアリングに比べて経済的です。

レーシングゼロとZONDAではベアリングの素材が違います。

ZONDAはスチールベアリングでレーシングゼロはセラミックを使っています。

セラミックベアリングは非常に硬い素材で、変形量がスチールベアリングに比べて少ないです。

ベアリングは球体ですが、過重がかかるとわずかに変形します。

変形すると転がりにくくなるので、スチールよりも変形量が少ないセラミックベアリングのほうがよく転がるということになります。

しかし、【硬い】ということは、デメリットもあります。

玉押しと玉受けに傷がついてしまうので、潤滑油としてグリスが必要です。

グリスが入っていると、攪拌抵抗が生まれます。

グリスが無い方が回転は軽くなるのですが、それでは玉押しや玉受けに傷がついて【虫食い】状態になるのでよくありません。

そのためにレーシングゼロより上のグレードのハブは玉受けと玉押しが違います。

それがCULTベアリングです。

リムやスポークももちろんグレードごとに違いますが、ベアリングの素材も違うことで価格と性能アップしているということですね。

スチールベアリング < USB < CULT の順にグレードと価格が上がります。

これらのすべてがカップ&コーンなので、メンテナンスの方法は同じです。

覚えておけばカンパとフルクラムのすべてのカップ&コーンのメンテナンスができるのでぜひ挑戦してみてください。

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フルクラム レーシングゼロ  ハブのグリスアップで使用する工具

作業をしていきましょう。

今回はフロントホイールを例に記事にしていきます。

リヤホイールも基本的には同じですが、フリーボディを外す工程が必要になります。

使用する工具

  • 5㎜の六角レンチ × 2本
  • 2.5㎜の六角レンチ
  • マイナスドライバー
  • 17㎜のスパナ (リヤホイール)

これだけでハブを分解することができます。

シマノのようにハブコーンレンチを使うことはありません。

5㎜の六角レンチは品質の良いものを使ってください。

はじめて分解する場合、かなり固く締まっていることがあるので、精度の悪いものを使うとナメてしまって二度と分解できなくなります。

シャフトの分解方法

カンパ系ホイールの左側
カンパ系ホイールの左側

分解するためには、シャフトを抜かなければなりません。

左右のシャフトに5㎜の六角レンチを使ってエンドナットをゆるめます。

はじめて分解するときは、かなり強く締まっていることが多いです。

「逆ネジか?」って思うくらいキツイものもありますが、正ネジなので反時計方向に回せば必ず緩めることができます。

以前、六角レンチの長さでは緩めることができず、パイプを継ぎ足して緩めたこともあります。

そのために精度の低い六角レンチを使うとナメてしまって、どうにもならなくなってしまうので必ず精度の高いPBなどを使ってください。

PBの六角レンチは適度にシナルので、ボルトなどの状態が手に伝わりやすいのでおすすめです。

ロードバイクで使う工具のメインは六角レンチなので、信頼のおける工具を使うようにしてください。

エンドナットは左側を緩めます。

まれに(というかほとんど)右側が緩むことがありますが、それはトラブルなので焦ってください(笑)

左右のどちらが緩んでも分解できそうに思うかもしれませんが、左側が緩まないと分解することはできません。

右側が緩むのは非常に焦ってしまうトラブルです。

エンドナットの右側が緩んだ場合の対処法

カンパ系ホイールの右側がゆるむとタイヘン
カンパ系ホイールの右側がゆるむとタイヘン

エンドナットの左側がゆるまずに、右側がゆるんだ場合の対処方法です。

基本的に右側のエンドナットの方が左側より強く締められているので、先に左側がゆるむはずなのですが、そうではないものが多く困ってしまいます。

いちど右側が緩んでしまうと、どう頑張っても左側を緩めることができなくなります。

しかし、これから紹介する方法で確実に左側を緩めることができます。

必要なものは以下のどちらかです。

  • ネジロック(強力なもの)
  • 金属用接着剤

この二つのどちらかを用意しましょう。

使い方はわかりますよね。

接着です。

右側のエンドナットにネジロックまたは接着剤をつけて締め付ければ二度と右側のナットがゆるむことはありません。

接着して大丈夫なのか?

