FIAT 500 クラッチトラブル レリーズベアリング粉砕 作業のポイントを解説

記事内に広告が含まれています。

フィアット 500 のクラッチトラブルが入庫してきました。

原因はレリーズベアリングが焼き付いて固着し、回らなくなったレリーズベアリングがクラッチカバーの上で暴れたようです。

「レリーズベアリングから音が出ている」と、先月にオーナーから聞いていたのですが、まさかそれで不動車になるとは思いませんでした。

日本車でも走っていればレリーズベアリングからある程度の音は出ますが、こんな短時間で焼き付くなんて想像してなかったです。

国産車のレリーズベアリングの音がひどくなったものを修理をしたこともありますが、焼き付いたのを見たのは初めてです。

ネットで検索するとフィアット500のクラッチトラブルはかなり多いようですね。

FIAT500オーナーの方は気にかけておいた方がよさそうです。

というか、部品を見ると「これは壊れるよな」と思うのですが。

本国との交通事情とか、使用する環境とか、そういうのが日本とはあっていないので日本の環境には過酷なのかもしれませんね。

スポンサーリンク

ここにプラスチックを使う?

スリーブ部分を覆うところにプラスチック
スリーブ部分を覆うところにプラスチック

今はプラスチックの技術はかなり良くなっています。

熱を持つところに使われているものも多いですし、強度が必要な部分でもプラスチックが使われていたりします。

最近のベアリングでも、部品によっては部分的にプラスチックが使われているようです。

フィアットのレリーズベアリングもプラスチックが使われていました。

おそらく、ある程度の熱にも耐えれるような素材を使っていると思いますが、ベアリングが焼き付いてしまえばプラスチックなので溶けて壊れていします。

もちろん金属でも壊れないということは無いですが、なんとなくたよりない気がします。

プラスチックを使うことによるメリットが何かしらあるのでしょうね。

ベアリングが熱をもてば溶けるよね
ベアリングが熱をもてば溶けるよね

国産ならリコールになるんじゃないか?

交換する部品のレリーズベアリングは【対策品】になっているのかとも思いましたが、対策品ではないようです。

同じようにプラスチックが使われているし、ベアリング自体の大きさも同じでした。

国産ならリコール案件のような気もしますが、それでなくても対策品に部品を変更してくれていてもいいような気もします。

同じものをつければ、また同じトラブルになりますからね。

スポンサーリンク

交換部品

交換した部品は下記のものです。

部品名品番価格
クラッチカバー(セット)
クラッチディスク(セット)600062845932.100円
レリーズベアリング(セット)
クラッチレリーズフォーク5525093611.200円
リンクロッド467615747.700円
フォークブッシュ465438132.000円
フォークブッシュ465438121.000円
Cリング11066276200円
ファンベルト5PK11503.700円

リンクロッドは交換しなくても大丈夫だと思いますが、レリーズフォークから抜けなかった場合に困るので新品を用意して作業しました。

国産なら、状態を見てから部品を注文しても、最短で翌日には入荷しますが、外車の場合は時間が読めないですからね。

最悪は本国からの取り寄せとかになると、数か月の待ちになることも考えられます。

使用工具

外車なので国産とは違うサイズの工具を使います。

インチサイズじゃないのは助かりました。

13mm・15mm・16mm・18mm

13mmは普段からよく使いますよね。

15mm・16mmも、国産ではシートベルト周りで使うこともあります。

18mm はなかなか使うことがないので、持っておいて良かった工具ですね。

一つだけ持っていない工具があったのですが、トルクスレンチで代用させてもらいました。

本当はダメなんですが、ガタもなくピッタリとはまるので壊してしまう心配もありません。

イタリア車しか使ってない工具らしいので、今回しか使わない可能性もあるので代用しました。

もちろんボルトを痛めるとか、なめてしまったようなことはないです。

実はこのボルトがトルクスと違うなんて外すまでわからなかったんです。

外してもよくわからなかったんですが「なんかトルクスとちょっとだけ違う気がする」と思って調べたら【RIBE-CV規格】ってものらしいです。

ミッションを下ろして交換していきましょう

FIAT500のクラッチ
FIAT500のクラッチ

プライベートでフィアット500のミッションを下ろすことはないと思います。

手こずったポイントを書き残しておきます。

エンジンは下から支える

エンジンハンガーなどを使うことができない車種なのでエンジンは下から支えて作業します。

エンジンをチェーンブロックで吊ることも考えましたが、吊るためのフックをかける場所もないので下から支えて作業しました。

最近の車はエンジンは下におろすようにできているようですね。

新車の組み立ても下からエンジンをエンジンルームに入れるので、エンジンをおろす作業も下からなのでしょう。

なので、ハンガーをかけれそうな場所が無いエンジンも多くなってきました。

メンバーは外さずに作業できる

エンジンメンバーが邪魔になるかとも思いましたが、外さずにミッションを下ろすことはできます。

サブフレームだけは外さないといけないので、バンパーを外してサブフレームを外します。

ミッションを下ろすときに、ミッションのシフトリンケージがメンバーに干渉するので、うまくよけながら作業するときれいに下におろすことができます。

ロアアームはマジで苦労するはず

ロアアームは国産と同じ構造のボールジョイントです。

ですが、国産では考えられないくらい苦労しますよ。

「専用のプーラーでもないのか?」とも思いましたし、作ろうかとも思いました。

もし作業をするなら覚悟を決めて作業してください。

ラスペネなどの潤滑剤を大量に吹き付けて、放置してから作業した方がいいかもしれません。

サビて固着していると思います。

ドライブシャフトは工具がなくて外せなかった

ドライブシャフトも邪魔なので左右とも外しましたが、ハブごと外しています。

ドライブシャフトのハブナットが緩められませんでした。

薄型のソケットじゃないと入らなくて、私の持っている工具はインパクト用の厚いものなので使うことができませんでした。

最大の難所はセルモーター

ボルトが見えない
ボルトが見えない

たった一本のセルモーターのボルトで苦労しました。

まず工具を入れるスペースがないです。

工具を入れるスペースを作るためには、オルタネータを外すと楽にできますが、オルタネータを外すのにも同じような苦労をしそうです。

最終的には、ショートラチェットでセルモータのボルトを緩めています。

ここのボルトがイタ車専用の工具を使う場所です。

フィアット500 クラッチ交換 まとめ

外車だからといっても、フィアット500のクラッチ交換に関してはむつかしい作業ではありません。

落ち着いて作業すれば、国産と変わらないでしょう。

もちろん簡単なのは、慣れている国産ですし、途中で部品が足りなくて困ることもない国産自動車の方が気持ちが楽です。

ミッションから「キーキー」とか「ガラガラ」と言った異音が聞こえたら、できるだけ早くクラッチの点検をした方がいいと思います。

【デュアロジック】もマニュアルと同じクラッチ構造なので、今回のようなトラブルが起きるかもしれません。

その後、クラッチマスターとレリーズシリンダーの不具合が出たので追加で修理しています。

クラッチマスターやレリーズがプラスチックで作られていて、傷がついて固着していたようです。

金属に比べれば摩耗が早そうなので、マスターやレリーズは消耗品だと考えた方がいいと思います。

国産ならインナーキットで、内部のカップだけ交換できますが、フィアットはアッセンブリになっています。

クラッチ交換をするときは、レリーズシリンダーもセットで交換した方が安心できると思います。

マスターとレリーズシリンダーの交換はこちらの記事にあげてあります。

コメント