【カーボンコラム】割らない壊さないステムの締め付けの注意ポイント

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カーボンフォークコラムにステムを取り付け。『カーボンコラムが割れてしまうんじゃないか?』と不安に思いませんか?
そういった不安をお持ちの方にこの記事を書きました。

ポイントは【プレッシャーアンカー】です。

カーボンコラムとプレッシャーアンカーの位置関係についての記事です。
この記事ではプレッシャーアンカーの役割とそれに対してのステム位置をカーボンコラムの変形を例にとって記事にしています。
読んでいただければステム上部のスペーサー(最低でも5㎜)の必要性が理解できると思います。

ほとんどのロードバイクがカーボンフォークになりました。
コラム部分もカーボンでできていますよね。
エントリーモデルの一部はまだアルミコラムかもしれませんが、多くはカーボンコラムです。

カーボンコラムにステムを取り付ける場合、締め付けで割ってしまうことがあります。それを防ぐためにはカーボンコラムに取り付けてある【プレッシャーアンカー】を利用して締め付けます。

プレッシャーアンカーはステムの取り付けに重要な役割を持っています。
記事を読んでいただければ、プレッシャーアンカーがステムの取り付け(締め付け)にどのように影響があるのか。また、ステムを確実に取り付ける方法が理解できます。

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プレッシャーアンカーとステムの位置が重要

カーボンコラムでのステム位置を決める上で、コラムカットをしスペーサーを入れるわけですがコラム内に入っているプレッシャーアンカーとステムの位置を考えて取り付けていますか?
間違った取り付けをするとコラムにダメージを与えます。

余り過ぎたコラムや切りすぎたコラムは時間経過とともにダメージを与えてしまいますので改善するようにしてください。

この記事ではステムとプレッシャーアンカーの位置の大切さを実測数値とともに記事にしています。

ステムの取り付け位置には明確なルールがある

ステムの取り付け位置 = ポジションですね。
ハンドルの高さを決めるためにステムの位置を変えることによってハンドルを上下させます。

では、コラムに対してどういった注意点を持って取り付ければいいのでしょうか。

これには大切なルールがあって、それを守らないとコラムにダメージを与えでしまうことがあります。

なぜそうなるのか?
本当にそうなのか?
ということを実測した数値からご紹介します。

プレッシャーアンカー(フォークエキスパンダー)

プレッシャーアンカーとは、カーボンフォークのコラム内に取り付けてあるパーツです。

フォークエキスパンダーという名称で販売してるメーカーもありますが、ここではプレッシャーアンカーとさせていただきます。

まずはプレッシャーアンカーの役割を説明させていただきます。
プレッシャーアンカーには2つの役割があります。

1つ目はヘッドパーツにプリロード(圧)をかけてフォークのガタを無くすパーツです。

フロントフォークはフレームのヘッド部分に差し込んであります。
この状態で組んだ場合、前後左右にガタが出ます。

乗車状態でハンドルに少しでも荷重されると、フォークは路面に押さえつけられるのでヘッドベアリングの上側にクリアランス(ガタ)ができてしまいます。

これを解消するのがプレッシャーアンカーの役割です。
ステムを押さえることによって上下のヘッドベアリングに圧をかけるわけです。
上下のベアリングに適正な圧をかけて、フォークとヘッドチューブのガタを無くします。

圧をかけるためには条件があります。
ステムよりフォークコラムは必ず短い状態である必要があります。そのために、コラムスペーサーを使って締め付ける(圧をかける)だけのクリアランスを確保します。

ヘッドベアリングキャップから上の全長 < ステムの高さとコラムスペーサーの厚さ

コラム上部のトップキャップを締め付けることによって、ステムとコラムスペーサーをヘッドベアリングに押し付けます。そのためにステム上部やステム下部にコラムスペーサーを入れてステム側全体の長さを調整します。

プレッシャーアンカーの2つ目の役割は補強です。
補強することによって、ステムの締め付けに対してコラムを保護することになります。それにはステムとプレッシャーアンカーの位置が大切になります。

フォークコラムにステムを取り付けてみた

カットして不要になったフォークコラムにステムを取り付けてみました。

ステムのコラム取り付け最大締め付けトルクは 5Nm なので条件付けとしてすべての締め付けトルクは少し弱めの4Nmとしています。このくらいの締め付けトルクで十分締まっています。

フォークコラムの内径は28.6㎜の真円が実測値です。
この数値の変化がフォークコラムの変形ということです。
プレッシャーアンカーがあると変形量がわからないので、プレッシャーアンカーのない状態でステムを取り付けて実測します。