右側のエンドナットをゆるめるという作業はないので大丈夫です。

万が一、シャフトを交換するときもシャフト単体での設定はなく右側のエンドナットもセットになっているので問題ありません。

カンパニョーロ パーツリストより引用
カンパニョーロ パーツリストより引用

私は「メタルロック」を使って接着して作業しています。

強力な金属用接着剤なので、メタルロックを使ってもゆるまなかったことはないです。

工具を2つ使ってロックして外す

六角レンチと14㎜のスパナの2本を使って外すこともできますが、薄型のスパナしか使えないので接着してしまった方が簡単です。

スパナを使う場合は、右側のシャフトの平らな部分にスパナを入れ、さらに六角レンチも使って右側をロックしてしまします。

右側の六角レンチとスパナの両方を手で持って固定し、左側のエンドナットに取り付けた六角レンチで緩めます。

うまく右側が固定できていれば、この方法で緩めることができます。

ポイントは、シャフトに入るギリギリの厚さのスパナを使うことです。

ホームセンターで売っている薄型スパナではナメてしまうかもしれません。

スパナを削って厚さを合わせたものの方がうまくいくと思います。

面倒くさいですよね。

接着しちゃった方が確実で楽に外すことができます。

玉押しの取り外し

カンパ系ホイールの玉押し
カンパ系ホイールの玉押し

左のエンドナットが外れたら【アジャスター】を外します。

シマノとはこの部分の構造が違います。

ハブの左には右側には無い玉押し調整用のアジャスターがあります。

このアジャスターがついている方が必ず左側になります。

フロントホイールには回転方向はありませんが、アジャスターがついているのは左なので、自転車につける時は必ずアジャスターがついている方を左にしてください。

アジャスターにはロックボルトがついています。

2.5㎜の六角レンチでゆるめてください。

ゆるめたら左に回せば取り外すことができます。

玉当たり調整しているものなので強く締まっていることはありません。

玉押しを取り外すときのポイント

カンパニョーロ パーツリストより引用
カンパニョーロ パーツリストより引用

カンパ系の玉押しは外そうとしても外れないので注意が必要です。

玉押しを固定するテーパー状のものがシャフトとの間に入っているので、まずはそれを外さないと玉押しは外れません。

この玉押しに挟まているものには【割り】が入っているので、割れた部分のあたりにマイナスドライバーを差し込んで少しずつ浮かせながら外します。

割りの反対側をコジってもなかなか外れないので割れた部分をコジるのがポイントです。

セラミックベアリングを取り外す

カンパ系フロントハブの内部パーツ
カンパ系フロントハブの内部パーツ

玉押しを取り外したらセラミックベアリングを取り出します。

白いシールがあるのでマイナスドライバーで外しましょう。

表裏があるので覚えておいてください。

白い面が表側になります。

シールを外したらリテーナーを取り外します。

リテーナーは向きを覚えておいてください。

反対に入れると回転しなくなるのですぐにわかると思いますが、時間を無駄にするだけです。

鋼球だけの場合は、玉押しやシールを外すとバラバラになりますが、リテーナー式なのでバラバラにはなりません。

とはいえ、リテーナーからセラミックベアリングが外れる可能性もあるのでパレットなどの上で作業することをおすすめします。

以前オーバーホールしたUSBハブのセラミックベアリングで、一個だけ鋼球がついていないものがありました。

かなりレアなことですが、リテーナーを取り外すときに鋼球がきちんとついているか確認してください。

組付け

分解したらすべてのパーツを洗浄して組付けます。

セラミックの鋼球はリテーナーから外すこともできますが、外さずに洗った方がいいです。

落としてしまうと見つけることは無理だと思ってください。

私はよほど汚れている場合や、古いグリスを落としきれない場合以外はリテーナーから外すことはしません。

すべての部品の洗浄が終われば組付けましょう。

適量のグリスを塗って分解した方法の逆の手順で組み付けます。

グリスの量は多めに入れてしまっても大丈夫です。

競技で使う場合はグリスの量を少なくしますが、一般的な使用であれば多めの方がいいです。

リテーナーを入れたらシールを取り付けます。

シールの向きは覚えていますよね。

白い面が上です。

シールはハブの内側にハマるようになっています。

シールの端を少し押し付けると溝にはまるので、全周同じようにはめてください。

左右のベアリングとシールを取り付けたらシャフトを入れます。

ホイールの左右はわかりますか?

