病気とは無縁だと思ってたら、救急車のお世話になりました。
脳梗塞です。
「中大脳動脈閉そく症」
救急車で運んでもらい、さらに脳外科のお医者様が当直になっていたために、手術がすぐにできたことで後遺症が残らなかったのは幸いでした。
脳梗塞は、処置が早ければ早いほど、リハビリがうまくいき後遺症も残ることがないようです。
私の場合も、経過がよくてリハビリもうまくいったので、こうしてPCも使うことができています。
脳梗塞の前兆のようなものもあるようですが、寝ているうちに脳梗塞になったので、起きたらすでに半身に麻痺がでていました。
脳梗塞で亡くなる方は10%だそうです。
後遺症が残る方は50%で、後遺症も軽いものから介護が必要で寝たきりになってしまうこともあるとのこと。
後遺症が残らない50%になるのは、処置が早いとか脳のどのあたりに症状が出るかによって変わります。
脳梗塞になった
脳梗塞になった時は、朝起きた時にすでに脳梗塞になっていました。
目が覚めたときに、自分の体が動かないことで、何かが「おかしい」と思いました。
「痛み」や「苦しさ」などはありませんが、右半身がシビれて動くことができません。
寝ているときに、腕を体の下に入れていてシビれたことがありませんか?
ちょうどあの感じでした。
右手と右足がシビれていて感覚がまるでないんです。
「寝方が悪かったんだろう」と、しばらくすれば治ると思っていたのですが、30分してもいっこうに良くなりません。
立つこともうまくできないので、それを見て母親が急車を呼んでくれました。
ストレッチャーに乗せられたところからは記憶がありません。
うっすら意識がもどったのは手術の最中でした。
脳梗塞は発症からの時間が短い方がいいので、いつから症状が出始めたのか?ということがわかるといいのかもしれません。
発症から3時間以内であれば、薬で詰まった血栓を溶かすことができるので手術が必要ないらしいです。
3時間といっても、検査で1時間取られるので、実質2時間で病院に行かなければならないからとにかくスピードが大切です。
脳血管内治療
なんとなく気がついたのは手術中でした。
ハッキリとした意識はないのですが「いま大事なところだから動かないで」って言われた記憶があります。
「手術中なのかな?」とか「ひょっとして頭を開いてる?」とか考えましたね。
痛みなどは一切ありませんが、頭の方で何かをやっている感覚がありました。
ただ、ときどき気持ち悪くなったような気がします。
部分麻酔で手術をしていると思うのですが、そもそも意識がない状態なので、私の記憶にあるのは夢だったのかもしれません。
あとから聞くと、私の頭の中の血栓は小梅くらいの大きさだったようです。
発症から手術までが比較的早かったので、小さかったらしいのですが、時間がたてばゴルフボールくらいになるということらしいです。
そうなると、後遺症は避けられないのかもしれませんね。
母親が気がついてくれたこと、救急車がすぐに来てくれたこと、先生がいてくれて手術がすぐにできたこと。
ほんとうに、すべてが良かったと思います。
集中治療室
手術が終わると、集中治療室に運ばれました。
もちろん意識はなく、目が覚めたら集中治療室でした。
集中治療室ではほとんど寝ていましたが、2時間ごとに起こされるんですよね。
「2時間ごとに起こすから」って、言われたような気もします。
このことしか覚えてないので、2時間ごとに起こされる以外、ず~~~っと寝ていたんだと思います。
経過観察室
集中治療室からは2日で出ることができましたが、病室へ行くのではなく「経過観察室」に入ります。
ナースステーション(スタッフルーム)のすぐ横にある殺風景な部屋が経過観察室です。
ここに入ったときに、自分の体に起きていることが理解できました。
- しゃべれない
- 右半身が動かない
人の言うことは理解できているし、自分が伝えたいことはわかっています。
しかし、言葉になって出ません。
出てくる言葉は「お」と「あ」。
右手が動かないけど、なんとか筆談できないかとおもったのですが、言葉を文字にすることすらできないんです。
例えば「スマホ」と書こうとしても「お」とか「う」とか、書こうと思っている文字が出てこないんです。
頭では「す」を書きたくても「お」と書いちゃうんです。
しゃべることもダメ。
書くこともダメ。
人に自分の意志が伝わらない苦しみは本当につらかったです。
さらに、これが一生続くのか?とかも考えてしまいます。
治るのか?
リハビリでしゃべれるようになるのか?
経験したことがない体の変化に、絶望しました。
病院食
しゃべれなくても、時間になれば食事が運ばれてきます。
入院したことがないので、人生ではじめての病院食です。
ところが、すべてが流動食でした。
自分の中では、しゃべれなかったり、右側にマヒが出ている以外は普通だと思っていたんですが、周りの人が見ると普通じゃなかったんですね。
しゃべることができないから【誤嚥】の可能性があるから「流動食」だとあとから聞きました。
流動食は3段階の固さがあるらしく、私は2番目のものを初めて食べましたが、これがマズイ。
とにかくマズイ。
ごはんは「米粒がないおかゆ」なので、味はきちんとコメの味なのでマズくはないんです。
問題は「おかず」。
もうね、すべての食材が溶かしてあるから、味も混ざっちゃってるんです。
「こんなご飯が何日続くの?」って思います。
マズそうに食べてると、目の前で食べるところを見てられるんです。
あとから聞いたのですが、麻痺が出ている患者などは、飲み込めなくて「誤嚥」しちゃうからだそうです。
食べる様子を見て、大丈夫そうなら食事の固さを変えていくんだということらしいですね。
私は、2番目の柔らかさは一食で終わり、流動食では一番固いものになりました。
まぁ、味は同じ。
全部混ざっているので、ごはんのおかゆ以外はマズイです。
知ってます?
