サイクリングの途中でなんとなく「リヤディレーラーの調子が悪くなった」なんて経験がある方も多いはずです。
そのままで走ってると「こんなもんだよな」となれてしまったりしてませんか。
放置しても直ってないので、乗った時に「あれ?」なんてことになってしまいます。
調整のやり方さえ知っていればサイクリングの途中でも、簡単に変速機の調整をすることができます。
パシッ!っとキレのある変速ができる自転車にいつも乗りたいですよね。
例えばこんな症状
- 大ギヤから小ギヤに変速した時にもたつく
- 小ギヤから大ギヤにするときにタイミングが遅れる
こういった症状なら、ワイヤーの張りを調整だけでカンタンに直すことができます。
「リヤディレーラーの調整なんてしたことない」なんて方でも2分でバッチリと直せますし、工具もいりません。
あなたの自転車だけでなく、仲間の自転車の調子が悪くなっても、サクッと直せば感謝されることは間違いありません。
機械式変速機はワイヤーの張りがすべて
機械式変速機の調子はワイヤーの張りがすべてです。
ゆるくても張りすぎでも調子が悪くなります。
ベストな状態は、STIレバーの「カチッ」の瞬間、タイムラグのない変速ができます。
カチッ!
カチャ!
こんなカンジで変速していればOKですが、
カチッ!
・・・
カチャ!
カチッ!の後にすこし遅れて変速するのはちょっとしたストレスです。
ほとんどの場合、ワイヤーの張り調整がうまくいってないので、アジャスターで簡単に調整しちゃいましょう。
ワイヤーの調整はリヤディレーラーのアジャスターを回す
機械式変速機の変速調整は、ワイヤーの張りだけで調整します。
ワイヤーの調整はアジャスターを使います。
リヤディレーラーのアジャスターの位置はわかりますよね。
変速機のアウターワイヤーが入っているところの黒いのがアジャスターです。
左に回すとワイヤーを張ることができます。
右に回すとワイヤーがゆるみます。
アジャスターを左に回す | ワイヤーを引っ張る |
---|---|
アジャスターを右に回す | ワイヤーがゆるむ |
これだけ覚えておきましょう。
ワイヤーの調整で解決できる症状は2つのパターンです。
症状別に調整方法を解説します。
小ギヤから大ギヤへの変速タイミングが遅い場合
小ギヤから大ギヤに変速するとき、変速タイミングが遅い場合はワイヤーを張って調整します。
変速タイミングが合っていれば、STIの「カチッ」と同時にチェーンが大ギヤに移動します。
上りながらのトルクがかかっている状態でも、平坦と変わらないキレのある変速ができます。
タイミングが遅いときは、アジャスターを左に回してワイヤーを張ってください。
アジャスターにはカチカチといったクリック感があるので、ワンクリックずつ左に回します。
なんとなくタイミングが遅いときは1~2クリックで直るはずです。
ぜんぜんタイミングが遅いときは3~5クリックです。
張りすぎると逆の「大ギヤから小ギヤへの変速がもたつく」ので、張りすぎてしまったら少し元に戻してワイヤーを緩めればOKです。
大ギヤから小ギヤへの変速がもたつく
変速の調子が悪い時に多いのが大ギヤ → 小ギヤへの変速不良です。
上りから下りに入った時などで、大ギヤから小ギヤでタイミングが遅い場合はワイヤーを緩めて調整します。
例えばこんな症状です。
- 大ギヤから小ギヤの変速で、STIの操作が終わっているのに変速してくれなくて、しばらく走ると突然「ガチャン」とギヤが変わる。
「えっ?このタイミングで?」みたいなカンジですね。
- また「あれ?変速してない。STIレバーの動かし方が悪かったかな」と思って、STI操作をやり直すと2段イッキに変速してしまった。
機械式変速機は、大ギヤから小ギヤへの変速はリヤディレーラーのスプリングの力だけでチェーンを移動させます。
スプリングの力でチェーンを移動させるので、ワイヤーの張りすぎが変速機の戻る位置をズラしてしまいます。
アジャスターを右に回して緩めれば、変速機は正しい位置に戻って変速するようになります。
