2023年より車検の検査項目の【ヘッドライト検査】の検査方法が変わって、最悪ヘッドライトを交換しないといけなくなるかもしれません。
ヘッドライトを交換すると高額になる車もたくさんあります。
数万円から数十万円の部品代と言うのも珍しくないです。
これを防ぐのは普段からのメンテナンスしかありません。
新車で乗っておられるかたも「新車だから大丈夫」と思わずに、レンズのメンテナンスは新車のころからしておいた方がいいと思います。
現在の検査方法
現在の検査方法は【すれ違い灯】で検査しています。
すれ違い灯とは、ロービームのことです。
平成10年式以降の車は、すれ違い灯での検査をしています。
平成10年以前の車はハイビームでの検査です。
今回「検査方法が変わる」というのは、すれ違い灯(ロービーム)で検査に通らない場合は即「不合格」になるというものです。
今の検査は暫定措置として、すれ違い灯(ロービーム)で不合格になった場合、ハイビームでの検査で合格すればOKとなります。
H10年9月以降に制作された自動車は、平成27年9月1日より原則としてすれ違い用前照灯の計測を行っていますが、当面の対策として検査機器による計測が困難な一部の自動車に対して走行用前照灯(ハイビーム)に切り替えて検査を実施しています。
今般、すれ違い前照灯による検査の全面施行に向けた前段階として、計測手法及び「計測困難な軽自動車」を下記の通りに変更することとします。
引用:軽自動車検査協会
これは軽自動車の場合ですが、普通車も同じです。
【「計測困難な軽自動車」を下記の通りに変更することとします】というのが暫定措置の検査で今やっているものです。
ヘッドライト(光源)が規定の範囲外で、なおかつ決められた範囲内にあるものをハイビームで再測定します。
ハイビームで合格ならすれ違い灯で適合しなくても合格となります。
この部分が変わるというものです。
暫定措置がなくなって今の再検査方法から「すれ違い灯での検査」だけになるというものです。
これで通らなければ、検査は不合格で車検を通りません。
ポリカーボネイトのヘッドライトはいずれダメになるということ
平成10年以降の車はほとんどがガラスレンズを使っていない「ポリカーボネイトレンズ」になりました。
プラスチックなので、形に自由度があるのでメーカーとしては使いやすい素材です。
しかし、プラスチックなので紫外線での劣化や温度変化など環境によって劣化が避けられません。
白く曇ったヘッドライトや、黄色く変色したヘッドライトの車を見たことがあるかと思います。
どんな高級車であっても、必ず劣化するのがポリカーボネイトのレンズです。
レクサスはリコールでヘッドライトを交換していますが、交換後のヘッドライトもれっかはしています。
長く使うには表面のコーティングの寿命を延ばすことしかありません。
不合格になるほとんどはカットオフライン
ヘッドライトの表面がクモったり、変色しているものだと光の量も少なくなります。
これを「光度」といいますが、光度が基準値以下だとそもそも車検には通りません。
クモったレンズだと暗くなるので車検に通らないと思われるかもしれませんが、光度で車検を不合格になるのはかなり少ないです。
私の経験だと2台くらいしかないです。
それも昭和時代の車ですね。
これはレンズが原因ではなく、配線が古くなり抵抗が増えて光度不足になりました。
ポリカーボネイトの場合、光度はレンズを磨けば合格ラインまでもっていくことができるます。
ではなにが原因なのか?
不合格になるほとんどの原因は「カットオフライン」です。
カットオフラインとは、すれ違い灯(ロービーム)だけにある光の線です。
上方向に光が漏れないように、ある一定の高さから光が上方向に漏れないようにしています。
クモっているレンズだと、カットオフラインがぼやけてしまって出ないんです。
レンズを磨けばカットオフラインが出るものもあれば、出ないものもたくさんあります。
カットオフラインがでなければ容赦なく検査は不合格になります。
カットオフラインはレンズだけが原因ではない
レンズがクモっているとカットオフラインは出にくいです。
磨いてラインがでればいいですが、磨いても出ないヘッドライトもかなりあります。
レンズの内側がクモっている場合や、反射板がクモッているライトです。
こうなると、修理をすることができません。
反射板が汚れているのであれば、水で洗ったりしたこともありますが、乾燥させるのにやたら時間がかかるのでやりたい作業ではないです。
ライトのバルブでカットオフラインが出ないものがあります。
「車検対応」とうたっているバルブでも、カットオフラインの上に光が漏れると検査場のテスタは不合格の判定をします。
磨き方を工夫しよう
ヘッドライト交換なんてなかなかお客さんに言いにくいので、がんばってカットオフラインが出るまで磨く方法を考えないといけませんね。
いままではコンパウンドで磨いていたのですが、それでも出ないものは耐水ペーパーで削り取らなければならなくなりそうです。
コンパウンドで磨くのは無料でやっていましたが、ペーパーを使うようになると工賃を請求することになります。
たぶんそこまでやればカットオフラインは出るはず。
それでも出なければ交換になるのかな?
ちなみに「ヘッドライトスチーマー」も持っていますが、耐久性は2年~3年くらいです。
メンテナンスで延命できるのか?
ポリカーボネイトのレンズには紫外線防止などのコーティングがされています。
このコーティングが剥がれてしまうと劣化が早くなります。
コーティングは徐々に薄くなるので、剥げてしまってもわかりにくいです。
磨いていると、ウエスなどのすべり具合でわかるんですが、磨けばさらに薄くなるので洗車のたびに磨くというのはおすすめしません。
定期的にコーティングをし直してあげれば、きれいなヘッドライトを長持ちさせることができるのではないかと思います。
陸運支局で聞いてきた
今回の情報は北海道の旭川支局の情報です。
島根県の支局のHPではまだ告知されていません。
国土交通省のHPでも見つけることはできませんでした。
北海道だけ独自に検査方法を変えるというのは考えられないので検査場に行って聞いてきました。
島根の方ではまだ何も聞いてないそうです。
とはいえ「ある地域だけ独自の検査方法をとることは無い。統一した検査になります」ということです。
まとめ
島根県の検査事務所ではまだ告知されていません。
旭川の検査事務所がやるのであれば他県の事務所もやります。
暫定措置の今の検査になる前に、一時的にすれ違い灯だけの検査になったことがあります。
その時は検査ラインが大渋滞で、検査場がごった返していました。
ライトの検査で不合格になった車両の再検査だらけで、とにかくひどかったんです。
1日で検査が終わらない車もあって、4時までの検査時間をオーバーして5時まで検査で並んだ人もいます。
そういった状況を踏まえて暫定検査になりました。
整備工場側ができるのは「ヘッドライトのレンズを磨く」ことぐらいしかありません。
磨いてダメなら交換を勧められることになります。
ユーザーの負担が増えることになるかもしれません。
せめてメンテナンスをしてヘッドライトの延命をしておいた方がいいと思いますよ。
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