長期保管した車やバイクのエンジンをかける時ってドキドキしますよね。
![](https://kizna.xyz/wp-content/uploads/2019/11/car_oil_koukan_seibishi.png)
エンジンに傷がつかないだろうか?
エンジンオイルが渇いてしまったところで始動することを【ドライスタート】と言います。
エンジンにとっては良くないことなので、本来はやってほしくない始動方法です。
分解して組み直し、各部にオイルをつけてから始動するのがいちばんいいのですが、そういうわけにもいかないですね。
そこで、できる限りエンジンの負担を少なくし、各部をできるだけ保護しながらエンジンを始動していくやり方です。
これがいちばんいい方法だとは思いませんが、これをやらないとセルを回すことは怖くてできません。
長期保管をしているエンジンの始動の参考にしてください。
今回の車は・・・私のロードスター。
このロードスターは長期保管をしているので、長くエンジンをかけていません。
ときどきかけるようにはしていたのですが、多分10年くらいはかけてないはず。
長くエンジンをかけていないのでオイルは間違いなく下がって、潤滑が必要な箇所はオイル切れをしています。
そこで、注意をしなければならないのは【ドライスタート】です。
エンジン内の部品はオイルが切れている状態なので、そのままエンジンをかけるとメタルやシリンダーに傷をつけてしまいます。
とりあえず、できる限りオイルをエンジン全体に回してからかけるようにしましょう。
ドライスタートとは?
オイルが切れたエンジンを始動することを【ドライスタート】と言います。
エンジン内部のオイルが【ドライ】になっている状態で【スタート】することですね。
ドライスタートは、エンジンオイルが必要な部分に無い状態でエンジンをかけることで、潤滑が必要な部分が潤滑不良によって傷がついてしまいます。
シリンダーブロックはピストンの摺動でキズがついてしまいますし、クランクシャフトやコンロッドのメタルにもキズがつきます。
カムシャフトの回転部も同じですね。
始動したエンジンからはすぐにオイルポンプによって、各部にオイルをいきわたらせますが、油圧がかかるまでに数秒かかり、さらにオイルがいきわたるまでにさらに数秒かかります。
始動直後のエンジンは2.000回転くらいの回転で回っているので、数秒と言えどもキズが入ってしまいます。
まずは、ドライスタートでキズが入る部分にオイルを回してあげることから始めましょう。
エンジンオイル交換してオイルを新しくする
![オイルエレメントも交換](https://kizna.xyz/wp-content/uploads/2023/06/DSCN6639.jpg)
まずはオイルを交換します。
もちろんエレメントも交換します。
私のロードスターの場合、オイルエレメントの中にもオイルは入っていませんでした。
長くエンジンをかけていないので、エレメントのオイルまで下がってしまいます。
新しいエレメントをつける時は、エレメントの中にオイルを少し入れて取り付けます。
こうするとエレメントからオイルラインへ早くオイルが流れるはず。
オイルを入れるのはフィラーキャップから入れません。
タペットカバーを外して、カム全体にかけてオイルで濡らします。
カムまわりについたオイルは、カムの回転部分に浸透していくのでカムまわりのドライスタートは防ぐことができます。
シリンダー内にオイルを入れて保護する
![乾ききったカムシャフト](https://kizna.xyz/wp-content/uploads/2023/06/DSCN6641.jpg)
シリンダーにオイルをつけて、ピストンとシリンダーをドライスタートから守ります。
プラグを外してプラグホールからエンジンオイルをいれます。
プラグホールに直接オイルを入れることができればいいのですが、奥まっているプラグホールにピンポイントでオイルを入れるのは至難の技です。
そこで、長いドライバーをプラグホールからシリンダーの中に入れて、ドライバーにエンジンオイルをたらして入れていくとうまくいきます
ドライバーをつたってピストンの真上にオイルがたまるので、クランクを回すとシリンダーにオイルがつくはずです。
ドライバーを使えば、こぼすことなく入れることができますよ。
オイルを回す
カムにオイルをかけながら規定量まで入れたら、クランクシャフトにラチェットをかけて回します。
プラグは外したままじゃないと重くて回せませんよ。
クランクを無心になって、とにかく必死になってまわします。
セルモーターで回すよりは、手で回した方が傷はつけにくいです。
私は2時間くらい回しました。
手で回すぐらいでは油圧はかからないですが、オイルラインにオイルが通ればいいですからね。
セルモーターを使ってオイルを回す
