寒くなってきて自転車のポジションも少し変わってきてるんじゃないでしょうか?
ロードバイクの状態を確認するためにも年に数回はシートポストを抜いてください。
固着の防止になります。
定期的にメンテナンスしないと必ずシートポストは固着する
このシートポストは電蝕によって固着したものです。
取り外すまでの作業時間は1時間。
フレームが壊れるかと思うくらい苦労して外したものです。
こうならないためにも時々外してメンテナンスしてください。
シートポストを抜く
サドル高はそれぞれのデータがあると思いますのでそれを記録しておいてください。
わからなくなるとまたポジションを出さなくてはいけなくなります。
いちばん調子のいいポジションは記録または記憶しておくべき需要なデータです。
サドル高の基準点
漠然とサドル高と言ってもどこからどこまでを言うのかわからない方もいると思います。
大体はBBの中心からサドルトップまでの距離を言います。
今使われてるクランクが特殊でない限り左クランクの付け根が丸くなってると思います。
ここの中心がBBの中心になります。
その部分の真ん中(大体で構いません)にスケールをあててサドルTOPまでの距離を出します。
ちなみに、私の場合は680㎜です。
シートポストを抜く前に画像のようにテープで位置をマーキングしておくと取り付けるときに楽になります。
タイラップでもマーキングできますが、滑って動く可能性があるのでテープがいちばんいいです。
マジックでマークしてもいいですね。
黒いシートポストなら白いマジックを使えば目印には最適です。
マジックなどの方が、ポジションを変える時にBBからの測定ではなくシートポストの移動距離がすぐにわかるので楽ですね。
サドルトップは水平目線でスケールを読んでください。
上からとか下からとかの目線だと1㎝くらいの誤差が出るので目線には注意が必要です。
シートポストを抜く
シートポストを抜いちゃいましょう。
4㎜または5㎜のHEXレンチ(六角レンチ)だと思います。
シートポストを固定するボルトを緩めましょう。
これでシートポストは抜けるので引き抜いてください。
最近のカーボンフレームに採用されてる専用の異形シートポストは、シートチューブまたはトップチューブに固定用のボルトがあります。
掃除して滑り止めを塗って組み付ける
抜いたシートポストにはグリスまたは滑り止め剤が塗ってあるはずです。
きれいに掃除しちゃいましょう。
ついでにフレーム側も掃除してください。
その後、グリスまたは滑り止め剤を塗って組み付けます。
シートポストとシートチューブ内にグリスまたは滑り止めを塗ります。
うっすらで構いません。
シートポストをシートチューブに差し込んでご自身のBBからの距離に合わせます。
シートポストを固定すれば完成です。(カーボンシートポストの場合4~6Nm)
サドルがステムに対してまっすぐなってるか確認しましょう。
サドルの後ろから見る、真上からTOPチューブと合わせてみるなどすれば難しくありません。
カーボンフレームにカーボンシートポストはクランプの締め付けが少しシビアになるので慣れてない方はトルクレンチを使ってください。
トルクレンチは慣れてない方がメンテナンスするうえで必要な工具なのでぜひ用意されることをお勧めします。
滑り止めを使う理由
カーボン製品は強く締め付けると割れてしまいます。
シートポストが割れる分には交換できますが、フレームはそういうわけにはいかないです。
ですから、できるだけ締め付けトルクを小さくしたいわけです。
滑り止めは締め付けトルクを下げるのに効果的です。
ステムやシートポストにしか使うことはないと思いますが高いものではないので1本持っておくと便利です。
ちなみに、ナメかけたネジを緩めるのにも使えます(裏技なのでまた記事にしますね)
私が使ってるのは FINISH LINE のFIBER GRIP です。
これを使うのとつかわないのではシートポストの締め付けトルクが変わります。
画像の鉄フレームの場合は、締め付けトルクが確保できる素材なので滑り止めではなくグリスを使います。