お茶も固めてあるんですよ。
チャオちゅーるみたいなお茶なんて飲んだことない。
流動食が終わっても、お茶は普通食になっても1日ほど続きました。
誤嚥しやすいからなんでしょうね。
普通食に変わったら、この病院の病院食がおいしい。
本当においしいので、食事の時間が楽しみでした。
経過観察室にいたのは2日、いよいよ病室にうつされていきます。
病室で治療とリハビリ
病室は個室にしました。
大部屋でも良かったのですが、まさか1ヶ月も入院するとは思っていなかったので、結果的に個室でよかったと思っています。
点滴に繋がれているので、トイレに行くにも大部屋だと周りに気を使いますしね。
点滴に繋がれたままですが、リハビリが始まります。
リハビリは3種類。
- 考える力(作業)
- 言語
- 体の動かし方
点滴につながれているので、横になったまま腕を上げたり、ヒザを曲げたりといった軽い動きからです。
考える力は、間違い探しをやったり、数字をつなげていくようなリハビリと、指先で細かいものをつかむなどのリハビリ。
いちばん苦労したのが、言葉ですね。
自分の言っていることが正しいのか?が判断できない上に、言葉や単語が思い出せないのは苦労しました。
例えば「“あ”で始まる物や言葉を言ってください」って言われたら、いくつか言えますよね。
「明かり」「あかるい」「赤」「安心」「安全」「アジサイ」などなど・・・。
これが、なにひとつ思い出せないんですね。
世の中に「あ」のつくものなんて無いんじゃないの?って、思うくらいひとつも浮かんできません。
そうするとヒントをもらえるんです。
「信号は?」って言われて「赤信号」がひらめきます。
なにかが欲しくても、何を持ってきて欲しくても、欲しいものの名前や形、使い道や色すら言えないんです。
言語聴覚士は、がんばって理解しようとしてくれてるのですが、それが申し訳なくてこっちがあきらめるんですよね。
脳梗塞の言葉の後遺症は、「文字を忘れる」「言葉を忘れる」「物の名前を忘れる」「人が話していることが分からない」など、ダメージのあった場所によってさまざまらしいです。
こういう言葉の練習をして、思い出したり、脳の違うところを使って話すことができるように訓練していきます。
マジで、これがいちばんつらかったです。
わかっているのに話せない。
話そうとしているけど、伝わらない。
文字がわかってない時のメール
突然、脳梗塞になってしまったので、仕事の予定も入っていました。
車検の予定があって、とりあえず断らなければなりません。
4日目に、スマホで送ったメールがこちらです。
脳の手術
積載車の車検、支度おすめ。
こめください。
自分では「脳を手術しました。積載車の車検は他でやってください。ごめんなさい」と送ったつもりです。
まさか、こんなにわけのわからんメールを送っているとは・・・。
このメールを送るのに24時間かかっています。
言葉が分からないうえに、変換は無理だし、予測変換しようと思っても単語が分からないのでそれすら無理です。
右手が使えなくなった
一時期、右手が使えなくなりました。
入院して10日間は、握力はほぼゼロ。
スマホを持っていると、突然落としたり、箸や鉛筆を持っていると突然落とします。
少しづつ回復してるような感じはあったので、さほど心配はしていなかったのですが「工具が持てなくなったらどうしよう」って思いました。
現在はよくなったのですが、握力は30㎏です。
同年代の女性とほぼ同じです。
看護師さんや看護助手さんには本当に感謝
看護師さんや看護助手さんには本当に感謝です。
あの方たちがいなければ、病気を治すことはできなかったと思います。
いろいろ調べると違う病気が見つかって、24時間管理されなければならなかったときがありました。
そんな時でも、昼間はもちろん、夜中でもきちんと見守ってくれたのは看護師さんたちでした。
3回ぐらい飛んできてくれましたからね。
「大丈夫ですか?」って。
看護助手さんだって、医療行為はできないにしても、入院で必要な生活の補助をやってくれていたことで快適に過ごすことができました。
リハビリの方たちにも本当に感謝です。
退院が近づくと、生活に支障が無いくらいまで回復しても、世間話などで「話す」ことの訓練ができました。
医療従事者はお世話にならないと、あの方たちのありがたさはわからないかもしれません。
入院中は楽天モバイルでTVを見なかった
どこの病院でも、TVは有料なんですよね。
ほとんどTVを見ない私にとって、時間をつぶすためにお金を払ってTVを見るのは苦痛です。
楽天モバイルの電波が十分に届いたので、アマゾンで映画を見たり、電子書籍で本を読んだりしていました。
楽天なら3千円ちょっとで「無制限」なので、データ量を気にすることはありません。
入院中に使ったデータ代は【278GB】でした。
今は無料期間なのでタダですが、有料だったとしても3千円ちょっとで使えるのは安心です。
できれば、PCを持って行ってほかのこともやってみればよかったと思いました。
脳梗塞
1か月も入院してしまいました。
脳梗塞になって、はじめて健康が大切だということに気がつきました。
元気じゃないとナニもできない。
脳梗塞など、気をつけていても防ぐことができない病気もあります。
大切なのは正しい生活習慣。
あとは、かかってしまったときの対応です。
もし、体に異変があったらすぐに病院に行ってみてもらってください。
早く見つかれば後遺症もなく、治療期間も短くなるはずです。
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