ここまでやってもまだエンジンはかけません。
最期にカムやラッシュアジャスターなど、オイルが回っていない箇所にオイルを回さなければなりません。
タペットカバーを取り付けて、プラグは外したままにします。
コイルへの負担がかからないように、プラグコードにプラグを刺してエンジンにアースさせておきます。
セルを回すついでに、プラグの火花の点検もしてしまいましょう。
プラグが外れていると、セルモーターでそこそこの回転数で回すことができます。
数十秒を3セットくらいやれば、ほとんどの箇所にオイルは回ります。
連続で長時間回すとセルモーターが焼けて壊れるので、休みながらやってください。
エンジンをかける
ここまでやればエンジンをかけることができます。
プラグを取り付けてエンジンをかけてください。
油圧の警告灯が消えるのも確認しましょう。
最近の車のエンジンは、バルブクリアランスは自動で調整します。
それをやっているのがラッシュアジャスターです。
エンジンをかけると「カチャカチャ」と激しい打撃音がすると思います。
カチャカチャ言っている間は空ぶかしなどしないようにしてください。
アイドリングでしばらくすると消えるはずです。
もし、消えない場合はラッシュアジャスターを修理する必要があるかもしれません。
組付けペーストでしばらく保護
![ワコーズ 組付けペーストで保護](https://kizna.xyz/wp-content/uploads/2023/06/DSCN6645.jpg)
エンジンオイルを交換するときに、カムには「組み付けペースト」を塗っておきました。
エンジンをかけるまでに、他にもやらなければならないことがあるので、しばらく回せないからです。
組付けペーストは、エンジンを組む時に使うものですが、ドライスタートを防いでくれます。
エンジンオイルのようにタレないので、いつまでも部品に残って長期保管する場合は非常に有効なケミカルです。
エンジンを組むときは、メタルやピストンに塗っておけば、オーバーホールしたエンジンでも長期保管することができるのでオーバーホールする方にはおすすめします。
組付けペーストはエンジンオイルに溶けるので、エンジンをかけてしまえば残ることはありません。
オーバーホールしたエンジンの【ドライスタート】を防ぐこともできるのでオイルより組付けペーストをオーバーホールにはおすすめします。
使用オイル
今回の使用オイルは「ワコーズ アンチエイジングオイル」を使いました。
アンチエイジングオイルはフラッシングとオイル漏れ防止の添加剤が入っているので古い車にはとてもいいオイルです。
低走行車でオイル交換はこまめにやっている車なので、スラッジはついてませんが古いエンジンなのでシール類の劣化はさけられません。
画像を見るとヘッド内が茶色くなっていますが、スラッジというよりもオイルが渇いて着色しているだけなので、洗浄効果の高いオイルを入れてあげるとすぐにきれいになります。
ちなみにウエスで拭くと、すぐに汚れは落ちます。
洗浄力が普通のオイルより効果のある【アンチエイジング オイル】が最適です。
オイル漏れ防止剤やフラッシング剤などを別に入れる必要もないので手軽で便利なオイルです。
添加剤を入れるのと比べると効果は少し弱いですが、使い続けることで効果はあります。
つまり、オイル交換のサイクルで効果が出るオイルなので、即効性はまったくありません。
ほんとうにオイル漏れをするようであれば、オイル漏れ添加剤を入れた方がいいですし、すぐにエンジンフラッシングでキレイにしたいのであればフラッシングオイルを入れましょう。
アンチエイジングオイルは遅効性で、かつ予防効果を狙ったオイルです。
もし、オイルシールなどからオイル漏れしているのであれば、ワコーズの【パワーシールド】がおすすめです。
オイル下がりにも効果があるので、エンジンの始動後に白煙が出るような車はバルブステムシールが硬化しているかもしれません。
パワーシールドはオイルシールのゴムの弾力を復活させるのでシール関係からのオイル漏れを止めることができます。
ドライスタートのまとめ
長期保管している車で気になるのはドライスタートです。
いつも乗っている車であればドライスタートは関係ありません。
半年くらいならぜんぜん大丈夫でしょう。
私のように保管している車や、エンジン単体で保管している場合は気をつけたほうがよさそうです。
- プラグホールからオイルを入れる
- セルモーターではなく手でクランクを回す
- プラグをつけずにエンジンを空回しをして油圧を上げる
ぜひ参考になさってください。
![](http://image.moshimo.com/af-img/4048/000000060528.png)
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