ヘッド調整などで入庫してきた自転車の不具合個所など

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自動車と接触したことで、ヘッド周りにガタがあるということで入庫してきた自転車です。

ひとまず修理は完了したので、どこがどういうふうになっていたのか報告がてら記事にします。

オーナーが見てくれれば、次に交換すべきパーツや現状のフレームの状態などが分かってもらえるかと思います。

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ヘッドのガタは、トップキャップへの衝撃が原因

ヘッドキャップ
ヘッドキャップ

入庫してきたときのヘッドの状態はガタガタでした。

ヘッドの上部に入れられたヘッドスペーサーに、トップキャップがメリ込んでいたので原因はトップキャップへの衝撃なのでしょう。

ひとまず、ヘッドを分解して点検してみます。

ハンドルを外してフォークを抜き、ヘッドベアリングを取り外して内部からフレームの状態を確認します。

外側にはクラックは見られませんが、内側にクラックがないとも言えないです。

目視では内部にもクラックらしいものは見当たらないので大丈夫なんじゃないかと思います。

カーボンフレームは衝撃には弱いので、落車などした場合は「大丈夫」とは言い切れません。

ベアリング受けを掃除してヘッドを組みなおしてヘッド調整をして完了しました。

ステム上部には5㎜のスペーサーが2枚入っていました。

コラムのステム上部への突き出しが5㎜くらいあって、2枚のうちの上側のスペーサーが動いてしまうので1㎝のスペーサーに交換してあります。

5㎜を二枚の状態で組めば横からの衝撃で、だるま落としのように上側のスペーサーがズレてしまいます。

フロント変速の調子が悪い原因はアダプターの圧入不足

シマノ変換アダプターの圧入不足
圧入不足の変換アダプタ―

預かった時に「フロント変速が・・・」と言われてみた瞬間に原因はわかっていました。

BB30のシマノクランク変換アダプタ―がきちんとはまっていません。

5㎜くらい入っていないアダプター
5㎜くらい隙間があります

約5㎜くらい隙間があります。

このスペーサーは、別の自転車を組んだ時は指で簡単に入るものだったのですが、この自転車の場合は抜くことすらできません。

固着してるのかも分かりませんが、いったんBBベアリングを抜いてベアリングにアダプターを圧入しなおしてフレーム側に再圧入しました。

抜こうかと思いましたが、アウターレースに力をかけることになるので断念。

再圧入できちんとBBベアリングを組みなおしてフロントディレーラー調整すればよくなるはずです。

フロントディレーラーの位置に問題はない・・・から良くないんだな

BBにクランクを組んでフロントディレーラーの調整をします。

私の中ではクランクが5㎜も外側についているので、変速機もアウター側へ5㎜動いているものだと思っていました。

が、ほぼ定位置で調整は微調整程度で変速はうまくいくようになりました。

しかしですよ。
この状態で乗っていたということは、アウターギヤにどうやって変速できていたのか?と思うわけです。

クランクが5㎜外側についていれば、それぞれのチェーンリングの位置も外側に5㎜の位置にあります。

インナーチェーンリングは、変速機のストローク内なので調子が悪いなりにも変速はするでしょう。

しかし、アウターギヤへの変速はストッパーボルトで通常の位置で固定されているのでそれ以上は動きません。

それでも変速できていたわけですよね。

「スゲ~~なシマノ」ともおもいますが、もしかして無理やり5㎜分STIでワイヤーをひいてたんじゃないかと・・・。
フロントディレーラーって無理やり引けば、力技で変形しながらでも外側に動くのかもしれませんし・・・(そんな無茶はしたことがないのでわからない)

