【タイヤ交換】トルクレンチの使い方を解説 締めすぎ注意

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冬の季節が終わって、そろそろタイヤ交換の時期になりました。
冬タイヤから夏タイヤへの交換はご自身でなさる方が多いと思います。
タイヤ交換の季節ということでタイヤ交換を例にとってトルクレンチの使い方を説明します。

タイヤ交換は簡単な作業ですが、作業ミスは大きな事故につながります。
できなければプロにまかせることも大切です。

トルクレンチを使って正しい締め付けトルクでホイールを取り付けましょう。

この記事ではトルクレンチの使い方がわかります。
タイヤ交換ではプリセット型を使ってる場合が多いのでここではプリセット型を中心に説明していきます。
トルクレンチを持ってない方は、ホームセンターなどでも手に入りやすいので、タイヤ交換のために1本用意しておいてください。

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ホイールの取り付けにおける締め付けトルク

ホイールを固定しているナットの締め付けトルクは 10~12㎏f/m(以下記事内では『キロ』とします) です。
今ではニュートンメーターで表していますが、その場合は10倍の数値でOKです。
1㎏f/m = 9.80665Nm(ニュートンメーター) です。
数値が細かくなるので、ざっくりと 1キロ = 10ニュートンメーターと考えていただければOK です。
ホイールの締め付けトルクが10キロであれば100ニュートンメーターです。

軽自動車と普通車ではメーカ―指定トルクに違いがある場合がありますが8~10キロなので10キロで締めれば大丈夫です。
もうほぼないですが、8キロというのはボルトが細い車両があったのでその場合数値です。
現行の軽車両は乗用車とボルトの太さは変わらないので10キロで締めましょう。

トルクレンチの数値の合わせ方 プリセット型の場合

トルクレンチの数値の合わせ方は少し特殊なのでよく覚えておいてください。

プリセット型トルクレンチのトルク設定には『主目盛り』と『副目盛り』の両方を使って数値を設定します。

主目盛りの中心には『中心線』があり、中心線では副目盛りを合わせます。

今回使用するトルクレンチは 1/2 プリセット型を例にあげています。
3/8 プリセット型では数値が違いますが、設定方法は同じです。

画像はホイールナットの締め付けトルク 10キロ(100ニューロンメーター)で合わせています。

主目盛りは 100 で副目盛りが ゼロ の位置です。
10.5キロ(105ニュートンメーター)に合わせたい場合は、この位置から主目盛りの中心線に 5 を合わせればいいですね。

12キロ(120ニュートンメーター)であれば主目盛りは 120 で副目盛りはゼロです。

主目盛りは10より大きい数値、副目盛りは10より小さい一桁の数値を中心線に合わせます。

トルクレンチの使い方 グリップには持つ位置があります

トルクレンチには必ず力をかけるポイントがあります。
それ以外に力をかけると数値以下、または数値以上で締め付けトルクとなります。

最も注意しなければいけないのは、グリップ以外をもって力をかけることです。
短く持って使用してはいけません。

短く持つと、力がたくさん必要なので締めすぎとなります。
いわゆるオーバートルクです。
長く持つと締め付けトルクは小さくなって、規定トルクに達していない状態になります。

力をかけるグリップの位置

トルクレンチに指定してある位置に中指が来るように握りましょう。

トルクレンチのグリップには線が入っています。
この位置に力をかけることになります。

ピンポイントでこの位置に力をかけることは不可能です。
なので、この線の位置に中指が来るような設定になっています。

グリップの線に中指を合わせてをしっかりと握って作業してください。

プリセットトルクレンチを使ってみよう

動画でホイールナットの締め付けの様子をご覧ください。

複数のボルトやナットで固定されている部品は対角線で締め付ける必要があります。
4本であれば対角線は ✖ ですね。
5本であれば★です。

プリセット型トルクレンチは設定トルクになると『カチッ』っと音がして知らせてくれます。
グリップも設定トルクになると少し力が逃げるカンジが伝わるので、音を聞き逃しても手に伝わるものでわかります。

