NA6CE ロードスターのフューエルインジェクターのクリーニング方法を解説します。
用意するもの
パーツクリーナー
電池数本 (合計でおおよそ5VになればOK)
配線
フューエルインジェクターを浸けておくための容器(金属製)
以上のものがあればインジェクターのクリーニングは簡単にできます。
メガネや腕時計などのクリーニングで使う「超音波洗浄機」があればさらにいいです。
まぁ、ないですよね。
超音波洗浄機がなくてもクリーニングは可能なのでやっていきましょう。
フューエルインジェクターを取り外すの作業も含まれるので、それなりの知識と技術が必要な作業です。
ガソリンのある部分の作業なので、火の元には気を付けてください。
インジェクタークリーナーは基本的にはケミカルでの施工が望ましいです。
というか、ケミカルでやりましょう。
インジェクターの重要性
フューエルインジェクターは、エンジン内部にガソリンを噴射する装置です。(以下 インジェクター)
インジェクターをエンジンに使う前はキャブレターで燃料をエンジンの中に吸気していました。
キャブレターはエンジンが吸い込む力(負圧)を利用して、霧吹きのようにガソリンと空気の混ざったもの(混合気)をエンジンに入れる装置です。
キャブレターが空気とガソリンを混合させるのに対して、ガソリンだけをエンジン内に噴射するのがインジェクターです。
空気は単独でエンジンに吸い込まれるので、空気とガソリンを混合するコントロールが細かくできるメリットがあります。
キャブレターは、機械的に空気とガソリンの混合比が決まってしまうので燃費やエンジンパワーなどの向上のバランスに限界がありました。
インジェクターは、エンジン内に吸い込まれる空気に対して、コンピューターによって最適な燃焼を行えるだけの燃料を噴射します。
燃費や出力の向上には欠かせないものになっています。
現代の車では100%フューエルインジェクターを使っています。
フューエルインジェクターのクリーニングを解説
まず始めに、インジェクタークリーニングは重要なことですが、取り外して行う必要はほとんどの場合ありません。
ガソリンの不純物などで汚れますが、燃料添加剤などのケミカルで定期的なメンテナンスをしていれば今回のような作業は必要ありません。
今回、長期保管している車を動かすためには取り外してのメンテナンスが必要なので作業しています。
このような作業をすることなく、ケミカルでインジェクタークリーニングを定期的に行うようにしてください。
不動車を再生するという方は是非参考にしてください。
クリーニングをする方法を解説
インジェクターを車両から取り外します。
それぞれの車両によって取り外し方は違うので整備書などを参考にして取り外してください。
取り外したインジェクターの汚れを落とすためにしばらくキャブレタークリーナーなどのケミカルに浸け込みます。
容器にインジェクターを入れてキャブレタークリーナーを容器内に入れてしまいます。
キャブレタークリーナーにしっかりと浸かるだけの量が必要ですが、少なければ小さい容器で1本ずつ漬け込みましょう。
2~3日浸け込めばいいと思います。
私はガソリンに浸け込みました。
ガソリンは可燃性なので、使うことはおすすめしません。
使う場合は、必ず火の元に気を付けてください。
万が一火がつくと、少量でもかなり危険です。
ガソリンなど使わずにキャブレタークリーナーを使ってください。
インジェクター内部をクリーニングする
電池を3本~4本用意してください。
インジェクターの作動電圧は約5Vなので合わせて5V(ボルト)になればOKです。
充電式の電池だと1本が1.2V(ボルト)なので4本で4.8Vですし、アルカリ乾電池であれば1.5Vなので3本で4.5Vですね。
私は電池ホルダーに100均のライトのホルダーを使っています。
適当な配線を電池につなぎ、反対側をインジェクターの端子につなぎます。
電池側かインジェクター側は配線が固定できた方がやりやすいので、インジェクター側を端子で固定しています。
インジェクターの端子にプラスマイナスはありません。
実際はありますが、作動させるだけであれば、どちらがプラスでもマイナスでも作動します。
電気を流すとカチッと音がすると思います。
これでインジェクターのバルブが開きました。
電池を使っておおよそ5Vになれば問題ないですが、充電式電池や使っている電池の場合は電圧に注意してください。
インジェクターの作動による電圧降下で作動しない場合があります。
5Vあった電池でも電池が弱っていると画像のように2.5Vまで電圧降下してしまいます。
もしインジェクターが作動しない場合は、作動電圧のチェックをしてください。
キャブレタークリーナーでインジェクター内部を掃除する
電気を流してインジェクターのバルブが開く音(カチッ)がしたら、インジェクターのガソリンが入る側からキャブレタークリーナーを注入します。
