フィアット500の車検整備でフロントディスクパッドを交換しました。
外車の整備は手におえない
構造が国産と違うんだよね?
なんて不安や疑問があると思いますが、フィアット500は外車のなかでもかなりメンテナンスしやすい車なので、国産のディスクパッドを交換したことがある方であれば作業でつまづくことはないはずです。
国産と構造は同じですが、使用する工具がちょっと違うので、これからパッド交換をしてみたいと思われている方は参考にしてください。
ブレーキ整備は、ミスをすると重大な事故につながります。
自信のない方は、絶対にやらないでください。
キャリパーの取り外しには7㎜の六角レンチが必要
フィアット500のブレーキキャリパーを取り外すためには7㎜の六角レンチが必要です。
一般的に使われている5㎜・6㎜・8㎜の六角レンチは、ホームセンターでも簡単に購入することができますが、7㎜は手に入りにくいです。
BMWなどもキャリパーの固定ボルトは7㎜を使っているものもあるので、外車に乗られている方は持っておいた方がいいです。
キャリパーの固定ボルトを外す
ブレーキパッドを交換するためには、キャリパーを取り外さなければなりません。
キャリパーは、上下2本のボルトで固定してあります。
国産の場合、パッド交換だけであれば上下どちらかのボルトを外せばいいのですが、フィアット500の場合は2本とも外さないとパッド交換はできません。
ブレーキパッドには、残量センサーがついているのでコネクタ側で取り外しておいてください。
キャリパーの固定ボルトを7㎜の六角レンチでゆるめます。
このボルトはスライドピンも兼ねているので、緩めてもゴムブッシュに引っかかって抜けにくいかもしれません。
キャリパーを外すと、内側のブレーキパッドはキャリパーピストンにくっついてきます。
ブレーキパッドを取り外す
キャリパーを外したら、ブレーキパッドを取り外します。
内側のブレーキパッドがキャリパーにくっついているのは、ピストンにはめ込んであるせいです。
手で引っ張れば外れますが、固い場合はドライバーなどで起こすようにして外してください。
内側のブレーキパッドには、残量センサーがついているので、キャリパーの穴から抜いてくださいね。
残量センサーについては記事の後半で解説します。
キャリパーピストンを戻す 専用ツールなら簡単
ディスクブレーキの特徴として、ディスクローターとパッドとのクリアランスが自動調整ということが言えます。
ディスクパッドが摩耗しても、同じクリアランスを保っているので、ブレーキペダルを踏んた時のフィーリングはいつも同じです。
ブレーキの踏みしろがパッドの摩耗具合で変わってしまえば、摩耗すると床まで踏み込んでも車が止まらなくなってしまいます。
昔のドラムブレーキは調整式だったので、摩耗すると踏みしろが変わってしまうのでしょっちゅう調整が必要でした。
自動調整をしているのが、キャリパーピストンです。
ブレーキを踏むとピストンが油圧で押し出され、ペダルを離すとわずかにピストンが戻ってクリアランスを一定にします。
ディスクパッドが摩耗すると、摩耗した量だけピストンが出ていきます。
パッドがも摩耗するとピストンが出てしまうので、パッドを交換するときはピストンを押し戻してやらなければなりません。
パッド交換でいちばん苦労するのがピストンを押しもどす作業ですが、専用工具を使うとすごく簡単にできます。
コツとか力とかまったく必要ないので、女性でも簡単にピストンを戻すことができます。
ピストンを押し戻すのは、ウォーターポンププライヤーなどでもできますが、慣れないとシールやピストンを傷つけるので専用工具を使ってまっすぐ押し戻してください。
専用工具が無いころはいろいろな方法を使ってピストンを押し戻していましたが、ピストンの押し戻しツールを初めて使ったとき「なんだこれ?こんなに簡単にピストンが戻せるの?」って思いました。
キャリパーピストンやシールに負担をかけずに作業ができるので、専用ツールを使えばディスクパッド交換は非常に簡単な作業になります。
キャリパーピストンを押し戻したらパッドの組み付け
フィアット500のディスクパッドの内側はピストンにはめ込むタイプになっています。
パッドをピストンに押し付けてはめてください。
外側はキャリパーサポートに差し込みます。
ブレーキの異音防止のためにワコーズのスレッドコンパウンドなどをパッドとキャリパーの接触部分に塗っておきましょう。
スレッドコンパウンドはネジのかじりつきを防止するケミカルですが、ブレーキなどの異音対策でも効果があります。
車を整備するうえで絶対に欠かせないケミカルです。