一気に力をかけるのではなく、ゆっくりと力をかけていきましょう。
一気に『ギュッ!』っとやると設定トルクになりません。

ゆっくり締めていき設定トルクの『カチッ』で、それ以上の締め付けはしないようにしてください。
整備士の中にもたまにいるのですが、『カチッ・カチッ』っと2度鳴らす人がいます。
これはオーバートルクになるのでやってはいけません。

『カチッ』は一回だけです。

トルクレンチの使用上の注意

プリセット型トルクレンチの構造は、内部にスプリングがあってその反力でトルクを管理しています。
大きな数値で保管していると内部のスプリングが固着して戻らなくなったり、ヘタってしまって設定数値が大きくズレることになります。

必ず最小値にしてケースに入れて湿気の少ない場所で保管しましょう。
スプリングが錆びると数値がズレますよ。

また、反時計方向には使えません。
反時計方向(逆ネジ)でもトルクレンチとして使えるものもありますが、トルクレンチは締めるための測定工具です。
緩めることは想定されていません。
数値が大きく狂うので緩めることには使わないようにしてください。

ホイール専用のトルクレンチが便利

整備をしない一般の方であれば、ホイール専用のトルクレンチが非常に便利です。

『春と冬のタイヤ交換しか作業しない』という方はリンク先のようなホイール専用をお使いください。

ホイール専用であればトルク設定の必要はありません。
ホイールの取り付け指定トルクに設定してあって、数値を変えることはできません。
設定ミスによる締めすぎや締め付け不足を防ぐことができます。

価格は少し高くなりますが、ホイールの取付け専用品で使いやすく精度もバツグンのKTC製なら一生使うことができます。
プロも使ってるので非常におすすめです。

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トルクレンチの品質

トルクレンチは測定工具なので、安いものはお勧めしません。
ですが、ホイールの締め付けに関しては安いモノでも大丈夫です。

10キロから12キロの締め付けトルクといっても、意外とトルクに対する許容範囲は広いです。
やってはいけないのが『すべてのボルトの締め付けトルクがバラバラ』だということです。

4本または5本のすべてが均等な締め付けトルクであれば10キロを下限として締め付けていれば大丈夫です。
安いモノでも誤差が10キロ設定で8キロや14キロということはありません。
3.000円台からのトルクレンチでも十分使えます。

私が動画でホイールの締め付けで使っているトルクレンチは安物です。(5.000円くらい)
締め付けトルクは10.5キロに設定して使用しています。
この数値であれば、上下にズレていても指定トルクの範囲内になります。

ただし、小さなトルクで締める場合(3/8)や、エンジンなどを組む時は正確なトルクレンチが必要なので安いものはお勧めしていません。

まとめ

トルクレンチの使い方がわかっていただけたでしょうか?

私が仕事でお預かりした車両では、タイヤの締め付けトルクがオーバートルクだったり、トルク不足だったりしています。
多くはオーバートルクで、緩まないものもあったりします。
30年以上この仕事をしていて何度か緩めることをあきらめたことがあります。

ガソリンスタンドで取り付けたものや、オーナー自ら取り付けたものですが工具の上に乗って体重をかけて締め付けたり、ガソリンスタンドではインパクトで強く締め付けてる場合です。
緩める時に折れる可能性があったりするので、後日お預かりしての作業としました。

インパクトで締めて『終わり』という作業も最悪なのでそういう作業をしているショップなどでの作業は避けましょう。

私の作業ではインパクトで締め付けますが、指定トルクに絶対に達することが無い設定で締め、その後車を着地させてトルクレンチを使っています。
動画でわかるように、トルクレンチでの締めシロを必ず確保しています。

インパクトでオーバートルクで締めて、のちにトルクレンチでチェックしているショップの作業では何キロで締まってるのかわかりません。
トルクレンチの設定数値以上で締まってるだけの確認です。

これから冬タイヤ→夏タイヤへの交換時期になります。
ご自分でやられる場合は、安いもので大丈夫なのでトルクレンチをお使いください。

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