会社倒産が突然告知されるわけ 破産当日解雇の理由

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山形県の百貨店『大沼山形本店』が2020年1月『破産申請』し倒産しました。
従業員は全員解雇となったわけですが『突然の倒産ということで従業員は驚いて混乱している』ということです。

企業倒産において授業員に対して前もって告知するようなことは一切ありません。
知っているのは一部の経営陣だけです。

体験談も交えて解説していきます。

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倒産の多くはひっそりと計画を進める

私も小さな会社に努めていた時に倒産を経験しています。
自身が務めていた会社もですが、いろいろと倒産していく会社も見てきました。
取引先が倒産したということも経験しています。

勤めてる会社が倒産した時は初めての経験だったので驚いて混乱しました。
でも倒産とはそういうものなんです。
私は、体験からサラリーマンであるなら誰でも『倒産』という可能性について心の片隅に入れておくべき情報だと思います。

大沼山形本店というデパートが倒産した経緯

大沼山形本店は山形県山形市で唯一の老舗デパートでした。
創業320年という歴史のあるデパートです。

大沼山形本店が倒産したことによって山形市にはデパートはなくなりました。

倒産の序章は2017年からになります。
2017年2月期の決算では85億の売り上げがあったそうです。
しかしこれでも4期連続の赤字です。
デパートは顧客が通販などを利用するようになって冬の時代になったというわけです。

そこで、出資を含む経営支援を『マイルストーンターンアラウンドマネージメント』(以下MTMとする)に求め6億円の支援を受けます。
その他20億円を超える債権は金融機関が放棄することで経営を続けることができていたらしいです。

この後でもいろいろ経営陣のゴタゴタがあったり、売り場面積を縮小するなどして頑張っていたようです。

18年4月には全役員が退任しています。

これだけの努力をしても結局2020年1月に『破産申請』を裁判所に提出し27日に認められました。

これで完全に倒産したということになります。

破産管財人が任命され、債権者は大沼山形本店の社長とは債権の交渉をすることはできません。
すべては破産管財人である弁護士との話し合いになります。

従業員への解雇について

従業員を解雇する場合には3つの方法があります。

  1. 普通解雇
  2. 整理解雇
  3. 懲戒解雇

この3種類です。

今回の倒産における解雇は『整理解雇』にあたります。

整理解雇をするには1か月以上前に本人に対して告知しなければなりません。
また、それができない場合は『解雇予告手当』を支払う必要があります。

お分かりだと思いますが、倒産する会社が『解雇予告手当』を支払えるはずはありません。
授業員には『解雇予告手当』をもらう権利があるので、この部分で従業員も債権者となります。

給料が未払いの場合は『労働者健康安全機構』が立て替えて支払いますが、本来もらえる額の8割ほどだということです。
残り2割は債券となるので、個人で債権者集会に出向いて交渉することになります。
まぁもらえるはずはないですね。

なぜ従業員への告知が突然行われるのか?

それは、外部に『倒産するかもしれない危ない会社』ということを知られることが最も怖いことだからです。
経営陣には倒産することは数か月前から分かってたはずです。

でも決してそのような情報は外には漏らしません。
なぜなら、債権者が押し寄せてくるからです。
どの債権者よりも早く行って、まだ資金が多少でもあるなら1円でも現金を回収したいですからね。

倒産情報が漏れて債権者が押し寄せた現場を見た

私の経験です。
倒産するという情報が漏れた会社がありました。
私の勤めていた会社とは関係が無かったのですが、この時は本当に修羅場を見た気がします。

整備関係の会社でした。
『〇〇整備がつぶれるらしいぞ』という情報が私の耳に入りました。

それまではそんなイメージの会社ではなかったです。
授業員も元気に笑顔で働いていましたし、景気がいいとは言えないにしてもまさか倒産するとは思ってなかった会社です。
たまたま近くに行く用事があったので様子を見に行きました。

工場の中は数人の債権者がいて、工具やら機材を勝手に持ち出してるんです。
社長と話してる債権者もいました。

この時点では倒産したわけではないのですが、債権者は『とりあえず今までの分を払ってくれ』と社長と交渉するわけです。
倒産することがデマ情報であるならば、売掛金の全額または一部くらいは払えますよね。
そこで『払えない』となるともう『倒産』という情報は間違いないものになります。

