リヤディレーラーハンガーは使用してるうちに曲がるって知ってますか?
よほど硬いハンガーでない限り必ず曲がっています。
シマノの変速機は優秀で、ハンガーが少しくらい曲がっていても変速性能には変化がおこりにくいので気がつかないことがほとんどです。
イベントなどで前走者の変速機を見ると、あきらかに曲がっているものがあります。
それでも変速性能が変わらないシマノってスゴイですね(笑)
でも本来リヤディレーラーはカセットスプロケット(ホイール)に対して平行にとりつけられていることを前提に設計してあるものです。
今回入庫したロードバイクもかなり曲がっていたので修正しました。
どのくらい曲がっていて、どうやって修正するのかをご覧ください。
リヤディレーラーハンガーはホイール側に曲がる
リヤディレーラーにとっていちばん負荷がかかるのはロー側に変速するときです。
つまりホイール側にチェーンを移動させるときに大きな力がかかります。
どうしてもギヤを軽くする状況というのが、チェーンに力がかかっているときなので【力わざ】でチェーンを移動させることがあるからです。
トップ側への変速はリヤディレーラーのリターンスプリングの力だけで移動させるので大きな力はかかりません。
つまり曲がる方向は一方向でホイール側に必ず曲がります。
前後方向への曲がりは少ないですが、前方向に曲がる傾向があります。
これらは初めから曲がってた可能性も否定できません。
なぜなら、新品のディレーラーハンガー自体が曲がってるからです(笑)
ハンガー修正の前に曲がり具合を測定
リヤディレーラーを正面から見て真上を12時の位置とします。
前後とか上下ではわかりにくいと思うので、時計を想像しながら読んでください。
ハンガー修正は専用の修正機がないとできません。
シクロクロスなどをやる方は必ず持ってるのではないでしょうか?
修正機にもいろいろなタイプがありますが、私の持っているものは適当な基準点に測定子を合わせるタイプです。
HOZANのように、スケール(ものさし)などで距離を測って修正するものもあります。
何か所も距離を測るより、測定子で合わせたほうが作業は早いです。
やってみよう。
リヤディレーラーは外します。
フロントチェーンリングからチェーンを外してリヤディレーラーにかかるテンションを解除して外しましょう。
修正機をディレーラーハンガーに取り付けて測定子をホイールの一点に合わせます。
修正機を合わせた点がホイール側の測定点の基準になるのでマーキングします。
6時の位置で合わせて、ホイールの測定点と共に修正機を12時の位置で測定子との距離を見ます。
12時で合わせて6時で測定するということもいいですけど、多くはホイール側に曲がっているので6時より12時の位置の方が隙間が広がる方向なのでやりやすいはずです。
12時で合わせると測定子がリムの内側に入るのでやりにくくなります。
今回も6時で合わせています。
6時を基準点として12時の隙間を見たら、そのまま9時と4時くらいの位置の隙間を見ます。
3時ではなく4時なの?と思われるかもしれないですが、3時の位置はチェーンステーがあって測定できません。
4時くらいのところでも大丈夫です。
今回は12時6時方向で30㎜、4時9時方向で10㎜くらいの曲がりがありました。
かなり曲がってるね~
リヤディレーラーハンガーを修正する
カーボンフレームについているリヤディレーラーハンガーは【リプレース】タイプのものがほとんどです。
リプレースタイプのハンガーは、強い曲がりが加わると折れる構造になっています。
折れることによってフレームへのダメージをなくすためです。
そのために繊細な力加減が必要です。
大きな力をイッキにかけると折れるので注意してください。
まず12時6時を修正しましょう。
30㎜のクリアランスが12時にあるということはハンガーを12時方向に15㎜曲げてやればいいということになります。
修正機を12時の位置でホイール側に曲げます。
少しずつ12時と6時の位置を測りながら曲げていきます。
まだきっちりと合わせる必要はないです。
続いて9時4時の方向を修正しましょう。
9時方向に5㎜ほど曲げます。
5㎜なのでほんの少しです。
少しづつだよ
もちろん曲げすぎると元に戻さないといけなくなって、何度もやると金属疲労で折れるので測りながらゆっくりと作業します。
測定子と測定点で何度も測りながら、12時6時・4時9時の位置がすべて同じになればディレーラーハンガーはカセットスプロケットに対して平行になったということになります。
ハンガーが曲がっていても変速が不調にならない理由
リヤディレーラーにはプーリーが2つついています。
テンションプーリーとガイドプーリーです。
上にあるのがガイドプーリーで下側のものがテンションプーリーです
変速に大きく影響するのはガイドプーリーです。
ガイドプーリーはカセットスプロケットに近いために、ディレーラーハンガーの曲がりに対しても距離があまり変わりません。
これが曲がっていても変速が不調にならない理由です。
ところが、テンションプーリーはハンガーから距離があるのでホイール側に大きく曲がっていきますよね。
私が人の自転車のハンガーを見る時はテンションプーリーの位置で判断します。
テンションプーリーがガイドプーリーよりホール側によっていればハンガーが曲がっているということになります。
「変速ができるなら影響はないのでは?」と思いませんか?
ところが、大きく曲がっていると、テンションプーリーの部分でチェーンがケージに擦れることがあります。
また、曲がりが大きければホイールのスポークにリヤディレーラーが巻き込まれることもありますね。
こうなると走行することができません。
ハンガーに負担をかけない変速の仕方
曲がる原因はいろいろありますが、多くは変速の仕方にあると思っています。
変速するときにトルクを抜いていますか?
ペダルにをイッパイに踏んでるときに変速していませんか?
力を入れて踏んでるときに変速すると変速機への負荷が大きくなります。
チェーンが常に張られて力がかかってるものを動かすのには大きな力がいるためです。
変速するときはチェーンを動かせるだけの張りにしてやる必要があります。
変速がうまい人はチェーンが変わる時には必ず力を抜いています。
チェーンが目的のギヤに乗るまでペダルにかける力を抜くようにしてください。
変速性能がとても良くなっているので、力をかけたままでも変速してしまうのがハンガーなどに負荷をかける大きな原因です。
まとめ
ハンガー修正はワイヤー交換などの時には必ず調整しましょう。
リヤディレーラーの位置が正規の位置にない状態での変速調整はできません。
ハンガー調整ができない方は、自転車屋さんにもっていって修正してもらってください。
変速の仕方でディレーラーハンガーへの負担は小さくなります。
必ずペダルへの力を抜いて変速しましょう。
変速のたびにガチャガチャ音がするのは力を抜いていないか変速調整が合っていないかのどちらかです。
ディレーラーハンガー修正を解説しました。
新車でも新品のハンガーでも曲がってないとは言い切れません。
必ずハンガーは修正しましょう。
最低でもワイヤー交換の時には点検修正が必要です。
大きな力を加えるとハンガーが折れてしまいます。
小さな力でコツコツと・・・で修正しましょう。
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