ワイヤーを張った時と同じように、アジャスターをイッキに回さず1~2クリックずつ回しましょう。
STIレバーを2度押ししないと変速しない場合は3~5クリックです。
緩めすぎると小ギヤから大ギヤへの変速でもたつくことになります。
ワイヤーの張りで改善しない場合
パーツを組付けた時にきちんと変速調整してあれば、ワイヤーは張るだけでいいはずです。
理由は「ワイヤーは縮むことは無い」からです。
つまり、組付けた後でワイヤーが縮んで変速機を引っ張るなんてことはありません。
ワイヤーは伸びる方向にしか劣化しないので、アジャスターは張る方向に動かします。
とは言っても、チェーンやカセットギヤの劣化によって、ゆるめなければ調整できない場合も無いわけではありません。
張っても緩めてもどうしても調子が悪い場合は、ワイヤー以外に原因がある可能性があります。
- ディレーラーハンガーの曲がり
- 変速機自体の故障
- STIレバーの摩耗
1は修正または交換することで直すことができますが、2や3は部品交換しなければ直りません。
変速機の故障として考えられるのは
- リターンスプリングのヘタリ(劣化)
- 変速機のリンクのガタ
- ディレーラーケージの曲がり
STIレバーの故障としては
- ラチェット部分の摩耗
- レバーのガタ(全体の摩耗)
特定のギヤ位置の変速での不調などは、STIのラチェットの摩耗が考えられます。
変速機の不良であれば、すべてのギヤで不調になります。
【シマノユーザーマニュアル】リヤディレーラーワイヤー調整の基本
サイクリングなどの出先での微調整はアジャスターを1~2クリック回すことで直すことができますが、シマノの調整方法も簡単に書いておきます。
- フロントは大ギヤ(アウターギヤ)でリヤは小さいギヤから2段目
- 2段目にチェーンがあるときにSTIレバーの遊び分を3段目に動かしたときに3段目のギヤにチェーンがあたって異音がする位置までワイヤーを張る
どうですか?
むつかしくないですか。
「STIレバーの遊び分」「チェーンの異音」なんて、人によって感じ方が違います。
まず「遊び分」がわかりません。
「チェーンの異音のレベル」もわかりません。
私がマニュアル通りに調整すると、張りすぎることの方が多いです。
私が感じる異音が、マニュアルより音レベルが大きいんでしょうね。
遊びや音など感じ方はそれぞれなので、マニュアルを基本として感覚で覚えるしかありません。
結局は、全段でキレのある変速ができる張りを探しながら調整しています。
マニュアル通りでうまくいく場合のあるでしょうが、すべての自転車でうまくいくとは限りません。
これが「変速調整は難しい」と思わせる部分なんですよね。
正しく組み付けてないとダメ
アジャスター調整で直る場合の前提条件としては【正しく組み付けてあること】です。
リヤディレーラーの組付けが正しくできていないと、ワイヤーの調整だけで直すことはできません。
- TOP側の位置
- LOW側の位置
- Bテンションの調整
- ハンガーの精度
この4つが正しくセッティングできていることが必要です。
まとめ
機械式変速の場合、STIレバーで巻き取るワイヤーの量と変速機が移動する量が同調していることでキレのある変速ができます。
ワイヤーの張り調整は「張る」か「ゆるめる」だけなので、難しく考える必要はありません。
張れば大ギヤ側へ移動し、ゆるめれば小ギヤ側へ移動します。
張りすぎれば大ギヤへ素早く変速できますが、小ギヤへの変速が遅くなります。
ゆるすぎれば小ギヤへの変速は速いですが、大ギヤへの変速がもたつきます。
このバランスが取れればいいわけです。
変速の調子が悪いと感じる方は、まずは自宅でアジャスターを回してみましょう。
まずは練習です。
「締める」「ゆるめる」だけなので、間違えても元に戻すことは必ずできます。
怖がらずに触ってみましょう。
どうしても不安なら、どっちにどのくらい回したかメモしながらやってみてください。
メモしておけば簡単に元に戻すことができます。
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