自転車のカーボンフレームってどのくらいの耐用年数なんでしょう。
【〇年の耐久性がある】という情報がみつけられないので独自の視点から考えてみました。
カーボンフレーム全盛の今では多くの人が気になるところなんじゃないかと思います。
カーボンフレームの耐久性は5年くらい・・・か
そんなことを考えていたらミドリ安全のHPで工業用安全ヘルメットの耐用年数が5年ということを知りました。
どうやら、工業用安全ヘルメットにそのヒントがある気がします。
カーボンフレームは3~5年での交換が望ましいんじゃないかと思うわけです。
これはミドリ安全の保護ヘルメットの耐用年数です。
FRP製は『異常が認められなくても5年以内』となってますね。
FRPとカーボンの違い
FRPはガラス繊維をプラスチック樹脂で固めたものです。
レジャーボートとか湖とかで観光用の手漕ぎボートなどはこのFRPで出来ています。
一方のカーボンは炭素繊維をプラスチック樹脂で固めたものです。
最近では自転車もカーボンですが、昔は釣り竿やテニスのラケットでカーボンが使われてましたね。
当時はものすごく高価でFRP製品を使う人の中でカーボンを使ってる人がいるとあこがれの目で見てました。
今のカーボン製品は熱硬化樹脂の製品がほとんどだと思います。
熱硬化樹脂とは、繊維に染み込ませた樹脂に熱をかけて固めるというもので、自転車のカーボンフレームやカーボンリムなども型で整形されたものを窯の中に入れて高温で焼き上げるので熱硬化樹脂です。
劣化するのは繊維ではなくプラスチック樹脂
カーボン繊維は炭素なので劣化はしません。
しないというより劣化したカーボン繊維を見たことがありません。
ガラス繊維はガラスなのでこれも劣化はしません。
ガラス繊維でできた製品が崩れるのは何度も見てきましたが、ガラス繊維は劣化してませんでした。
それはを証明するように、半世紀前のガラスは劣化してないし、30年経過した鉛筆の芯がボロボロと崩れて書けないということはありませんね。
繊維自体は耐久性があるのですが、それを固めてる樹脂はプラスチックなので劣化します。
子供の頃に作って大切に保管してたプラモデルが触った瞬間に崩壊した経験はないでしょうか?
窓際においておいたプラスチックがボロボロになった経験はありませんか?
洗濯ばさみが崩壊した経験もありますよね。
紫外線でプラスチック樹脂は劣化する
プラスチックが劣化するということで対策しないメーカーはないので、製造開発するメーカーはUV耐性のある樹脂を使ってます。
大丈夫だと思いますか?
大丈夫じゃないと思いますよ。
まず紫外線で劣化すると思います。
自動車パーツでカーボンボンネットがありますよね。
ボンネットは常に紫外線や雨にさらされる部分です。
エンジンの熱にもさらされるので、意外と過酷な環境下で使われています。
自動車用のカーボンボンネットもUV耐性の樹脂を使ってるものがほとんどですが、自動車の場合外においてあるので紫外線を長時間浴びてます。
カーボンの織り目がカッコいいので未塗装で使いますよね。
しかし、未塗装のカーボンボンネットはUV耐性があっても時間経過とともに変色していきます。
黄色くくすんだボンネットや白く濁ったボンネットを見たことがある方もいるのではないでしょうか?