【超重要】スライドピンの掃除とグリスアップ
ディスクパッドを組付けたらキャリパーを車に取り付けましょう。
ローターに差し込んで、スライドピンを取り付けます。
スライドピンは重要な部品です。
きれいに掃除してグリスをたっぷり塗って組付けます。
ディスクパッドが摩耗すると、内側のパッドの位置はピストンが出ることで調整していますが、外側のパッドの位置はスライドピンによってキャリパー自体の位置を変えてクリアランスを確保しています。
対向ピストンの場合は、キャリパーは固定されているのでスライドピンはありませんが、ピストンが片側にあるキャリパーには必ずスライドピンがあるのでグリスをタップリと塗って組付けてください。
ブレーキは高温になる場所なので、高温まで対応している【ワコーズ シリコングリス】がおすすめです。
ブレーキなどは特に適正なグリスを使わないと、スライドピンのグリス切れによって片効きを起こし、片側のディスクパッドが異常に摩耗するといった症状をおこすことがあります。
ワコーズのシリコングリスは対応温度域が広く(-40~280度)、いろいろな場所で使えるのでおすすめです。
キャリパーを確実に取り付ける
整備をするうえでいちばん大切なことは、確実に組み付けることです。
分解は意外と誰でもできます。
整備において最も大切なことは、確実に組み付けることです。
ブレーキパッド交換は、ディスクパッドを確実に組み付け、キャリパーをきちんと取り付けることさえできれば簡単な作業です
キャリパーを取り付けるということは、スライドピンを正しく取り付けることです。
スライドピンに7㎜の六角ソケットをつけて、ラチェットは使わず手で入れていきます。
シリコングリスがついているので、手で直接回そうとすると滑って回しにくいのでソケットを使います。
ラチェットレンチを使うのは最後に締める時です。
はじめからラチェットレンチで入れると、ナナメに入れてしまうことがあるので気をつけてください。
【超重要】必ずブレーキを踏んでから車を動かす
ディスクパッドをつける前に、ピストンを押し戻して組み付けました。
そのままで車を動かしてしまうと、ブレーキペダルが床まで踏み抜けてしまいます。
メチャクチャ危ないので、必ずブレーキペダルを何回も踏んでキャリパーピストンを押し出してください。
何度か踏むと、ペダルに踏みごたえが出てきます。
ブレーキパッド交換の後は、必ずこの作業をやってから車を動かします。
この作業をやらずに動かしてしまうと、車が止まらないので絶対に忘れてはいけません。
ディスクパッドの残量センサーとは
ディスクパッドの摩耗は残量センサーによって警告灯が点灯してドライバーに交換時期を知らせます。
非常に簡単な構造で、パッドに埋め込まれたセンサーが摩耗により露出してディスクローターに接触すると警告灯が点灯します。
外車の摩耗センサーは警告灯を点灯させるものが多いですが、国産の残量センサーは警告灯式ではありません。
国産は、ディスクパッドに金属の小さな板がついていて、その金属がローターと接触して「キィ~~~ィ」という高い金属音がするようになっています。
耳のいい若い人には聞こえるのですが、高齢になると高音が聞き取りにくくなるので、気がつかない方も結構いらっしゃいます。
やはりコストがかかっても、警告灯で知らせてくれた方がわかりやすいですね。
もっとも日本には車検制度があるので、車検ごとにブレーキを点検して次の車検までパッドがもたないようであれば早めに交換してしまいます。
外国では車検のような制度がない、または緩い場合があるために警告灯を点灯させることにしているのかもしれませんね。
フィアット500のディスクパッド交換 まとめ
フィアット500のディスクパッド交換は、国産では使われていない規格の7㎜の六角が必要です。
国産では使われていないサイズの工具なので、誰かに借りようとしても持ってないかもしれません。
5㎜や6㎜の六角レンチならホームセンターでも簡単に手に入れることができますが、7㎜は置いてないのであらかじめ用意しておきましょう。
ピストンを戻すためには専用工具を使えば簡単にできます。
ピストンツールはほとんどのディスクブレーキ車で使うことができるので、安いものでいいので工具箱に用意しておくとブレーキパッド交換がすごく楽に作業できます。
最後に、ブレーキ整備のミスは重大な事故につながります。
自信がない方は、経験者に見てもらいながら作業するといいと思います。
難しい作業ではないですが、事故につながる作業でもあるので十分に注意して確実な作業をしてください。
コメント