そうなると、STIに大きな負担がかかっています。

変速調整はできたけど・・・

フロントの変速調整は微調整でできるようになりました。

しかし、ときどきインナーへの変速ができない時があります。

アウターにまきあげたワイヤーをリリースできません。

シマノのSTIは分解できないので判断はできませんが、ラチェット機構のギヤの摩耗なのかと思います。

5㎜分無理に引いたところでラチェットでロックするので摩耗しているのかもしれません。

STIは交換した方がいいと思います。

インナーへリリースできないのはつらいと思いますよ。

この症状は常に出るわけではなくて、突然リリースできなくなります。
分解できず修理は不可能なので交換するしかないですね。

リヤディレーラーハンガーの取付ボルトがゆるんで曲がっていた

リヤエンドの取付ボルト
わかりづらいけど曲がっています

リヤディレーラーハンガーがガタガタで今にも取れそうでした。

締めなおそうと思いましたが、持ち込まれたパーツの中に交換用の新品ハンガーと新品ボルトがあったので交換してあります。

新品エンドを取り付けてハンガーの修正器を当てると曲がっています。
新品のハンガーが真っすぐであるということはないので、修正しておきました。

新品のディレーラーハンガーの曲がり

ディレーラーハンガーがゆるんでいたのが原因なのか?
エンドが削れている

カーボンエンドは削れてしまう
カーボンエンドは削れる

ディレーラーハンガーの取付ボルトが曲がっていたということは大きな力がかかっていたということになります。

リヤエンドのハブのアタリ面が削れているので、走行中にハブが動いたのではないかと思います。

これの影響なのか?わかりませんが、クイックシャフトも曲がっています。
修正はできないので交換するべきものとも思いますが、アタリ面が削れた状態で新品にしてもまた曲がるかもしれません。

リヤディレーラーのHI側の調整ボルトが・・・

RDハンガー修正後は変速機の位置が変わる
ハンガー修正後のRDの位置は大きく外側になっています。

画像では非常にわかりにくいですが、リヤディレーラーは大きく外側に移動しています。

新品リヤディレーラーハンガーの修正では、内側から外側に修正しているので当然変速機も外側に移動します。

もともとついていたものが曲がっていたのかどうかは、測定していないのでわかりませんが、これだけ外側に移動していてもHI側のアジャスターボルトが飛び出しています。

ワイヤーをリリースした状態で、トップギヤの位置よりも外側に行かないように制限するためのボルトがHI調整ボルトです。

調整不良のボルト
あきらかに緩めすぎです

これが現状どういう状況かというと、ワイヤーの長さ調整で変速機のトップ側を制限しています。
つまりワイヤーが切れた瞬間にトップ側にチェーンが落ちます。
調整ボルトで動く範囲を制限されていれば、ワイヤーが切れてもトップ側は最小ギヤで止まります。

調整した感じでは、かなり緩く回るので走行中の振動でゆるんだのかもしれません。

ブレーキのアジャスターなど

ブレーキワイヤーアジャスターがいっぱいまで引き上げられています。

ここも調整しようかと思いましたが、ナローリムがついていたので止めました。

ふだんワイドリムを使っているときにアジャスターを戻しておられるのかもしれません。
ヘタにいじると余計なことになります。

ブレーキシューのリムへのアタリ面も微妙に調整したいところですが、ワイドリムに合わせている可能性もあるのでノータッチです。

まとめ

自動車との接触の影響はヘッドのガタだけだと思いますが、そのほかにも良くない部分がたくさんあったので修理しました。

特にBBに関しては、フロント変速がうまくいかない原因でもあり、無理をしていたとするならばSTIの不調も納得がいく部分です。

フロント変速のリリースの不具合は上りに入る時に使うものなので、症状が出るとアウターで頑張らないといけなくなります。

リヤディレーラーハンガーのゆるみの影響も、それが原因であるならハンガーの削れは残念な部分です。

カーボンエンドは削れてしまうと修理は一般的にはできません。

リヤエンドに段差ができているので、ハブによっては真っすぐにとりつかないものもあるかもしれません。

それによってなのかわかりませんが、リヤのクイックシャフトも曲がっていました。

ハンガーを新品に交換修正し、リヤの変速調整もしてあります。

いちおう依頼を受けた部分はすべて修理し調整してあります。

ご本人様からの直接依頼ではないので、このBlogを見ていただいて現状を把握していただければと思います。

同じように、調子が悪いような事例があれば、今回の記事を点検の参考になさってください。

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