自転車のイベントなどで時々見かける間違ったクイックレリーズの位置。
間違った位置で固定していると思いがけない事故が起こるので正しい取り付けを理解してきちんと締めましょう。
特にハブベアリングの種類で締め付けを変えてる方はいないと思います。
シールドベアリングの場合とカップ&コーンでは締め付けが変わります。
最近はやりのスキュワーについても解説していきます。
クイックレリーズ固定位置に注意
クイックレリーズの固定位置にはきちんとした決まりがあり守っていないと思わぬ事故になる可能性があります。
きちんとした位置にクイックレリーズを固定していますか?
また、きちんとした強さで締め付けていますか?
ホイールを固定している多くはクイックレリーズです。
カンパニョーロが発明したクイックで車輪の脱着が格段に上がり、整備性がよくなるとともに、パンク修理もしやすくなったといえます。
1927年 トゥーリョ・カンパニョーロ によって発明されたのがクイックレリーズです。
カンパニョーロのホイールハブのマークがクイックレリーズなので多くの方がご存じかと思います。
固定位置はフロントもリヤもフォークとフレームに沿わせたレリーズ位置と決まっています。
ただし、フロントに関してはフォークに沿わせるのではなく、後ろ方向にあってもいいとされています。
どちらでもクイックを絞めやすい位置にしてください。
危険とされるクイックの位置は、フロントは前方向や下方向は危険なのでやってはいけません。
前方向にすると、駐輪した時や、前走車の後輪にレバー部が当たった時にレバーが倒れ緩む可能性があります。
下方向だと、駐輪した時に何かにあたって緩む可能性があります。
フォークに沿わせる上方向であれば、こういったことがおこりにくいので安全と言えます。
リヤの場合は、下方向はもちろんですが、後ろ方向は絶対にやってはいけない向きになります。
それは、画像のように後続車がうっかり後輪とクイックの間に前輪を入れてしまいあわててハンドルを動かすとクイックが開いてしまいます。
クイックが開いたことに気が付かない場合、後輪が緩んで外れるなど事故につながるので後輪のクイックは後ろ方向は絶対にダメです。
クイックの正しい締め方
クイックを絞めるのには意外と力が必要です。
でもどのくらいで締めればいいのか?と思いませんか?
ほとんどの方は「何となく」締めてるのではないでしょうか。
ボルトやナットと同じようにクイックにも締め付けトルクがある
ボルトやナットには締め付けトルクがあります。
それはトルクレンチで管理できますが、クイックにも締め付けトルクがあるのをご存じでしょうか。
トルクレンチで管理できるわけではないので、クイックレバーの締め付け開始位置でトルク管理しています。
クイックレバーをクイックのシャフトに対して垂直(まっすぐ)の位置にします。
その位置で反対側の調整ネジを絞めていきフレームに接触した位置からレバーをいっぱいまで倒せば適正トルクで締め付けられたことになります。
やってみると意外とキツク締めるということがわかります。
クイックをフレームを利用して手のひら全体を使って閉じるとやりやすいですね。
もし、クイックを締めてるのにホイールがずれるということに悩んでる方はクイックをシマノ・カンパ・フルクラム・マビックなどにしてみてください。
サードパーティー製のクイックは、エンドの当たり面がアルミであったり、クイックのカム部分に樹脂を使ってるものがあるので十分な締め付けができないものがあります。
特に軽量クイックはきちんと締めれないものも多いので、あまりお勧めできるものではありません。
ただし、ホイールによって少し変える必要があります。
シールドベアリングを使ってるホイールはこの締め付け方ではベアリングに対してオーバートルクになってしまいます。
カップ&コーンのハブを使ったホイールではこの締め付け方でOK です。
カップ&コーンの代表的なホイールは
- シマノ
- カンパニョーロ
- フルクラム
シールドベアリングの代表的なホイールは
- マビック
- ROVAL
- etc (多くのメーカーはシールドベアリングです)
ご自身のハブベアリングに応じてクイックの締め付けトルクを調整してください。
カンパニョーロやフルクラムの廉価版ホイールはシールドベアリングです。
シールドベアリングの締め付けトルク
基準がないのでお伝えしにくいのですが、大まかに言ってカップ&コーンの締め付けトルクのネジ位置を1/2~2/3程度緩めた位置だと思います。
決してホイールが緩まない締め付けであることが重要です。
ベアリング保護のためにと、緩んでしまう取り付け方はやってはいけません。
最近はやりのスキュワーの場合
クイックと同じようなデザインですが構造が全く違うのがスキュワーです。
六角レンチや盗難防止機能のあるものもありますが、締め付けに関してはネジを締める要領なのでスキュワー全般について説明します。
DT SWISSとGIANTが共同で発売したのがロード用スキュワーでMTBでは以前からありました。
クイックに比べて高強度で締め付けることができるので、フォーク剛性が上がるとか、リヤのホイール周りの剛性が上がると人気商品になりました。
ですがスキュワーは締め付けすぎるので注意が必要です。
締めすぎ注意!