リヤホイールはフリーハブがあるので左右を間違えることはありませんが、フロントホイールは目印がないので左右がわからなくなると思います。

わからなくなったら、ハブに貼ってあるシールで判別しましょう。

乗車状態でシールのロゴが読める向きで自転車に取り付けます。

【USB】と書いてあれば【U】の側が左です。

シャフトは右側から入れるので【B】の方向から入れていけば正しく組み付けができます。

すべてのホイールのシャフトは、左側を分解して右側に抜く構造になっています。

玉押し・玉押しのスペーサー・玉押しのアジャスター・エンドナットを組付ければいよいよ玉当たり調整です。

カンパ系の玉当たり調整

カンパ系の玉当たり調整はシマノなどとは少しやり方が違います。

カンパ系の方が初心者にはやりやすいと思います。

ベアリングなどをすべて組付け終わったら自転車に取り付けて玉当たり調整をします。

アジャスターは適当でかまいません。

自転車に取り付けてホイールの端を左右にゆすってください。

ガタが感じられるので、アジャスターを少しずつ締めていきます。

アジャスターを少し締めたらまたホイールをゆすってガタがあればアジャスターを締めるということを繰り返します。

ハブ単体でガタを見るより、ハブからいちばん離れた部分のガタの方がわかりやすいです。

ガタを見る → アジャスターを締める → ガタを見る ・・・を繰り返すとあるところでガタが無い状態になります。

それ以上締めると玉アタリがキツクなります。

ガタが無い状態になったら、アジャスターのロックボルトを締めて完成です。

ロックボルトは強く締めないでくださいね。

私は、自転車に取り付けずに玉当たり調整していますが、カンパは自転車に取り付けた状態での玉当たり調整を勧めています。

リヤホイールハブの分解

カンパニョーロ マニュアルから引用
カンパニョーロ マニュアルから引用

リヤホイールも基本的にはフロントホイールと同じです。

フリーボディを外すことが作業としては追加されますが、17㎜のスパナがあれば簡単に取り外すことができます。

右側のエンドナットに5㎜の六角レンチを差し込んでシャフトの回転を固定してから、フリーを固定している17㎜のナットをゆるめます。

フリーを固定しているナットは逆ネジになっているので、右方向に回すとゆるみます。

この逆ネジになっているのがリヤハブの分解するときに注意するポイントです。

ナットを外せばフリーボディを外すことはできますが、引っぱっても抜けない場合、左右に回しながら引っぱると抜けてきます。

フリーボディが入っているシャフトは三角のような形になっていて、抜ける箇所が決まっています。

ズレていると抜けないので、位置を探すように左右にまわして位置を合わせてください。

ある部分で『スッ』と抜けるはずです。

あとはフロントと同じ作業をすればOKです。

USBベアリングはグリスが必要、ではCULTは?

今回分解したのはUSBハブです。

カンパではUSBより上位グレードにCULTベアリングがありますが、CULTはグリスが必要ありません。

潤滑する必要がないというのがCULTの特徴なので、洗浄したら何もつけずに組付けることができます。

グリスなどの潤滑剤がないメリットは、攪拌抵抗がまったくないことにあります。

グリスを攪拌する抵抗なんて小さなものとも言えますが、そのわずかな抵抗も無いほうがいいのは言うまでもありません。

普通のベアリングで同じことをやると、ベアリングに傷がついてダメになってしまうのでグリスレスなどやってはダメです。

なぜCULTはグリスレスにできるのかと言う理由は、玉押しと玉受けの硬度にあります。

セラミックベアリングはとても硬く、傷がつきにくい性質のものです。

USBもCULTもセラミックベアリングは同じですが、なぜUSBはグリスが必要なのかというと玉押しと玉受けの硬度の違いです。

CULTは、玉押しと玉受けを表面処理してあるのでグリスレスでも傷がつきません。

玉押しと玉受けの処理の違いがUSBとCULTの違いです。

潤滑油が必要ないCULTも、潤滑させた方がいい場合があります。

それは回転すると音が出るからです。

ゴロゴロと言った音が気になる方は、オイルを少しつけてやると改善されるのでやってみてください。

CULTベアリングは、グリスもいらないしよく回るので、いいことばかりに思われるかもしれませんがデメリットもあります。

それは分解する頻度がUSBより多くなるからです。

潤滑油が必要ないので分解する必要もないような気もしますがそうではありません。

グリスはゴミや砂などからベアリングを守ってくれますがCULTにはそれがありません。

砂やごみなどを定期的に掃除する必要があるので分解の頻度は自然と多くなってしまいます。

ショップに任せていると費用ばかりかかってしまうので、自分で出来るようになってほしいと思います。

カンパ系ハブのグリスアップのまとめ

カンパニョーロのマニュアルが見たい方はこちらから見ることができるので参考になさってください

カンパニョーロとフルクラムのホイールハブのグリスアップの方法は同じです。

シマノとは違うのが玉当たり調整の方法ですが、自転車に取り付けた状態で玉当たり調整をするカンパ系の方が初心者の方には簡単だと思います。

フロントホイールを分解するときに、緩めたくない右側のエンドナットがゆるんでしまうというトラブルがありますが、接着することでゆるめることができます。

リヤハブはフリーボディを外す必要がありますが、17㎜の固定ナットは逆ネジなので右に回すとゆるみます。

グリスは水に強いものを使いましょう。

シマノに比べるとカンパのシール性能はよくありません。

玉当たり調整なんて『できない』と思われるかもしれませんが、カンパ系は自転車に取り付けた状態で玉アタリ調整をするので、シマノに比べるとかなりカンタンで分かりやすいハズです。

「ハブのオーバーホールは初心者ではできない」などということはありません。

ぜひこの記事を参考にして、ハブのオーバーホールを経験してみてください。

カンパニョーロやフルクラムのホイールは海外通販が安くておすすめです。


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