わずかしか入りません。
パイプの中に少したまる程度です。
しばらくすると、内部に流れていくので何度か繰り返します。
少し根気のいる作業です。
もしエアーが使える環境であれば、エアーを使ってインジェクター内部に流してください。
クリーナーが内部に流れたら、電気のオンとオフを繰り返してインジェクターをカチカチと何度もオンとオフを繰り返して作動させてください。
内部のプランジャーが動くので、周りにある不純物が剥がれ落ちます。
その後、電気の配線をつなげた状態(インジェクターが開いた状態)でパーツクリーナーで内部のクリーナーごときれいにしましょう。
これを全部のインジェクターにやればクリーニングは完了です。
さらに保管するなら
「クリーニングはしたけどまだ乗ることはない」という方もいらっしゃると思います。
その場合はインジェクター内部にオイルを入れて保管しておけばいいですね。
浸透潤滑剤だと乾燥してしまうので潤滑オイルを使う方がいいと思います。
私はワコーズのラスペネを使いましたが、できればワコーズのメンテルブなどがいいと思います。
プランジャーの固着を防ぐことができます。
カチカチ作動音がしない場合
作動音はかなり小さい音なので聞き逃すことがあるかもしれないので集中して音を聞いてください。
作動してるのに気がつかないこともあるはずです。
作動した時の振動の方がわかりやすいと思います。
インジェクターの噴射口あたりを触ってた方がわかりやすいかもしれません。
プランジャーが固着している場合もあります。
その場合は、電気を流した状態でインジェクターに振動を与えてやります。
ドライバーのグリップなどで軽くコンコンと叩いてやれば動くはずです。
今回のインジェクターも固着していました。
少し振動を与えて動いています。
間違ってもノズルは叩かないでくださいね。
割れると使えなくなりますよ。
次の構造をよく理解してください。
インジェクターの構造
インジェクターの構造です。
非常に簡単な構造なのがわかると思います。
インジェクターの作動はソレノイドで動かしています。
簡単に言うと電磁石でプランジャーを引き付けてボール状のバルブを開きます。
電気が流れていないときはスプリングでボール状のバルブが燃料が流れるのを防いでいます。
カチカチというのはソレノイドによってプランジャーが引き寄せられる音です。
インジェクターはエンジンコントロールユニット(ECU)によって、作動回数をコントロールしています。
ポンプからの燃圧という部分も関係しますが、大量に燃料が必要な時は開きっぱなしにしたり、アイドリングなどの少量の燃料でいい場合は開閉回数でコントロールします。
アイドリング状態ならばインジェクターの音を聞くことができますよ。
インジェクター不良とは?
インジェクターが壊れるということは私の経験ではありません。
私の経験がすべてではないですが、使用中の車でインジェクターが壊れたということはないです。
ただ、不純物などで噴射具合が悪くなるものはあります。
多くは燃費が落ちることになりますが、インジェクターのバルブがしまりきらないことが原因だったりします。
噴射具合が悪くなることもあるでしょうが、その症状はまずわからないはずです。
インジェクターのボールバルブの密着不良で、燃料が入らなくていい時に燃料が漏れてしまいます。
たとえて言うと、水道のパッキンがダメになった状態を想像してもらえるとわかりやすいですね。
蛇口を締めても水が漏れるので水道料金が高くなる(燃費が悪くなる)です。
ボールバルブにカーボンやスラッジが付着して密着不良をおこします。
また、長期使用でボールバルブの摩耗も考えられます。
摩耗はどうしようもないですが、カーボンなどの不純物をためないためにはケミカルメンテナンスが必要です。
まとめ
はじめにも書きましたが、インジェクターは取り外してのメンテナンスは不要です。
インジェクタークリーニングを専用の機械を使ってやっていただける業者もありますが、定期的にケミカルでメンテナンスしていれば必要ありません。
噴射具合とか、視覚的にアプローチしているものも見ますが、普通に使う車両でインジェクター不良というケースは今までありません。
きれいになっていることは必要なのでぜひケミカルで定期的なメンテナンスをしてください。
多くのメーカーがインジェクタークリーナー用のケミカルを発売しています。
もっとも有名なものがワコーズのフューエルワンですが、他社のものでも十分だと思います。
今回は不動車のエンジンをかけるためには必要な作業なのでやっています。
燃費にも大きくかかわる部分なのでぜひケミカルメンテナンスを定期的にやっていただくことをおすすめします。
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