自転車の場合、外で紫外線にあたってる時間は短く、しかも塗装してあるのでカーボンに直接紫外線はあたってません。
なので自動車のボンネットよりは耐久性があると思います。
でもそれで耐久性が何十年もあるとは言えないですよね。
レジャーボートが崩壊するのを体験してます(笑)
今では廃棄物に関して法律が厳しくなって、こういうものはないと思いますが過去には港にレジャーボートの廃船は放置されてた時がありました。
当時は釣りが好きだったのでよく海に行ったんですが、古いレジャーボートが雨風や紫外線にさらされて崩壊するのを体験しています。
FRP製品で出来たそのボートを触るとボロボロと崩れ落ちました。
指とかで簡単に穴が開くレベルの劣化具合です。
白アリにやっつけられた木材と例えたらわかりやすいかもしれません。
自転車をそこまで放置するということはないので、比較にはなりませんし樹脂がそもそも現在のものとは違うので『カーボンフレームがボロボロになる』とは言えませんが劣化はします。
カーボンフレームは大きな荷重と衝撃を受け続けている。
自動車パーツのFRPやCFRP(カーボン)製品は、その殆どが内装パーツであったり外装パーツです。
つまり、走行中の振動などの衝撃は受けますが大きな力はかかっていません。
いちばん重要なのは、そのパーツが壊れても走行に支障がないものがほとんどです。(よくあるボンネットロックが剥がれるのは論外)
ボンネットが走行中に開いてしまうと視界を遮るので危険ですが、固定するピンを増設しないとイケない部品なので今までの経験上走行中に壊れて開くことはありません。
しかし、フェンダーなどの取り付け部分やバンパーの取り付け部分には細かいクラックが入ってるものが多く衝撃に弱いことがわかります。
自転車フレームはパイプ状の構造なので、自動車部品とは強度において比較はできませんが製品の過酷さで言えば自転車フレームのほうが負担は大きいかもしれません。
FRPやCFRPは衝撃に弱いんです。
製品への衝撃とかダメージが外から見えないのが最も不安にさせる部分なのです。
外から衝撃を受けた繊維プラスチックは、内側で剥離を起こしたりします。
自転車フレームはパイプ状なので、外からは見えないですよね。
そういうことから、カーボン修理をする業者『カーボンドライジャパン』などはX線などを使って検査してると思います。
外側にダメージが無くても内部に大きなダメージができるのが繊維プラスチック(カーボン製品)なのです。
ちなみにカーボンステムですが、道路の段差に前輪を落とした衝撃で割ったことがありますから衝撃にはめっぽう弱いです。(体験談)
カーボンステムは心して使ってください。(私は二度と使いません)
カーボンフレームのヘタリについて
カーボンフレームは金属製フレームよりはヘタリにくい気がします。
いちばんヘタリやすいのは『鉄』のような気がします。(気がするだけ)
丈夫なのも鉄なんですけどね。
『気がする』というのは、そもそもヘタリってものが主観であることが大きいからですね。
『ヘタって走らなくなった』ってなかなか感じ取れないんじゃないでしょうか?
新車のレベルが100だったとして、いきなり50にはならないので感じることが難しい部分です。
レベル100が使うことによって99.99になり99.98…80…85…70.5…と少しずつヘタるからです。
同じフレームを二本買って、何年か乗り倒した後でもう一本のフレームを下ろして乗り比べればはっきり体感できるでしょうがなかなかそういうことをする人はいません。
かといって何年か後に同じフレームを買いなおそうということも無いでしょうし、同じフレームの新車在庫を探すのも一苦労です。
大体違うメーカーか同一メーカーの新型を買いますよね。
なのでヘタってても気がつかないと思います。
衝撃吸収性がいいから衝撃に強いわけではない
カーボンは衝撃に弱いと書きました。
しかし乗ってると、アルミフレームに比べて衝撃が小さいですね。
路面からの衝撃を吸収して乗り心地が良くなる。
間違ってませんが、その意味は振動(衝撃)の周波数を減衰する素材なので衝撃吸収がいい素材と言われてます。
アルミフレームは振動の減衰特性が少ないので体に伝わる振動が多く乗り心地が悪く感じます。
こういう例だとわかりやすいと思います。
同じ長さの木の棒と金属棒を想像してください。
木は繊維なのでカーボンと想定します。
お互いの端を持って反対側に衝撃を与えます。
どう伝わるかは想像できますよね。
木の方は衝撃を吸収し減衰したものが伝わってきます。
金属の衝撃は多少は和らぐでしょうが減衰力が小さいので衝撃は木よりも大きいでしょう。
想像できましたか?
耐用年数の結論
ミドリ安全の保護ヘルメットの耐用年数が一つの参考値になると思います。
これは何も衝撃を受けてない状態のFRP製品の耐用年数です。
衝撃を一度でも受けたら交換するというのはFRP製品では常識なので、使わずに保管してる状態でも5年で交換することを勧めてます。
つまり、保管中にも劣化すると考えられていると言えます。
自転車のカーボンフレームは、乗ってる限り衝撃と荷重を受け続けてます。
繊維を樹脂で固めてるという意味での同じような素材をもった製品同士なので大きな差はないと思います。
しかも自転車は上下左右あらゆる方向に力がかかってます。
頭に乗せてるだけのヘルメットより条件は過酷です。
構造が帽体とパイプフレームではまるで違うのですが、素材としては静的耐用年数のヘルメットと同じくらいの5年が交換時期なのではないかと思います。
あとがき
こういうことも言われています(笑)
- カーボン3年
- アルミ5年
- チタン10年
- 鉄 一生
読んでいただきありがとうございました。
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