シマノのカップ&コーン式のハブのオーバーホール記事です。
この記事を読めば「シマノのハブを分解したことが無い」という方でも、オーバーホールができるはずです。
最もわかりづらい玉当たり調整の様子も動画で用意しています。
フロントとリヤハブを一つの記事にしようと思いましたが、文字数が5.000文字を超えて読みにくいと思ったのでフロント編とリヤ編に分けることにしました。
フロント編はこちら
【ロードバイクメンテナンス】シマノフロントハブの分解オーバーホール 【グリスアップ】
ハブの分解やメンテナンスでは、フロントハブのほうがやりやすいと思うので、初めて挑戦される方はフロント側から始めてみてください。
始めてやるならフロントハブからやってみよう。
リヤは、フリー側でシールが違っていたり、ベアリングの種類が違っています。
ギヤのあるリヤの方がよごれているので時間がかかるのもリヤハブです。
慣れていないうえに、洗浄などで時間がかかると慌てた作業になってミスをすることも考えられるのでまずはフロントから始めましょう。
リヤも基本的にはフロントと同じ作業ですが、違う部分もあるので同じ作業を繰り返すようですが、フロントの復習だとおもって読み進めていただければと思います。
記事を読んで、動画も参考にしていただければ必ずハブメンテナンスができるようになるはずです。
ハブを分解する フロントハブの復習
フロントハブと分解方法は全く同じです。
「もう理解した」という方は読み飛ばしてください。
ハブシャフトは必ず右側に抜きます。
これはどのハブも同じはずなので、ゆるめるエンドナットは左側ということになります。
ハブの左右は「ハブ胴」に書かれたメーカー名などが乗車状態で読める方向から見て右側と左側としています。
今回のシマノ アルテグラホイールのハブは左右のエンドナットに5㎜の六角レンチを使って作業します。
右側はゆるまないのでロックナットです。
力を入れるのは左のエンドナットなので、ゆるめやすい利き手を左エンドナット側にすると作業はしやすいはずです。
新品から初めて緩める時は少し固いですが、左のエンドナットは必ずゆるみます。
正ネジなので反時計方向に回してください。
フリー側は構造が違う 鋼球を無くす可能性があるので注意
リヤハブにはフリーがあるので、この部分が違います。
フリー側はリテーナー式ではないので、分解と同時に鋼球がバラバラと出てきます。
シャフトを抜いた瞬間にバラけるので注意してください。
かならずパレットの上で作業しましょう。
ゆっくりシャフトを抜けば大丈夫ですが、ときどきシャフトに鋼球がくっついてくることもあるので、目を離さないように抜いてください。
鋼球が何個入っているのかも確認する必要があります。
だいたい13個のはずですが、違う場合があるかもしれません。
左側はリテーナー式なので、リテーナーを分解して鋼球を無くさなければ大丈夫ですね。
ときどきハブの真ん中に落ちてグリスでくっついている場合もあります。
玉受けから落ちたものは行方を確認して回収しましょう。
鋼球だけだとコロコロと転がってしまうので、私は茶こしに入れておきます。
茶こしに入れた状態で洗浄もできるので便利ですよ。
100均で手に入ります(笑)
そのあとのダストシールなどの作業はフロントと同じです。
マイナスドライバーで起こせば簡単に外れます。
フリー側のダストシールの向きには特に注意してください。
フリーのダストシールの向きは間違えやすいポイントだよ!
フリーのダストシールは多くの方がその向きを間違えやすいポイントです。
ダストシールのリップ部分(シャフトと接触する部分)は外側に突き出ています。
ダストシールが外に出ていないと、砂や水が入りやすくなりますよね。
これを内側に向けて入れる方が多くいます。
間違いですよ。
シールリップは必ず外に出ているのが正解です。
向きを確認し忘れた時は、シールの洗浄時に判別できます。
外側には砂などがついていますし、内側(ベアリング側)は黒く汚れたグリスがついています。
洗浄にはフロント以上に時間をかける
リヤハブのフリー側は特に汚れやすい部分です。
カセットについたチェーンオイルだったり、チェーンで巻き上げた砂などが隙間に入り込んでいます。
砂とオイルが混ざって固まってシールなどに付着しているものがほとんどなので、部品を洗うためにかなり時間をかけます。
パーツクリーナ―だと使用量が増えるので、私は灯油を使う場合があります。
灯油は処理に困るので【ワコーズ パーツディグリーザー】を小さな容器に入れて浸け洗いがおすすめです。
メンテナンスのすべてに言えることですが「洗うこと」に最も時間をかけることになります。
組み上げてるときに、砂などが混入することがないようにしっかりと洗いましょう。
リヤの場合は左側から組み上げる
フロントは左右対称なのでどちらから作業しても構いません。
リヤは左側から作業しましょう。
今回のハブの場合、左側はリテーナー式なのでダストシールをつけてしまえばベアリングが脱落することはありません。
左側の組み方はフロントハブ編を参考にしてください。
フリー側はピンセットがないと作業が難しい・・・はず
フリー側は、玉受けにグリスを塗ってから先にダストシールを取り付けます。
鋼球を13個並べてからダストシールを取り付けてもいいのですが、ダストシールを取り付ける時に鋼球が落ちてしまうことがあります。
ダストシールを取り付けて鋼球を並べるほうが作業は早くできます。
ダストシールは、必ずリップ部分が外側に突き出します。
向きに注意して間違えないようにしてください。
ダストシールの取付位置は、フリーの内側にカセットのロックリング用のネジが切ってあります。
ネジ山の奥側とほぼ面一になる位置が正しい位置になります。
「どこまで入れるんだっけ?」と思ったら、シールを入れる前にフリー内部を観察してみてください。
ネジの少し奥まったところに段があるので、その位置まで入れるようになっています。
左側などはリテーナーの近くにシールがありますが、フリー側は意外とシールから内部には隙間があるのが普通です。
指で押し込むと斜めに入ることがあります。
19㎜のソケットを使って押し込むと真っすぐに入れることができます。
17㎜では小さすぎ、21㎜では大きすぎるので19㎜がベストですね。
ダストシールを取り付けたら、ピンセットで鋼球を玉受けに並べていきます。
玉受けにはグリスでくっついてくれるので、落ちにくいですが落とすこともあるのでよく観察しながら作業しましょう。
動画でも落としていますが、落とした場合はゴミなどが付着していないか確認します。
私は指先で異物を確認しています。
ピンセットはまっすぐなものではなく45度曲がったものの方が使いやすいです。
精密用の方が細かい作業ができると思われるかもしれませんが、細すぎるので普通の一般的なものの方がいいですよ。
100均で手に入ります。
鋼球専用のピンセットもHOZANから発売されています。
ホーザン(HOZAN) ピンセット(ツイーザー) リング型ピンセット ベアリングなどの球体や、宝石などの異形物の保持に P-878ベアリング専用なので、鋼球をきちんとつかめて落とすことがないのでできれば専用のピンセットをおすすめします。
ぜんぶの鋼球を並べたらシャフトを入れてグリスの量を確認します。
これ以降の作業はフロントと同じ、玉当たり調整をして仕上げれば完成です。
まとめ
シマノのフロントハブに続いてリヤハブのオーバーホールを解説しました。
分解からグリスアップまではどなたでもできる作業です。
今回のハブの場合は専用工具(ハブレンチ)が必要なものではなく、5㎜の六角レンチが2本あれば分解することができます。
多くの方が「できない」「やり方が分からない」と思われている【玉当たり調整】に関しては『感覚』の部分が大きいので、ほぼ経験値です。
経験値はやらないと身につかないものなのでまずはやってみましょう。
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