主に錆びを防ぐ意味と水の侵入を防止する意味があります。
エアロフレームなどの異形ポスト
取付ボルトが分かれば緩めれば外れます。
注意するのはどういう構造で固定してるのかを外すときによく観察してください。
おそらく、ウスといわれるものでフレーム(シートチューブ)に押し付けてる構造だと思います。
中にはウスが落ちてしまうものもあります。
ゆっくりと観察しながら抜きましょう。
見たことのない構造かもしれませんが、固定する方法はシートポストに圧をかけてます。
締め付けるか押し付けるかのどちらかだと思います。
ネットにも情報はたくさんありますので事前にご自分の自転車の構造をググって見るのも方法のひとつですね。
購入した自転車屋さんで聞くなどもアリです。
固着の原因は電蝕 つまり素材の電位差
シートポストが固着する理由の多くは電蝕(でんしょく)です。
サビが原因だと思ってる方が多いと思いますが、原因は電蝕です。
広く言えばサビなんですけど、普通に濡れて錆びることとは違うから問題なんです。
電蝕とは【電位差】なので電気を通すものであれば電蝕によるサビが出ます。
金属のサビは塩害とか外部要因で起こるのが一般的ですが、電蝕は素材が原因なので防ぐことはできません。
電位差が大きく湿度が高いほど電蝕が起きやすいので、シートポストなどはまさに当てはまります。
異種金属の組み合わせで起こる電蝕はアルミフレームにアルミシートポストでは起こりにくく、鉄フレームにアルミシートポストの方が電蝕によって固着しやすいということです。
電位差を電気の通りやすさと考えると分かりやすいかと思います。
同じ素材なら電位差はないから電蝕しないの?
同じ長さで同じ材質、同じ太さで電気抵抗が同じなら電蝕はかなり起こりにくいだろうね。
もちろんカーボンも電蝕が起こります。
電気を通す素材なので電蝕が起こります。
TOP画像のようにカーボンシートポストが錆びたようになってますよね。
CFRP中の炭素繊維は、電気を通し、かつ電位が高い材料です。そのため、炭素繊維よりも電位が低い金属と接触した状態で 成型された部品は、雨や露で濡れるとガルバニック反応を起こし、電位の低い金属側に腐食(電蝕)が生じます。
JFE テクノリサーチ 様より引用
https://www.jfe-tec.co.jp/composite_material/electric-corrosion.html
ガルバニック反応についてはググってください。(要するに電蝕なんですけど)
とてもむつかしいので説明できません。
シートポストの固着防止には【定期的に外す】以外の方法はない
なぜシートポストを定期的に外す必要があるか。
エアロシートポストが固着すると外すことが非常に困難になります。
それは、ねじることができないからです。
シートポストやスレッドステムを外すときは、まずフレームを支えて固定し対象物をねじって固着を解きます。
これで動くようであれば簡単に外すことができますが、動かない場合はシートポストなど外すべき対象物をカットします。
当然切っちゃうのでダメになるために、ステムやシートポストは新品を用意することになります。
27.2㎜や31.6㎜のシートポストであれば簡単に入手できますが、異形のものは専用品だったりするので高額だったりメーカー手配になって手に入りにくいものもあります。
固着するとねじってきっかけが作れない場合、押し込むか上にたたき出すかしか固着を解く方法はありません。
このやり方は、ねじるよりも明らかに固着が解きにくいです。
固着の具合によっては切る選択のほうが多くなる可能性があります。
異形ポストの方は必ず定期的に固着してないかどうか確認することをお勧めします。
まとめ
固着したシートポストを外すスキルのある方は大丈夫でしょうが固着はいずれにしてもよくないことです。
金属での固着は意外と気にされる方は多いですが『カーボンって錆びないよね』って固着に無頓着な方は多いです。
カーボンシートポストも固着します。
半年に1度はシートポストを外してメンテナンスしてください。
何もしてないあなたのシートポストはすでに固着してるかもしれませんよ。
コメント