今の自動車はほとんどFF車です。
平成初期まではFR車も今よりは多かったのですが、多くの車両はFFに変わっていきました。
その理由は燃費と車室内の広さが改善できるからです。
FFの方が車室が広く、燃費も向上します。
FF車では特に気をつけて点検すべきポイントがあります。
それはドライブシャフトブーツです。
ドライブシャフトブーツはFF車または4WD車には必ずある部品なのでユーザーで点検するようにしてください。
点検方法は目視なので簡単です。
ドライブシャフトブーツってどこについてるの?
ドライブシャフトブーツはドライブシャフトについています。(あたりまえすぎる)
フロントホイールを駆動するシャフトがドライブシャフトです。
そのドライブシャフトの端っこにゴム製のジャバラのパーツがドライブシャフトブーツです。
外側のものを『アウターブーツ』エンジン側についてるものを『インナーブーツ』といいます。
ドライブシャフトブーツの役割
ドライブシャフトブーツは、ドライブシャフト内のベアリンググリスが外部に漏れないような役割をしています。
FF車はハンドル操作でタイヤの角度を変える構造と、駆動して車を動かす動きをしないといけないので、ドライブシャフトブーツがついてる箇所は動くようになっています。
サスペンションの動きの上下動にも対応する構造なので、伸びたり縮んだりもします。
インナー側はカップ内でスライドするようになって、サスペンションの動きに合わせて上下にも伸縮もできるようになっています。
アウターブーツの部分のベアリングは固定されていてシャフトを中心とした円周上の動きをします。
ハンドルを切ってもシャフトの回転を妨げない構造になっています。
こういった複雑な動きを可能にするためにグリスが封入されています。
グリスが外に流れ出ないように、また水が浸入しないようにブーツで保護されています。
アウターブーツは動く範囲が大きいから破れる
アウターブーツはハンドルを切ると、大きく伸びます。
延ばされた状態で回転するので、ジャバラ状になっています。
こういった動きから、アウターブーツは破れることがあります。
インナーブーツは、動きが小さいので破れることは多くありません。
破れないわけではありませんが、かなり少ないです。
ドライブシャフトブーツの材質が変わってから破れにくくなってきた
平成初期までのドライブシャフトブーツはゴム製でした。
そのために劣化が激しく、年数による経年劣化においても破れるようなものでした。
早ければ6万キロくらい、10万㌔で破れないということはまずありません。
ドライブシャフトブーツ交換の仕事はかなり多かったです。
ところが、平成中期位からドライブシャフトブーツの材質が変わりました。
プラスチック製(?)になったんです。
ゴムに比べると柔軟性が無く、初めて見たときは耐久性はかなり劣るだろうと思ってました。
ところが、この材質のブーツは耐久性がとても高く、破れるということがかなり少なくなったわけです。
当然ですが、それまで頻繁にあったドライブシャフトブーツ交換に作業は一気に減りました。
10万キロ以内で敗れるということはほとんどなく、廃車まで無交換という車もかなりあります。
自動車整備業にとっては敵のような存在ですね。
修理が減るというのは収入も減ります。
とは言え、ユーザーにとってはこのドライブシャフトブーツの材質変更のメリットは維持費の面でも多くありますね。
ドライブシャフトブーツが破れるとどうなる?
ドライブシャフトブーツが破れると中のグリスが出てしまいます。
それによってベアリングの潤滑ができずにベアリングに傷がついて動きが悪くなります。
そのままさらに放置して走り続けると、砂などがグリスに混入してベアリングを削っていきます。
ガタが出たベアリングは異音の原因となり、ハンドルを切った状態で車を動かすと音が出ます。
ハンドルを切って動かしたとき『カカカカッ』って音が出たらアウターカップのベアリングの可能性が高いです。
音が出たドライブシャフトの修理はシャフトを交換するしかないので費用が掛かることに。
破れにくいドライブシャフトブーツですが、修理費用がかかる前に早めに見つけることが必要です。
点検方法は簡単 目視です
ドライブシャフトブーツの破れを点検するのは非常に簡単です。
車に詳しくない方でも簡単に見つけることができます。
これから春にかけて冬タイヤから夏タイヤへ交換すると思いますがその時に点検してください。
ブレーキの裏側にドライブシャフトブーツが見えるので点検しましょう。
ブーツにグリスがついていたら破れています。
正常な状態でこの辺りに脂分が付くことはありません。
油分がついていたらほぼドライブシャフトブーツが破れています。
また、ホイールの内側にグリスがついていることもあります。
こうなって状態だとかなりグリスが出てしまっているので、ドライブシャフトブーツを点検してください。
ドライブシャフトブーツ交換はガソリンスタンドでもやってもらえる場合がある
以前のドライブシャフトブーツ交換作業は手軽にできる作用ではありませんでした。
ドライブシャフトを外し、インナーカップ側をバラしてアウターブーツ交換をする。
または、アウターカップをスライドハンマーで抜いて交換するなど、それなりの工具と知識が必要でした。
今は『割れブーツ』といって、半分に切れ目が入っているブーツが販売されているので誰でも簡単にブーツ交換ができます。
それまでガソリンスタンドではできなかった作業ができるようになって、ガソリンスタンドの仕事が増え、私のような修理業者の仕事は減りました(悲)
『割れブーツ』の耐久性は・・・よくない
誰でも交換できる『割れブーツ』ですが、耐久性は通常のものよりは劣ります。
それは、分割部分からグリスが出てしまうことがあるためです。
分割部分は接着剤でつけてあるんですが、やはり経年劣化でグリスが出ている車両が時々あります。
車検に通らないレベルではないので、交換ということにはならないんですが・・・。
割れブーツの交換方法を簡単に解説
割れブーツの交換は簡単です。
元の破れたブーツを取り外します。
ブーツの端は金属のバンドで止めてありますが、バンドの固定部分を起こすと簡単に外れます。
バンドはニッパなどで切ってしまっても大丈夫です。
どうせ切らないと外せないと思います。
破れたブーツをカッターナイフで切って外します。
割れブーツを外側が大きいほう、内側(エンジン側)が小さいほうでシャフトにかぶせます。
分割部分に付属の接着剤を流し込んで合わせます。
ブーツによっては、この後で熱をかけるものもあって、ホッカイロが付属してるのでフィルムを剥がして接着部分に熱をかけましょう。
10分くらい加熱した後に、ドライブシャフトのベアリング部分に付属のグリスをたっぷりと詰め込んで、余ったものはブーツの中に入れちゃいます。
ブーツをかぶせ、隙間にゴムのリングを入れてバンドで止めたら完成です。
付属の説明書を読めばできない方はいないと思います。
今回交換した画像を載せられればよかったのですが、ブーツ交換時は手がグリスで汚れるのでカメラが持てずに画像がありません。
まとめ
ドライブシャフトブーツの耐久性は格段に上がっています。
ブーツが破れて交換するという仕事が激減したことからも確かです。
とは言っても絶対に破れないものではないので、タイヤ交換の時にでもきちんと点検してください。
修理に出しても1万円ちょっとで修理はできると思います。
もしドライブシャフトがダメになると3万円以上は修理代でかかります。
早めに異常を見つけることは修理費用を抑えることになるのでぜひタイヤ交換の時にはしっかりと点検しましょう。
アマゾンでもブーツの購入は可能です。
車種によって部品が違うので、必ず確認してからご購入ください。
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