チェーンラインのズレによる駆動抵抗はかなり大きなパワーロスです。
多段変速のロードバイクでは、チェーンラインは動いてしまう部分なのでどうにかできるというものではありません。
とは言え、ベストに近いチェーンラインもあるので、できる限りそういう部分を使って走ることが必要です。
チェーンラインの重要性をあらためて実感したので解説します。
この記事を読んでカセットギヤのどの位置を使って走るのがベストなのかを考えていただくきっかけになればいいと思います。
ロードバイクのチェーンラインとは?
フロントギヤとリヤギヤをチェーンでつないで駆動するものには必ずチェーンラインというものがあります。
自転車だけではなくモーターサイクルでも、ラジコンなどの模型でも同じようにチェーンラインがあります。
チェーンラインとは、フロントギヤとリヤギヤを真後ろから見て、真っすぐなライン上にギヤが並んでいるのがベストとなります。
どちらかが左右にズレていると、お互いのギヤをつなぐチェーンが斜めにかかってしまいます。
斜めにかかったチェーンには駆動抵抗がかかるので動力の伝達ロスとなります。
また、斜めにかかってしまったチェーンは、横からの力に弱く外れてしまう可能性もあります。
モーターサイクルなど、高速で駆動するチェーンラインは外れないようにまっすぐなラインでチェーンをかけることが必要です。
ロードバイクは多段変速なのでチェーンラインは移動する
ロードバイクの場合はチェーンラインが一定の場所にはありません。
フロントチェーンリングは、アウターとインナーにわかれているので、チェーンラインは移動します。
リヤのカセットは11枚のギヤの上でチェーンが移動するので、チェーンラインも移動します。
基本のチェーンラインは、フロントチェーンリングのアウターギヤとインナーギヤの間を基準点として考えます。
多段式のロードバイクを組むうえでは、あまり気にすることはありません。
ですが、走行するうえではチェーンラインは重要なので、必ずチェーンがどういった状況でギヤにかかっているのか想像しながら走ることは乗るうえでのテクニックになります。
ギヤの使い方がうまい人は速いです。
チェーンがクロスするようなギヤを使わない
ロードバイクの場合、チェーンラインは必ずズレて走行することになります。
このズレを最小限にして走ることが必要です。
具体的に説明します。
フロントチェーンリングのチェーンラインは、リヤカセットの外側(TOP)になります。
インナーチェーンリングの場合は、リヤカセットの内側(LOW)になります。
わかりますよね。
チェーンラインが大きく狂った状態というのは、アウターギヤでリヤカセットのロー側を使うことです。
また、インナーギヤでリヤカセットのトップ側を使うことが悪いチェーンラインです。
アウターギヤでカセットのローギヤを使ってはいけません。
インナーギヤでカセットのトップギヤを使ってはいけません。
これがクロスしたチェーンラインなので、使ってはいけないギヤの組み合わせです。
クロスしたギヤを使ってはいけない理由
「クロスしたギヤは使わない」というのは、ほぼ常識なのでご存じの方も多いでしょう。
ではなぜ使ってはいけないのか説明できますか?
「チェーンが斜めに捻じれるからチェーンに悪い」では正確な答えにはなりません。
正しくは【駆動ロスが最大値になる】からです。
チェーンが斜めにクロスすると、駆動ロスは最大値になります。
これはカセットギヤ側でも駆動ロスしていますが、チェーンリング側で大きな損失となっています。
チェーンリングのギヤの側面をチェーンが常に擦ってしまう
クロスしたギヤを使うと、チェーンは斜めになります。
しかし、足で踏まれてテンションがかかっているチェーンはまっすぐになろうとします。
真っすぐなチェーンが折れ曲がる場所がチェーンリングです。
チェーンはギヤから離れる時よりも、ギヤに入っていくときにパワーロスとなります。
フロントチェーンリングにチェーンがかかる瞬間、ギヤの側面にチェーンのリンクが擦れます。
チェーンがチェーンリングに擦れながら噛み込んでいくので、機械的な駆動ロスが最大になるわけです。
この状態を避けることが、楽に速く走るギヤの使い方になります。
チェーンにもダメージを与えてしまう
チェーンのリンクがフロンtのチェーンリングで擦れて駆動ロスになるのが最大のデメリットとなります。
これはパワーロスでもそうですが、チェーンリングにもチェーンにも良くありません。
リンクで擦られたチェーンリングは摩耗します。
チェーンリングで擦られたチェーンリンクも摩耗します。
斜めに引っ張られながら回転するチェーンの、アウターリンクとインナーリンクのつなぎ目も常に斜めになって擦れあうので摩耗します。
これが新品チェーンと古くなったチェーンの反りの違いになります。
新品チェーンはあまり反ってないですが、古いチェーンの反りはかなり大きくなります。
リンク部分が擦れて摩耗するとチェーンが切れるきっかけとなることもあるので、クロスした状態で走行するのは良くありません。
走る時に使うべきギヤを解説
多段式カセットの使い方は単純です。
カセットを3つのパートに分けて考えましょう。
トップ側数枚をHigh。
真ん中の数枚をMid。
ロー側の数枚をLow。
Highの部分は決してインナーギヤでは使いません。
Lowの部分はアウターギヤでは使わない部分として考えましょう。
Mid部分はアウターでも、インナーでもどちらでも使える共用部分です。
上りに入って、アウターギヤだけを使って上ることは、パワーを誇示することにはなりますが駆動系統に負担をかけています。
同じようなギヤ比で、インナーに落とし19tあたりを使えばチェーンラインに負担をかけずに同じギヤ比で踏むことができます。
坂を上りきって、アウターギヤに入れずにインナーギヤでトップ側を使うこともよくありません。
上り終わってから、リヤのギヤをMid位置まで下げた段階でアウターギヤに入れることが、負担の少ない変速操作となります。
まとめ
チェーンラインを気にしながら変速操作をする方はかなり少ないです。
アウターギヤでリヤのギヤを使い切って、始めてインナーに落とすような操作をしがちです。
実は私もチェーンラインが気になっていても、アウターで踏む癖がありました。
その癖を直すために、ロー側のギヤはかならず1枚残すようにして変速しています。
また上りに入ったら、まずインナーにフロントを変速するようにしています。
ご自身の自転車のギヤをクロスさせて空転させてみてください。
ギヤ鳴りが大きくなるとともにクランクを回す力が必要になることを感じることができます。
チェーンラインがズレたピストに乗ることで、フロントチェーンリングによるパワーロスがかなり大きいことに気がついたので記事にさせて頂きました。
自転車のパーツを長持ちさせるのは、乗る技術でもあります。
各パーツに負担をかけないような乗り方ができればパーツ寿命も伸ばすことができます。
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