カップ&コーンの場合は大丈夫ですが、シールドベアリングの場合は締め付けすぎるとベアリングを痛めてしまいます。
シールドベアリングは軸方向の力には対応していません。
シールドベアリングは構造上軸方向、つまりクイックなどで締め付ける方向の力には対応していません。
路面より垂直に転がる方向の入力に対して使用するものです。
ベアリングの説明をしだすと長くなるのでここでは割愛しますが、軸方向に力をかけ続けると鋼球やレースに傷がついてゴロゴロした状態になります。
ちなみに自動車のハブベアリングもシールドベアリングを使っています。
軸方向への締め付けトルクはかなり大きいですが、軸方向に締め付けてもベアリングに負荷をかけないようにインナーレースカラーが入ってます。
この構造を知ってると自転車のシールドベアリングの構造は不完全なものです。
ですので、シールドベアリングは適度な締め付けトルクが求められるので締め付ければいいという概念は捨ててください。
極論を言えば、外れないとか、緩まない強さで締め付けます。
スキュワーに関してはシールドベアリングハブの特性を理解してない方には向いてないと思います。
世の中には剛性信者がいて『剛性こそ正義』『剛性こそ性能のすべて』と思っておられる方が意外と多い印象があります。
剛性って人それぞれの感じ方ですけど、あるレベルを超えるとデメリットで扱いきれないものになるし身体も自転車も壊します。
剛性過多は【百害あって一利】なしです。
スルーアクスルスキュワー
ロードバイクのディスクブレーキ化によってディスクブレーキ車はクイックレリーズではなくなってます。
一部まだクイックのものもあるようですが、ディスクパッドに対してローターがまっすぐいつも同じ位置に取り付けができないなどの不具合があるのでディスクブレーキ車を買うときはクイックの車体は避けたほうがいいです。
MTBだと15㎜スルーアクスルとか、それ以上の太さのものもあるようですが、ロードは12㎜スルーアクスルです。
ほぼこの規格に落ち着いてるのでしばらくは変わることはないと思います。
12㎜スルーアクスルは、シャフトの太さによって取り付け剛性が格段に上がります。
明らかに剛性過多といえるくらいの剛性が確保できます。
締め付けに関しても、シャフトの太さからクイックレリーズやスキュワー以上の締め付けトルクを得ることができます。
ですが、スキュワーでお話したようにシールドベアリングに対しては過度の締め付けは不具合を起こします。
シャフト剛性が十分あるので締め付けすぎには注意してください。
まとめ
クイックレリーズのレバー位置に注意して締める。
カップ&コーンとシールドベアリングハブでは締め付けるトルクが違う。
スキュワーやスルーアクスルシャフトは強く締め付けることができるのでシールドベアリングハブには特に注意が必要。
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