ステムより5㎜コラムが短い場合

ステムがコラムより上にある
ステムがコラムより上にある

画像の状態で自転車に取り付けた場合は、ステムの上部にはトップキャップのみでスペーサーは無い状態です。
この状態ではプレッシャーアンカーがステムの位置に無いということは考えられませんが、あるメーカーのプレッシャーアンカーを使った場合『ほぼ無い』状態になることがあります。

全長の短いプレッシャーアンカー
全長の短いプレッシャーアンカー

この長さのプレッシャーアンカーは取り付けも、ステムの位置も注意が必要です。
できれば、コラム上部からの長めのプレッシャーアンカーに交換しましょう。
このタイプはステムの締め付けに対してたよりないです。

水平方向を測定
水平方向を測定
  • ステム垂直方向(前後) 実測値 28㎜ (-0.6㎜)
  • ステム水平方向(左右) 実測値 28.55㎜ (-0.05㎜)
垂直方向を測定
垂直方向を測定

ステムより5㎜コラムが長い場合

自転車に取り付けた場合、この取り付け方はステムの締め付け部分の全体がコラム内にプレッシャーアンカーがある場合です。

  • ステム垂直方向(前後) 実測値 29㎜ (+0.4㎜)
  • ステム水平方向(左右) 実測値 28.2㎜ (-0.4㎜)

ステムより5㎜コラムが長いほうがコラム自体の変形量が多いことがわかりました。
ということは、ステムよりコラムが短いほうがいいのでしょうか?
数値を見て「あれ?」と思った方はいますか?

変形量が、それぞれ同じ数値の0.4㎜です。つまり、均等に変形しています。
ステムで横に0.4㎜締め付けられたコラムは、縦に0.4㎜広がっています。締め付けられて変形したコラムが同じ数値だけ反対方向への変形で力を逃がしています。

適正な長さの場合ステムのコラム全体で締め付けることができる
適正な長さの場合ステムのコラム全体で締め付けることができる

今回は5㎜長くコラムを残して実測していますが、実際に組む場合はコラム長はステムより約2㎜くらい長い状態になります。
プレッシャーアンカーの上面の厚みと、ヘッドベアリングにプリロードをかけるだけのクリアランスが欲しいためです。
トータルで3㎜長くなったとしたらスペーサーは上部に5㎜入れればいい計算になります。

プレッシャーアンカーとステムの取り付け位置 コラムの変形を抑えるために内側から補強

画像のようにコラムトップからプレッシャーアンカーがある場合はコラムへの負担は小さくなります。

フォークコラムがステムより長いほうの変形量は均等に変形しています。コラムを壊さないためには変形をさせなければいいというのはわかりますね。

ではどうやって変形を抑えるのか?

そのために必要なのが、内側から補強するプレッシャーアンカーです。

ステムで締め付ける箇所の内側にプレッシャーアンカーがあれば基準の数値である内径28.6㎜を維持できるわけです。なぜならプレッシャーアンカーは、フォークコラムのパイプを内側から均等に外側に力をかけているからです

これでプレッシャーアンカーの2つ目の役割が理解していただけたでしょうか。

ステム上部にはスペーサーが5㎜ないし10㎜入っていることが正しく強度を確保できる取り付けといえます。

極端に長いフォークコラムや極端に短いものは正しい取り付けができているとは言えません。

長すぎるフォークコラムはデザインだけではなく、プレッシャーアンカーとステムの正しい位置関係での取り付けのためには切る必要があります。。

アルミコラムの場合はプレッシャーアンカーは使えない

アルミコラムのフロントフォークにごくまれにですがプレッシャーアンカーを使ってる方をネットで見かけます。
アルミコラムにはプレッシャーアンカーは使えません。

滑ってしまって抜けてきます。

アルミコラムにはスターファングルナット(スターナット)を使ってください。

アルミコラムはカーボンのように締め付け強度が足りないということはないのでステムの締め付け程度では変形しません。
内側にプレッシャーアンカーなどがなくても強度は確保されています。

ステムの上側に10㎜のスペーサーを入れた状態
ステムの上側に10㎜のスペーサーを入れた状態

まとめ

プレッシャーアンカーはカーボンコラムでのみ使い、ステムの締め付け位置に確実にあること。

コラムスペーサーはステム上により5~10㎜入れるのが理想。(プレッシャーアンカーの適正化)

スペーサーが、極端に長くステム上にあるならば切って適正な位置にプレッシャーアンカーを持ってくる。

フォークコラムを締めるという概念ではなく、プレッシャーアンカーをステムで締めるという考え方で組む。

プレッシャーアンカーで内圧をかけ、ステムで外圧をかける。
お互いの力を利用して締め付けた時のコラムの割れやダメージをを防止する。

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