債権者たちはいっせいに設備や工具を持ち帰る

これは完全に違法ですよ。
設備や工具を盗んでるわけですから。
名目は【担保物件】として持ち帰りますがもちろん違法です。
でも、倒産する会社には訴えることなんてできないんですよ。
支払えないという『申し訳ない気持ち』と『後ろめたさ』がありますから。

従業員は何も知らないで仕事してたところへ債権者が工具や設備を持ち帰ってしまうのを呆然と見るだけです。
多くの整備士は自分の工具を持っていますから、それだけは債権者には関係ないので持ち帰られないように死守します。

債権者にとって持ち帰った中古工具などはお金にはなりません。
でも何かを持ち帰って安くても売るなりしてお金に変えないとマズイ債権者もいるんです。

つまり『連鎖倒産』の可能性です。
債権者が、その倒産する会社が払ってくれるお金を支払いに回すということができなければ『連鎖倒産』の可能性があるわけです。

ギリギリで商売している債権者も必死なので、夜中にシャッターをこじ開けて中のものを運び出すということもありました。
もう数十年も前の話なので今こんなことをやったら大変なことになりますが、私の知る倒産が事前に漏れた例です。

こういう事態を防ぐために従業員には、出社した朝に【解雇】を告げられることになります。

私が勤めていた会社が倒産した

私が勤めていた会社も倒産しました。
もちろん自動車関係です。

出社した朝に社長から話があると・・・。
そこで出た言葉が『会社が倒産する』の一言です。

従業員のことを気にかけてくれてたのか、倒産する数日前に告知されました。
慌てますよ。
目の前が真っ暗になります。

その日ももちろんですが、翌日からも会社はあっても行く意味がなくなるわけです。
数日後に無くなるわけですから。

退職金は少ないけど払えるということ。
再就職先などの支援はもちろんありませんが、失業保険は翌月からきちんともらえるように手続きはできるようにしてありました。

小さな会社だったのでこういう対応ができたんでしょうね。

失業保険の申請書には『整理解雇』の文字がありましたよ。
なんだか複雑でしたね。

廃業を経験した知人もいる

知人に、会社の役員だった人がいます。

その会社は意外と景気が良かったんですが、親会社が倒産したことで仕事が断たれて『廃業』をしました。

廃業は倒産とは違うので、従業員にはきちんと前もって告知をして数か月間給料を払いながら次の仕事を探してもらうという手続きです。
債権者がいない『廃業』というのは、大きな混乱はありません。
役員は大変でしょうけど。

日本製鉄『呉製鉄所』が閉鎖する

2022年と2年の猶予がありますが、廃業と同じようなものです。
ただ、大きな会社なので従業員や関係する会社が多いですね。

日本製鉄という大企業なので就職支援もきちんとやってもらえるでしょう。
全員解雇になるかどうかもわからないですが、配置換えで他の工場で引き続き仕事ができる社員もいるはずです。

問題は、呉製鉄所の仕事を請け負っている小さな会社ですね。

日本製鉄としてはそこまでの責を負う必要もなく、2年の猶予があるので『その間で生き残る道を探してくれ』ということになります。
呉製鉄所がその場所にあるから下請けとして仕事を長くしてきた会社が次の取引先を得られるとは思えません。
周りの会社の多くが呉製鉄所関係だと思うからです。

多くの下請け会社が『廃業』を余儀なくされるはずです。

まとめ  スキルを身につけよう

どの会社でも同じことが起こりえるのが今の時代です。

自分の会社は景気が良いと思っていても、親会社であったり関連企業の業績が悪ければ連鎖倒産または連鎖廃業になるということです。

銀行は倒産しないと言われ続けてきて倒産しています。
サラリーマンにとって、親会社や関連企業の懐事情までは分かりません。

つまり、明日出社したら入り口のカギがかかっていて『関係者各位』で始まる張り紙で会社の情勢を知ことになる可能性があります。

会社勤めは安定した収入が入ります。
自営業者とは安定度はまるで違うのでサラリーマンを辞める必要はありません。

ですが『明日がわからない』というのは自営業者よりは予測できないことがおこります。
そのために、何かのスキルを身につける必要があります。

スキルは何でもいいと思います。
会社勤めをして給料をもらいながらスキルを身に着けることができれば人生が安定するはずです。

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